光
「おいおいおいおい! 冗談にも程があるだろう!?」
下では、蠢きを増した触手達への攻撃の激しさに体力も気力も限界を超えたシャインとフレナが戦っていた。
「……はぁ。ボク、体力ある方だけど、キツい、よ!」
それはシャインも感じていた。レッド一族の力はかなり負担をかける。正直、無理矢理使用している状態だ。それに気づいていたのか、今気づいたのか、フレナが言う。
「……シャイン。髪の毛とか、いつもと違うけど、大丈夫?」
「……ああ。他人の事より、今は目の前の事に集中しろよ?」
そう言うと、二人は触手の攻撃や、ラフルとの戦いで出来た遮蔽物を上手く使い、攻撃を続行する。
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ようやく頭頂部へと辿り着いたラファとノオンは、ゼレンが飲み込まれている一箇所だけ不自然に盛り上がった場所まで行き、ラファがノオンにある物を手渡した。
「これは?」
「それは儀礼用の短剣さ! それに君のマナをのせて差し込むんだ! なぁに、大丈夫! 君の父君を解放してあげようじゃないか!」
ラファに言われ、ノオンは頷くと、
「はい!」
決意したのだろう、短剣を抜くと、思い切り父が閉じ込められている箇所へ突き刺した。
その一撃によって、蠢いていた触手の動きが止まり、光が溢れ出す。
「うお、眩しいな! お兄さんの目にはキツいな!」
一方、下にいたシャイン達もその光に気づく。
「なんだ?」
「……ラファとノオンが。やったの、かな?」
その光はどんどん大きく輝きを増して行き、周囲を明るくして行く。
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崩れていく闇の中で、男は光の中で彼女を見た……気がした。
「ああ、ああ! ユリスティーナ! ユリスティーナ!!」
ずっと会いたかった、求めていた彼女に触れたくて手を伸ばし、男は──ヴレマヴロ・アスラフィルは長きに渡る生を終えた。