親子
「その様子だと、記憶の方は思い出したみたいだね? じゃあ、自分の成すべきことも……わかるだろう?」
そう言って、死んだ目で笑う実父にノオンの目から涙が零れた。
「父上……もうおやめ下さい! 沢山の人を巻き込んで……苦しめて……その先に何があると言うのですか!!」
そう言う彼女の傍によると、優しい手つきで頭を撫でながら、
「ノオン……これでいいのだよ。無駄さ。もう誰にも止められない。それに、お前も嬉しいだろう? 僕の役に立てるのだから。そう泣かないでおくれ。これも全ては、君の母であり、僕の妻である、ユリスティーナのためさ。いいね?」
諭すように言う父に、ノオンの涙は止まらない。
「父上。貴方は……ご自分がしていることが……いえ、何者なのか、お分かりですか?」
そう問われた父、ゼレンは少し考えた素振りをすると、
「? 君の言いたいことがわからないな。僕は、ゼレン・ジ・フェイラス。そして、僕の目的は変わらない。ユリスティーナを生き返らせるだけさ。必ずね?」
その言葉でノオンは理解した。父の全てが手遅れであることを。
「……貴方は……!!」
「おっと。すまないね。これから『翼』の再調整なんだ。君も戻って来たことだしね! さ、それまではゆっくりお休みよ?」
言いたいことだけ言うと、ゼレンはノオンから離れ、部屋から出ていってしまった。残された彼女は、止まらない涙を拭いながら決意する。
(今度こそ……貴方を止めてみせます。今のワタシに何が出来るかわからないけど……だって、ワタシには……いや、オレには、シャインさん、フレナさん、ラファさんって言う味方がいるから……!!)