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新米冒険者誕生

 一週間後、訓練所にて。


「ハァハァ!」


 息を荒らげるユグルスに対し余裕たっぷりのシャインは、木刀を静かに下ろし、


「……これくらいか? 自分の身くらい守れるようにはなっただろう?」


 シャインの問いかけに、息も絶え絶えにユグルスは頷く。


「ハァ、なん……とか、なりそう、です……ありが……とう、ござい…ハァハァ」


 シャインは面倒くさそうに木刀を返却すると、


「まぁ、一週間でここまでなら上等か。荷物をまとめろ。この町を出るぞ。それから……武器商人は廃業しろ」


 シャインの言葉に、ユグルスは目をぱちくりとさせる。


「わからんか? 扱えない武器など邪魔なだけだ。アタシ達と来るのなら、武器商人は辞めろ」


 そう言われ、すこし考えた後ユグルスは決意したのか頷き、


「わかりました。……その変わり、ワタシ……じゃなくて、オレも冒険者になります‼︎」


 ****


「はぁ〜、ワタ……オレも冒険者かぁ〜!」


 冒険者ギルドに登録し、Fランクになったユグルスはプレートを嬉しそうに眺める。


「……登録するだけなら誰でもできる」


 シャインの冷たい言葉に、ユグルスは少し落ち込むがすぐに持ち直し、シャインに訊く。


「あの! ところで、町を出たのはいいのですが、どこに向かうんです?」


 ユグルスの問いに、シャインはぶっきらぼうに言う。


「……遺跡だ」


【シャイン、それでは説明が足りないとお兄さんは思うな! 遺跡調査専門だって教えてあげたらどうだい?】


 ラファの言葉で、シャインはため息を吐きながら、


「……アタシ達は遺跡調査専門の冒険者だ」


「な、なるほど。……ところで気になっていたのですが、町を出てもシャインさんのままなんですね!」


 ユグルスに指摘され、シャインは顔をしかめながら言う。


「ラファは有翼人で地上を歩くのに不慣れだ。フレナは知ってのとおり畏怖されるダークエルフ。目立つのは避けたいんでな、それで基本的にはアタシが表に出ているだけだ」


 相変わらずぶっきらぼうに言うと、シャインは歩みを早める。それに合わせ、トコトコとユグルスもついて行く。


 ****


 日が沈みはじめた頃になり、今夜は野宿する事になった。

 シャインはラファと交代し、ラファが無詠唱で杖を次々と振るう。


「ラファさん、何をしているんですか?」


 興味を引いたのか、ユグルスが尋ねるとラファは得意げに言う。


「これは、人避け、魔獣避け、獣避けの魔術さ! 大魔術師である私には造作もない事だよ!」


「な、なるほど。それなら、安心ですね!」


 素直に尊敬の目を向けるユグルスに、ラファは嬉しそうに、


「ふふふ! そうとも! もっと褒めていいのだよ?」


【……調子にノるな】


 シャインの苦言に、ラファはとくに気にも止めることはなく、


「さてと! 夜は長いんだ、少し語らうことにしようか!」

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