野営にて
夜になり、フレナはラファと交代し野宿の準備をはじめる。
「いやぁ、あの熊のおかげで食料豊富だね! いい事だ!」
「そう……だとよかったです!」
ラファの言葉に、嬉しそうな表情を浮かべるユグルス。そんな彼女を見て、ラファも優しげな笑みを返す。
と、ふと思い出したかのように、ユグルスが言う。
「そういえば、ラファさん達はかなり食べられますよね?」
その指摘に、ラファは笑いながら、
「ああ! それこそ呪いの影響だね! 我々の呪いは、わかりやすく三つの魂に一つの身体と言っているがね? その実、魂そのものと言うより、魂を含めて身体ごと入れ替わるのだよ! どうやら肉体維持のための栄養は、一人が三人分食べることで補われているわけさ! だから、人より三倍は食べるのさ!」
そう答えるラファに、ユグルスは納得したように頷くと、
「……大変なんですね……」
「まぁ、もう慣れたけれどね!」
明るく言うラファに、ユグルスは追求することをやめる。
「さてと! 他に何か聞きたいことはないかな?」
「大丈夫です! 言いにくいことを聞いてしまいすみませんでした!」
謝るユグルスに、ラファは優しい声で、
「いやいや! 気にすることはないさ! それより、今日は熊鍋にしようか!」
「はい! 熊鍋かぁ……多分初めて食べます!」
「そうかい! なら、楽しみにしていてくれたまえ!」
話を切り替え、調理をはじめるラファをユグルスも手伝う。しばらくして鍋が完成し、二人は食事をとることにした。
「さてと! ではではいただくとしようか!」
「はい! それじゃ……いただきます!……
美味しい! 美味しいです!」
はふはふしながら鍋を食べるユグルスに、ラファも嬉しそうに、
「そう言ってもらえると、作ったかいがあるね!」
そう言って自分も鍋を食べる。すると、内側にいるシャインが、
【あまり気を抜くな。魔術を使っているとは言え、周りは影のない草原だ】
いつもの仕返しか、苦言を言う。
【わかっているとも! だけれど、私の魔術は最高だからね! 大丈夫さ!】
自信満々に言うラファにフレナが、
【……それ。フラグ、に、ならない?】
心配そうにツッコまれ、ラファは苦笑いを浮かべる。手が止まっていることに気づいたユグルスが、首を傾げながら、
「あの……何か問題でもありましたか?」
不安げなユグルスにラファは、
「いいや、なんでもないさ! それより、早く食べないと冷めてしまうよ?」
そう促すと、ラファは食事を再開する。あっという間に食べ終わり、二人は休憩がてらに雑談をはじめた。
主にラファが自身の魔術について語り、それをユグルスが聞く感じだったが。
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話ははずみ、気がつくと夜になっていた。
「そろそろ寝ようか? 明日も早いしね!」
「そうですね。……ふぁ」
眠そうなユグルスに、クスリと笑うと、
「さぁ。寝よう寝よう!」
そう言ってラファが横になる。ユグルスもマネて、横になる。
「それじゃ、おやすみ!」
「はい! ラファさん、おやすみなさい!」
そうして二人は眠りについた。