先へ
「死んだ……わけじゃなさそうだけれど、そのうち自滅術式が発動するだろう! うん! 彼のことは放置でいいんじゃないかな!」
ゲヌビの状態を見てラファがそう言うと、銃口を向けようとしていたシャインの手が止まる。それを受けて、フレナがラファに聞く。
「……自滅術式? って、なに?」
「要するに、強制的に自死させる術だね。あまり気持ちの良いものではないけれど……今は、彼よりユグルスの方が優先だ。どうやら、相当危ない状況のようだからね……」
「……!」
(……そんな。酷い、よ!)
動揺するフレナと対照的に、シャインはラファに、
「そう言うと言うことは、ラファ、お前何か掴んだな? 時間が惜しい。早く話せ」
そう言い、ラファに話を促した。
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「なるほどな。つまり、ユグルスことノオンが生贄にされると、何かしら不味いことになる……と言うことだな?」
シャインが確認すると、ラファは頷き、
「そういう事だね。ゼレンの悲願が何かまではわからないけれど、急いだ方が良さそうだ!」
二人が目配せしたところで、フレナだけが未だ起き上がらないゲヌビを気にしていた。
「フレナ。ソイツに構っていたら、何もなせんぞ?」
「こればっかりは、シャインに賛成だね! 目的を履き違えてはいけないよ!」
シャインとラファに諭され、フレナは一息吐いて、
「……わかってる。よ、いこう?」
そう返答すると、フレナとシャインはラファを先頭に、ユグルスことノオンの元へ向かい走り出した。
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「ふぅ、参ったね!」
三人が捕らえられていた場所から、だいぶ走ったところで、徐々に魔獣達が出現し始めたのだ。
これからの事を考えて、三人は極力魔獣との戦闘を避けながら先へ進んでいたのだが、
「中心部に近づくに連れて増えて来たな。……避けられんか?」
「……だけど。数、もっと増えそう、だよ?」
どうすべきか悩む三人の耳に、またしても轟音が響いてきた。
「連合軍と冒険者部隊がどんどん攻めて来てるみたいだね! 時間が惜しい! 私の魔術で、飛ぶとしよう!」
「な!?」
「……え」
二人が拒絶する暇もなく魔術をかけると、三人は宙へ浮かぶ。
「さぁ、上空から攻めるとしよう!」