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シュテの村にて

 遺跡までの中間の村、シュテに着いた。周囲を警戒しながら、シャインとユグルスは馬車を降りる。


「ふぅ。だいぶ慣れてきましたが、やっぱり馬車に長時間乗ると体がキツいですね……」


「……慣れろとしか言えん。……ここにはギルドがないから、宿屋を探す」


「は、はい!」


 ぶっきらぼうにそう言うシャインの横につく。が、少し顔色の悪いユグルスを見て、内側にいるフレナとラファが反応する。


【……なんか。おかしい、ね?】


【あの様子から察するに、また何か思い出したのかもしれないね! シャイン、宿屋についたら私と交代したまえ!】


【……うるさい。わかっている】


 苛立ちげに二人に言うと、シャインはユグルスを一瞥し、宿屋を探し始めた。


 ****


 そこまで広くない村だからか、すぐに宿屋が見つかった。

 受付を通り、部屋を確保すると二人は簡素な室内に入る。


 左側に質素な二段ベッドが置かれ、サイドに小さなテーブルと椅子のある空間を見渡すと、シャインは部屋の鍵を閉め、ラファと入れ替わる。


 入れ替わったラファはすぐさま杖を構え、魔術を使う。一段落すると、ラファはベッドに腰掛け、ユグルスに椅子に座るよう促す。


「さてと! ユグルス、馬車の中で何を思い出したのかな? 結界も張ったし、安心して話してくれたまえ!」


 穏やかな笑みを浮かべながら言うラファに、ユグルスもホッとしたのか話はじめる。


「実はですね……」


 ****


 一通り話を聞いたラファは、なるべく優しい声でユグルスに声をかける。


「なるほどね……。それはなんとも、確かに不可思議な話だね! まさか、フェイラス王国と繋がるとは……うーん、ますます謎が深まったと言うか……まぁでも、キミの過去に一歩近づいたんだ! 明るく行こう!」


「……はい」


 返事はしたものの、やはり浮かない表情のユグルスに、内側にいるフレナが心配そうな声で言う。


【……全然。元気、ない、ね? 大丈夫、かな?】


 その声を受けて、ラファは少し考えた素振りをすると、


「ユグルス。キミの過去がどんなことであれ、私達はキミの味方だ。全てが解決するその時まで、共に頑張ろう!」


 そう励ます彼に、内側にいるシャインが抗議する。


【おい。勝手に決めるな。……ユグルスが仇なす者であれば……アタシは容赦しない】


【……シャイン。そん、な、極端な、こと、言わないで、よ。ボク、は……ユグルスと。戦いたく、ない、よ……】


 反対するフレナに、シャインはふんと鼻を鳴らすと、静かになる。そんな正反対の二人に、思わず苦笑いを浮かべる。


 その様子に気づいたのか、ユグルスがラファに向けて視線をやる。


「ラファさん? 内側にいるお二人と何かあったのですか?」


「いやいや。なんでもないさ! それより、せっかく来たんだ! 村をみて回って来たらどうだい?」


 ラファの提案に、ユグルスは困惑しながらも、


「そうですね……ちょっと回って来ます!」


 そう言うと、武器のモーニングスターを構え、部屋を出て行った。

 それを見送ったラファは、シャインと入れ替わった。


【さて。ユグルスの話……どう思うかい?】


【……ボクは。フェイラス帝国、と、王国と、今、の、新生フェイラス帝国と、繋がっている、気はする、かな?】


【……どう繋がっているかはわからんが、敵であれば倒すのみだ】


 そう吐き捨てると、シャインは二人を黙らせ、銃のメンテナンスにとりかかった。

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