解放
「どうなっでるっぺ!?」
目をひんむきながら驚くエクザの前に現れたのは、シャイン、フレナ、ラファの三人だった。
「五年ぶりの感覚だが……まぁ慣れるだろう」
「……本当に。なんとか、なっちゃった……」
「だから言っただろう! 私に任せなさいと! さぁ、反撃だよ!」
腕をコキコキと鳴らすシャインに、両手を握り神妙な顔をするフレナ、そして自信満々なラファ。
各々、五年かけての呪いから解放された感覚を味わう三人。その様子をみて、未だに状況が飲み込めないエクザが叫ぶ。
「おめぇら、どごがら湧いで来だっぺぇぇぇぇぇぇ!?」
「うるさい男だな。どうでもいいだろう? それより、詳しく外の状況を話せ」
いつも通りのシャインに、フレナとラファは、五年ぶりに顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。それをみて、シャインも少しだけ力を抜き、エクザに軽く事情を説明した。
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「な、なるぼどだっぺ……ぞんな呪いがあるどばなぁ……」
意外にも物分りがいいらしい。エクザは事情を理解すると三人に向き直り、現状を話し始めた。
「まず、フェイラス関連の遺跡がら出でぎだ魔獣に関じでば、Aランク以上の冒険者討伐隊で殲滅作戦があっだっぺ! だども、中々手強ぐで……ユスティティア連合軍も合流ばじだんだぁ。で、なんどが凶悪な魔獣ば殲滅出来だげども、やっぱり元凶を絶だねぇどいげねぇっでだっで、冒険者部隊ど連合軍の連携で、新生フェイラス帝国に攻め込んだんだっぺ! 大体、ごんな感じでいいが?」
エクザのクセのある喋りにも、すっかり慣れた三人は状況を把握すると、話し合いを始める。
「と言うことだが……どうする?」
「……ボク。は、ユグルスが、心配、だよ」
「私としては、バッティから禁書を取り戻さなくてはならないし……シャインよ。君としても一軍人としてこの状況は、見過ごせないのではないかな?」
ラファにそう振られ、シャインはため息を吐くと、
「……お前に言われるのは癪だが、確かに見過ごせん。……それに、敵の目的がわからん以上、調べるべきだろうしな」
そう言って、シャインは武器を取り出し、動作を確認すると、ラファとフレナを見て言う。
「アタシは行くが、来るか?」
その問いに、ラファとフレナは互いに頷き合うと、
「もちろんだとも!」
「……ボク。も、行くよ!」
二人も武器を構える。すると、完全に置いてきぼりなエクザが言う。
「盛り上がっでいるどごろ悪いんだども、オラぁ、ユグルスっでのも助げろっで依頼受げでるんだっぺが!?」