『奇跡使い』
「『奇跡使い』だと?」
「ええ、そうですわ。この機関銃に、私のマナを乗せて……ふふふ!!」
雷の魔術を放ちながら、マナを上乗せし、魔術が施された弾丸を放った。
「……うわっ!?」
「なっ!?」
ただでさえ厄介な雷に加え、マナの乗った高威力な弾丸の雨が降り注いでいるのだ。フレナは大剣を盾代わりに攻撃を凌ぐしかなく、シャインも遮蔽物に隠れるしかない。
一方、盾の崩壊が先か、詠唱が終わるのが先かの瀬戸際、ラファはひたすら詠唱を紡ぐ。
「ラファ、まだか!?」
「……これじゃ、手も足もでない、よ!」
「ふふふ! ふはははは! さぁ、死になさい!!」
魔術が施されている影響だろう、機関銃の弾が途切れることがない。それどころか、威力はどんどん増していく。
「普通、機関銃にも弾切れはあるんだが!」
「……そうなの? でも、切れる気配、全然、ないよ!?」
いつも通りのやり取りだが、その実、二人とも限界だった。その時、ラファの詠唱が終わる。
「……リルル・メテオル・フェニックス!!」
ラファの背後から、焔を纏った巨大な火の鳥・フェニックスが顕現し、飛んでいく。
「な……それは超高位魔術! で、ですが、禁書の力を得た私には効きません……わ?」
何かに気づいたのか、ラフルの言葉が詰まる。
「バッティ、例えどんなに禁書で増幅させたとしても、元の技量が違えば変わるのさ!」
ラファが出したフェニックスは、ラフルの攻撃全てを飲み込みながらその威力を増していく。そして、ラフルのマナを吸い取る。
「な!?」
「バッティ。元師匠として、残念だよ」
その言葉への返事もなく、ラフルはマナ事飲み込まれ、フェニックスはそのまま『翼』へ激突した。