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繋がり

 ユグルスの言葉にシャインは面倒くさそうな顔をし、ラシエドは目を丸くする。


「俺の話? 聞いてどうするってんだ?」


「そ、それは……その! なんと言いますか……素朴な疑問と言うか……も、もちろん! 無理にとは言いませんので!」


 ややしどろもどろになりながらも、ハッキリと言うユグルスにラシエドはため息を吐き、


「……いいだろう。簡単にだが、答えてやらぁ。俺は……徴兵で軍に居てな? そこで、魔獣どもの管理をさせられてたんだよ」


「「!!」」


 驚くシャインとユグルスをよそに、ラシエドは話を続ける。


「そう言う反応になるわな。とにかく魔獣の管理をさせられていた俺ぁ、ある時しくちっまってな? ()()()()()()()()()()()()()()()。んで……」


「ちょっと待て!!」


 ラシエドの話をシャインが珍しく大声を出し遮る。


「? なんだってんだ?」


「今……融合と言ったな?」


 そう問うシャインの目はいつも以上に鋭く真剣だった。その異様さにラシエドは少したじろぎながら頷く。


「あ、ああ。つっても、俺も詳しい仕組みは知らねぇんだ。なんか、装置みてぇなもんで二体の魔獣となんか人口的な疑似肉体? とやらを融合して一つの融合魔獣を造るんだ。……それがどうかしたか?」


「……失敗したらどうなる?」


「そ、そりゃあ()()()()()()()()()()()? 俺の例だと、三体分の魂が消滅して身体だけ混ざりあっちまったぜ? それがどうかしたのか?」


「……疑似肉体はどう言うものだ?」


「あ、ああ。俺がみたことあるのは、人型みてぇなやつだな。それを軸にするらしいが?」


「しゃ、シャインさん!!」


「……」


 その言葉に動揺を隠せないユグルスに対し、

 冷静さを取り戻したのかシャインに訝しげな視線をむけながらも、


「……話の腰を折ったな。続けてくれ」


 そう言われ、困惑しながらもラシエドは話を続ける。


「……お、おう? んでだ。えーあれだ。ある時さっきも言った通り失敗しちまってな? 俺は処罰として……餌にされそうになって……まぁ運良くと言うか、とにかく命と身体だけは助かったんだが……それ以外は全て失っちまった」


「す、全てですか?」


「ああ。地位に職に金に……愛する家族、全てだ」


 それだけ答えると、ラシエドは先程から真剣な眼差しで見ていたユグルスから目を逸らす。


「もういいだろう、ユグルス。有益な情報は得られた。後はソイツの問題だ。……礼は言う。行くぞ」


「ちょ、待って下さい! シャインさん!」


 足早にその場を去るシャインを追って、ユグルスも出て行く。その後ろ姿を、呆然とラシエドはただ見送るだけだった。


 ****


【ふむ。ラシエド殿の話を聞く限り、我々は失敗作と言ったところかな?】


 茶化しながらもいつになく真剣な声色のラファに、フレナも相槌をうつ。


【うん。ボク達、の、融合と、ユグルスの人口的な肉体。繋がる、ね?】


【……まだ確定ではない。が、尚更調べる価値は出たな】


 内側にいる二人にそう言うと、必死にシャインの後ろを追いかけていたユグルスに振り向きもせず言う。


「ユグルス。遺跡に向かう。宿に戻って支度しろ」


「え、えと、はい!」

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