ギルドへ
「現皇帝……」
ユグルスの言葉に、ラファが話を続ける。
「そうとも! 独裁国家とも言われている戦争真っ只中の国! その現皇帝の名前が、ユスティティア連合国内で聞くことになるとはね! これはかなりのことだよ?」
「た、確かに! よく考えてみると、おかしいですよね……。戦争中の国に、配下? の方々がいるって……」
そう言って考え込むユグルスにラファも、
「スパイにしては行動が大胆すぎるし、こう言ってはなんだけれど、知性に問題も感じるしね! 何をしていたのかも含めて謎だね!」
【……だが、だからこそ不気味だ。あんな遺跡で何をしていた?】
【うん。あと、攻撃が効かなかった、のも、気になる。物理、が、効かないタイプにしては、なんかおかしかった、よ?】
二人の反応も受けてラファが、
「なんにせよ、これはギルドに報告を上げなければならないだろう。幸い、ここは町から近いし、追っ手も来ていないようだからね! 一度町に戻るとしよう! という訳でシャインと交代だね!」
そこまで言うと、ラファは手を振りながらシャインと入れ替わった。
「……行くぞ。ギルドに報告だ。……報酬は出ないかもしれんがな」
「そ、そんな……! まぁ確かに調査も状態の確認できませんでしたけど……」
肩を落とすユグルスに、
「……まぁ、依頼はいくらでもある」
不器用ながらもフォローを入れると、ギチャの町を目指し歩き出した。
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ギチャの町に着くと、二人はすぐに冒険者ギルドに向かう。
その道中で、ギルドの方角から何人も怪我をした冒険者であろう人々が歩いてきた。ある者は杖をつき、ある者は支えられながら、沈んだ顔で歩いている。
「これは一体? 何が起こっているのでしょう?」
不安げに言うユグルスに、シャインも警戒をし、
「……嫌な予感が止まらん。ギルドへ急ぐぞ」