巨大熊VSユグルス
巨大熊が二人に気づいたらしい。二人から一メートル程離れたところで止まり、睨みつける。
ユグルスは距離を取りながら、巨大熊と向き合う。睨み合うこと数秒。動いたのは巨大熊だった。
四つん這いになった巨大熊が、ユグルス目掛けて走りながら頭突きを仕掛けてくる。それをユグルスは横に転がることで回避する。そして、背後をとり勢いよく飛び上がると、モーニングスターを振り下ろす。
「うああああ!!」
【おお! 特異な身体をいかせるようになっているね!】
【……ここからだな】
二人の言葉を受け、フレナはいつでも助太刀に入れる体勢になる。
一方その頃、モーニングスターを振り下ろさせれた巨大熊はその痛みに唸り、振り向いて、丁度地面に着地したユグルス目掛けて左腕を振り下ろす。
それをユグルスは、後方に下がることで避け、再び四つん這いになった熊の頭部を、真横からモーニングスターで思い切り殴る。
「でぇぇえい!」
何度も殴りつけたことで、脳震盪を起こしたらしい。よろけた熊にトドメの一発をかます。巨大熊は倒れ、沈黙する。
「ハァハァ……。ど、どうでしょうか?」
熊から少し距離をとり、フレナに聞く。
「……トドメ。刺せたんじゃ、ない?」
【及第点だがな】
厳しいシャインの言葉を言うべきか迷ったが、フレナは言わないことにした。
「……頑張った、ね」
そう声をかけると、ユグルスは額に汗をかきながら、笑顔をみせる。
「ありがとうございます!」
【……ふん】
【おやおやシャイン。ユグルスはよくやっただろう? 少しは褒めてあげたらどうだい?】
【……まぁ、以前よりはマシだな】
そんな二人のやり取りを聞き流しながら、フレナはユグルスに声をかける。
「……熊。は、賞金には、ならないと思う。けど。食料には、なる、から。解体、しよう、か?」
「は、はい! ……そう言えば、一部分を切り取ることはしましたが、解体するのは初めてです! 緊張しますね……」
ゴクリと生唾を飲み込みながら言うユグルスに、
「……なら。一緒に、やろう」
「はい!」
そう言うと二人は巨大熊を数時間かけて解体し、その場でできる限りの加工をし、その場を後にした。