クスマ遺跡
翌早朝。日が登ると同時に起き上がると二人は簡単に朝食をとり、ラファはフレナと入れ替わった。
「……今日。で、遺跡に、着くと、思うから」
開口一番にそう言うフレナに、ユグルスも気合いを入れ直す。
「はい! 遺跡……緊張しますが、足を引っ張らないように頑張ります!」
「……うん。わからない、ことは。聞いてね?」
「はい!」
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歩きはじめて数時間後、目的の遺跡に辿り着いた。
「ここが……遺跡! 大きいですね……」
そこは、所々崩れてはいるものの四メートルはあろう立派な入口がある、神殿とおもしき遺跡だった。
「ここが。依頼、された、クスマ遺跡。……瓦礫、多い、みたい、だから。気をつけて」
フレナに言われ、ユグルスも慎重に歩を進める。
入口を抜けると、地下に向かっているであろう通路に入る。
そこで、ユグルスがふと気づいたように言う。
「そう言えば、シャインさんと交代しないんですね」
すると、フレナが説明をはじめる。
「今回の、依頼は。調査と、遺跡の状態、報告もあるから。シャインの拳銃、だと、遺跡に傷つけちゃう。ちなみに、ラファは、翼があるから。遺跡と相性、悪い。」
【……大剣も大概だがな】
【まぁまぁ。フレナはいざとなったら、奥の手があるしね!】
内側で二人が会話している間に、ユグルスがフレナに向けて言う。
「な、なるほど。色々事情があるのですね」
ユグルスにフレナは頷くと、
「……うん。じゃ、進む、よ?」
二人は奥へと進んで行く。
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通路の途中で、武器の保管庫後のようなところをみつけた。
「フレナさん、どうしましょう?」
「……調査が、目的でも、あるから。調べて、みよう。」
二人は慎重に入って行く。
【罠が仕掛けられている感じはしないね!】
【……だが状態が良すぎないか? フレナ、警戒を解くなよ?】
ラファとシャインの言葉を受けて、フレナは、
「ユグルス。慎重に、行こう」
「はい!」
そうして入って行くと、所狭しと武器が置かれていた。飾られていたり、そこら辺に放置されていたりと、様々な場所に点在している。
「……。借りる、か」
そうフレナは呟くと、乱雑に置かれていた弓矢を手にする。
「フレナさん、弓矢なんて持ってどうするんですか?」
疑問符を浮かべるユグルスにフレナは、
「ボクは。ダークエルフで、マナが少ないけど、一応エルフ、だから。弓矢、も扱える」
「そうなんですね! ……あれ? でも、遺跡はなるべく傷つけちゃいけないんですよね?」
ユグルスの更なる疑問に、
「……エルフの。弓矢の技術は、変幻自在、だから。大丈夫」
そう答え、弓矢を装備するフレナに、ユグルスは、
「剣も弓矢も扱えるなんて、フレナさんは凄いです!」
そう言って素直な尊敬の眼差しを向ける。その視線に、フレナはくすぐったくなる心を落ち着かせて、
「……じゃあ。行こう、か?」