彼女は
「父上……」
光の指す方へ腕を伸ばしたまま絶命し、偽りの肉体が崩壊して行く父の姿を複雑そうな表情で見ながら、落下仕掛ける彼女をラファが引き寄せる。
「よく頑張ったね! それじゃ、下に降りようか!」
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二人が降りると、『翼』の根元付近で座りこんでいるシャインとフレナを見つけた。
シャインの髪と瞳はいつもの様子に戻っており、二人ともボロボロだ。
「二人とも、お疲れ様だったね!」
「ラファ……とノオンか。決着はついたようだな?」
シャインに言われ、ノオンが戸惑いながら、
「はい。ワタシもなんで……父上を解放出来たのかわかりませんが……」
そんな彼女に、ラファが言う。
「それは簡単さ! 暴走には暴走! 闇には光! ノオン、君が持つゼレン……いやヴレマヴロとの血縁とマナ、そして光属性の儀礼用短剣! それらが揃えば、ショック療法のようなもので……つまりは万事解決ってことさ!」
「……説明。雑すぎない?」
フレナのツッコミに、ラファは満面の笑顔で返すと、
「さ、『翼』をさっさと破壊しようか! そうだろう? ルベラルバスの子孫であり、マーテルの軍人さん?」
指摘され、シャインは舌打ちをしながら言う。
「……よく気づいたな。まぁ、別にいいが……確かにアタシは子孫として、フェイラスの暴走を止めるようにとも任務を受けていた。だから、コイツを壊す」
「……シャイン。そう、だったんだ……」
困惑するフレナに面倒くさそうな目を向けながら、シャイン達は『翼』の制御室へ向かうことにした。
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「凄いマナだねぇ……」
充満するマナの気配に、嫌そうな顔で言うラファを尻目に、シャインが機械を操作する。
「……シャイン。なんとか、なりそう?」
見守っていたフレナが言うと、シャインは頷き、
「操作自体は簡単だ。……ラファ、お前の言っていた禁書とやらは……これだな?」
シャインが操作し、設置されていた禁書を取り出す。それを確認すると、ラファは杖を取り出し、禁書に封印魔術を施した上で回収する。
数十分で、『翼』の起動自体は止められた。が、
「……ダメだな。停止は出来ても、どうやって破壊出来るのかわからん」
そう言うシャインに、ノオンがおずおずと言う。
「あの、思い出したのですが……ワタシを核に破壊出来ると思います!」