遭遇
遺跡探索を再開した二人は、広間を抜けた。
奥は狭い通路へと、どうやら繋がっているらしかった。
「狭い。けど、行けそう、かな?」
フレナが高さと幅を確認しながら、先へ進んで行く。その後をユグルスが追う。
慎重に歩いていると、あっという間に通路を抜けた。
【どうやら通路に罠などはなかったようだが……ぬかるなよ?】
「……シャイン。が、気をつけて、だって」
シャインの言葉を優しくユグルスに伝えると、彼女はモーニングスターを強く握りしめる。
「は、はい!」
緊迫感を保ちつつ、次のエリアに入ると、そこは庭園のようだった。
「広間も大きかったですが、ここはもっと大きいと言うか……お庭? でしょうか? 幻想的ですね……」
感嘆したように言うユグルスに対し、フレナは弓矢を持ち直し、言う。
「……ユグルス。ここ……変、だから、気をつけて」
そう言われ、ユグルスが目を丸くする。
「そ、そうなんですか!?」
「……うん」
そうやりとりをしていた時だった。庭園の奥からガサゴソと音がする。
「……誰、かな?」
フレナが警戒しながら、音のした方へ声をかける。すると、そこには、体長を三メートルは優に超える、巨大な大蛇の魔獣、ベリアルスネークがとぐろを巻いてこちらを見ていた。
「魔獣!?」
【それもこんなに大きいのが、潜んでいるとはね! はなからいたのか、それとも……】
【『三対の爪』が仕掛けたのか? それが問題だな】
二人の考察を聞きながら、ベリアルスネークの攻撃に、フレナとユグルスが備える。
「……来る。よ!」
ベリアルスネークが口から何かを勢いよく吐き出す。
【……来るぞ!】
【マナを感じるね! かなり上位の魔獣とみたよ!】
警戒する二人の言葉に反応出来なかったが、フレナとユグルスは距離を取り、なんとかかわす。
かわした場所は、あっという間に溶けてしまった。
【溶解液か!?】
【いや、溶解毒とみたね! フレナ、ユグルスとともに気をつけるんだよ!】
「……二人が。溶解液? 溶解毒? だから、気をつけてって」
今日何度めかわからない言葉をフレナが言うと、ユグルスがベリアルスネークと距離をとりながら返答する。
「気をつけてと言われましても……オレの武器では、この魔獣と相性が悪いのではないかと!?」
そう言いながら、またしても吐かれた溶解液をジャンプしてかわし、近くの崩れた瓦礫に飛び乗る。
フレナも距離をとり、弓矢を構え、魔獣を放つ。
「……くら、え!」
フレナが放った弓矢は、ベリアルスネークの尻尾に叩き落とされてしまった。
「……やっぱり。マナがのってないと、ダメ、かな?」
そう言うと、フレナは警戒しながら、ラファと入れ替わった。
「さてと! この広さなら十分だろう! 私が相手になるとしよう!」