いざ
「……すごい! 斬れて、る!」
妙な感動を覚えるフレナに対し、シャインが冷静に言う。
「ぬかるなよ! フレナ!」
弾丸を放ち、触手を攻撃する。負けじとフレナも斬って行く。
その頃、ラファはノオンを連れて、ゼレンが取り込まれた超頭部へ向かっていた。
「あ、あの! ラファさん、ワタシになにが出来ると言うのでしょう?」
不安げなノオンに、ラファが優しく言う。
「少なからず君と行動した私が言おう! 父君を妄執から解放出来るのは、君しかいないと!」
「で、でも、どうやって? ルベラルバス様の時は……」
「いいかい? 過去に囚われてはいけないよ? 今は前を見るんだ。そして、見せるんだよ、君の父君に、過去はもう戻ってこないと!!」
「!!」
先程まで俯いていたノオンが顔を上げたのを確認して、ラファは速度を上げる。
それを見て、シャインが援護射撃をし、そのシャインをフレナが守る。五年と言う時を過ごしたからだろう。三人の息のあった連携は完璧だった。
「いざ、ゼレンの元へ!」
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頭頂部にて。蠢く触手の闇の中で、ゼレンはノオンの言葉を飲み込めずにいた。
(僕が……ヴレマヴロ・アスラフィル? 誰だ? 僕は……私は……いつユリスティーナに出会った? いつ……あの子は産まれた? 私は……僕は……私は……僕……は……)
ゼレンと名乗っていた男の目から、涙が溢れ、叫ぶ。
「私はただ、会いたいだけなんだ! ユリスティーナぁぁぁ!!」
それに応えるように、周囲の闇の蠢きが増して行く。