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第一の目的地に向けて

 宿屋に戻ると、シャインが手際良く荷物をまとめ始める。それを見ていたユグルスは、慌てた様子でシャインに声をかけた。


「あ、あの! ラシエドさんのさっきの話ですが……融合はシャインさん達、疑似肉体はオレと関係があるかもしれないですよね!?」


「ああ。だから遺跡に急ぐ。着いてくるなら支度しろ」


 冷たく言うシャインに、ユグルスも慌てながら支度をし始めると、内側からラファがシャインに向けて静止の声を上げる。


【シャイン! 気持ちはわかるけれども、落ち着きたまえ!】


【うるさい】


 ラファの言葉を一蹴するとシャインは銃の稼動を確認し、ユグルスの方を向く。彼女の方も準備出来たようだ。


「行くぞ」


「は、はい!」


 ****


 早々とシュテの村を出たシャインはフレナと入れ替わり、ユグルスと二人で第一の目的地であるカジィーセ遺跡を目指し歩き出した。


「……ユグルス。は、歩きだけど、大丈夫?」


 そう問いかけるフレナにユグルスは笑顔で答える。


「はい! オレ、体力だけはあるみたいなんで!!」


「……そう。なら、良かった」


【だけれど、夜が深くなって来たら私と交代するんだよ? 闇夜程恐ろしいものはないからね!】


【……わかってる。よ】


 ラファの言葉にそう答えると、フレナは周囲を見渡す。のどかな田園風景が広がるなかで、空は日が落ちて来はじめていた。


(……これは。あんまり、先に進めない、かもね)


 そう考えていた時、横からひょっことユグルスが顔を出し、フレナに聞く。


「あの! ところでなんですけど……新生フェイラス帝国と繋がりがあるかもしれないのに、古代の遺跡に行ってていいんでしょうか? もちろん遺跡専門と言うのは理解しているんですが!」


「……それ。は」


【アタシ達の呪いもユグルスの件も、全ては遺跡から始まっている。なら、調べるべきはまず遺跡だろう? と言え】


 シャインの言葉を珍しくそのまま伝えると、ユグルスは納得したらしく深く縦に頷きながら言う。


「なるほど……確かにそうですね! オレ、どうやら焦っていたみたいです……すみませんでした!」


「……うん。大丈夫、だよ? それより、ここから、は、魔獣が出てくるかも、しれない、ね?」


 フレナの言葉に、ユグルスがはっとした顔をする。


「そ、そうですね! 気合い入れ直します!」


 そう言って、ユグルスが手にしていたモーニングスターを握り直すのを確認すると、フレナも警戒心を上げる。すると、内側にいるラファの声が響いてきた。


【しかし、魔獣か。野生の魔獣達というのは、フェイラスの魔獣達とどう違うのかな? 私の母国には魔獣研究の分野があった気がするし、目を通した気もするけれども……うーん】


【思い出せないなら言うな】


 シャインの鋭いツッコミに、ラファが押し黙った気配を察したフレナは、とりあえず誤魔化すようにユグルスに話しかけることにした。


「……ところで。シュテの村は、どうだった?」


「え、えぇと……のどかで、穏やかで! とても素敵な村でした!」


「……そう。なら、良かった、ね?」


「はい!」


 そんなやり取りをしながら歩いていると、あっという間に夜になり始めた。


(……そろそろ。ラファと交代、かな?)


 フレナがそんな事を考えた瞬間、前方から気配を感じた。


「……! ユグルス、戦闘体勢! なんか、来る!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 登場からカッコよく、全員が一体で同じポジションになってしまうのにも関わらず、個性的で思い浮かべることが容易です☆シャインが好きです。 文章がとても読みやすかった。 [気になる点] 謎を追う…
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