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専門外と専門内

「新生フェイラス帝国……ですか?」


 予想外だったのだろう、受付嬢が困惑しながら聞き返す。


「……ああ」


 それだけ言うシャインに、受付嬢は更に困惑の色を濃くする。


「あの……貴女方は、遺跡調査専門で登録されていますよね? その、言いにくいのですが、専門外では?」


「……なら、こう言おう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


 古代と言う言い方に、受付嬢の顔色が変わる。一方、ユグルスはピンと来ていないのか不思議そうな表情を浮かべる。


「? シャインさん?」


「……お前には後で話す。それより、古代遺跡ならアタシ達の専門だ。文句はないはずだが?」


 そう言い切るシャインに、受付嬢は深いため息を吐いた後、


「……わかりました。古代フェイラス帝国についての依頼なら三件程あります。……どれを選びますか?」


「……全部だ」


 シャインの言葉に、受付嬢はもう一度ため息を吐くと、


「……わかりました。依頼受領の手続きを行います。……あまり無理はなさらないでくださいね?」


 そうして、受付嬢は渋々手続きを行ってくれた。しばらくして、手続きが完了すると、二人は今日までギチャの町のギルドに泊まることにした。


 ****


 今回の部屋は、例の『三対の爪』の余波か、ギルドに泊まる人数が多かったらしく、狭い一部屋をあてがわられた。簡素なベッドが小さなサイドテーブルを挟んで置かれているだけの質素な部屋だ。ユグルスは部屋を見渡すと、


「……オレとシャインさんなら寝れるけど、ラファさんとフレナさんだと狭そうですね!」


 呑気な感想を言うユグルスに、シャインはめんどくさそうな顔をする。


【シャイン。早く彼女に色々説明してあげたらどうだい? 流石に、何も知らせずに連れ回すわけにはいかないだろう?】


 ラファの小言に舌打ちをすると、シャインはユグルスにベッドに座れと指示し、向かい合って腰掛ける。


「……ユグルス。古代フェイラス帝国とあえて言ったが……その理由を説明する。一度しか言わんぞ?」


「は、はい!」


 緊張した面持ちのユグルスに、シャインは一呼吸置いてから口を開いた。


「……あの受付嬢の言う通り、アタシ達は遺跡調査専門。新生フェイラス帝国……現在ユスティティア連合国と戦争している国を調べるなんて、専門外もいいとこだ。だが、古代フェイラス帝国なら話は変わる。……古代遺跡なら専門になる。以上だ」


「……え?」


 思わずポカンとするユグルスと、沈黙するシャインの間に沈黙が流れる。


【……シャイン。流石に、言葉、が、足りてない、と、思う】


【ええい! 私と替わりたまえ! 全く、キミはもう少しコミュニケーションをとる事を覚えた方がいいね! と言うわけで、交代!】


 そう言うと、シャインと入れ替わったラファが、羽を狭そうに折り畳みながらユグルスに声をかける。


「コホン。いやいや、シャインの説明が足りなくて悪かったね! だから、これからお兄さんが説明してあげよう!」


 優しく笑うラファに、ユグルスの緊張が少しほぐれる。それを確認してから、ラファが説明を始めた。


「シャインがさっき説明した通り、私達は遺跡調査専門なのは理解しているね? では何故、新生フェイラス帝国ではなく古代フェイラス帝国なのか? その疑問の答えは、ズバリ、私達の『呪い』さ!」


「『呪い』……ですか?」


 聞き返すユグルスに、ラファは頷く。


「そうとも! 私達の『呪い』は……新生フェイラス帝国内の遺跡でかけられたのさ!」


「!!」


 驚く顔をするユグルスに、ラファは微笑むと、


「そう。だから私達にとって、新生フェイラス帝国は色々と縁があるのさ。で、話を古代フェイラス帝国に戻すと……。あえてその依頼を受けたのは、『三対の爪』が遺跡に仕掛けを施して行った点さ! 彼らは何故、わざわざ遺跡に仕掛けを? その答えを紐解くためにも、まずは、古代フェイラス帝国について知る必要があると判断したのさ!」


「な、なるほど。でも、その、どうしてそもそも新生フェイラス帝国内に? それに、新生フェイラス帝国と古代フェイラス帝国になんの関係が?」


 もっともな疑問を浮かべるユグルスに、ラファは苦笑すると、


「何故新生フェイラス帝国にいたのかは、ここでは話せないかな……。ただ、誤解は解こう! 私達だって、新生フェイラス帝国関連の遺跡を調査はしてきたさ! でも、思うような成果は出なくてね……。それに、金銭的な問題もあって、手広く遺跡調査を行って来たのさ……。で、何故古代なのかと言うとね? まぁ早い話がカンさ!」


 カンと言う言葉に、ユグルスの目が丸くなる。


「三人で話し合った結果なんだけれどね? 新生フェイラス帝国の狙いがわからない。でも遺跡と関連すると思われる。……まぁ『三対の爪』が本当に、新生フェイラス帝国の者ならだけれども……。で、新生と言う通り、一度滅んでいる国なわけで……。国を知るにも、謎を解くにも、古代フェイラス帝国を調べる価値があると判断したのさ。わかったかな?」


 イマイチ釈然としないが、ユグルスは追求を辞め、頷く。


「うんうん! さて、私はシャインと交代するから、おやすみユグルス!」


 そう言い残し、ラファは再びシャインと入れ替わった。


「……明日は早い。寝るぞ」


「……は、はい!」


 そう言うと、二人は各々ベッドに入り、眠りについた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 二回説明されても全く分からない。 普通古代と新生なら歴史的つながりとか説明するのでは?
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