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大きな任務
冒険者ギルド設立から半年が経った。
最初は難航するかと思われた運営も、情勢が情勢だからかすんなりと受け入れられ、依頼の数も、冒険者の数も増えて行った。
「正直、僕の想像以上です。ここまで急速に広まるとは思いませんでした」
グーガスラヒ領主の屋敷兼冒険者ギルドの執務室で、ルベラルバス達の報告を聞きながら呑気に言うライハナサンに、すっかり慣れた様子で話す。
「ま、雑魚な依頼も多かったがな……俺は戦えりゃあなんでもいいぜ」
「アンタって本当に物騒! それで、ギルド長。アタシ達を今日呼び出したのは何でです?」
ラミュニに話を振られ、ライハナサンがいつも通りの笑みで答える。
「ああ。それはね、大口の依頼が入ったんですよ」
「大口ぃ? かなりデカく出たな?」
「アタシ達に……どんな依頼なのでしょう?」
怪訝そうなルベラルバスと不安げな二人に、ライハナサンはいつもとは違う、真剣な表情で答える。
「ユスティティア王国からの依頼です。依頼内容は、フェイラス帝国内での不審物の破壊及び、フェイラス帝国皇帝、ヴレマヴロ・アスラフィルの抹殺です」