遺跡目指して
「さて、と。どう、行こうか?」
フレナがユグルスに声をかける。
「オレは……フレナさんにお任せします!」
少し考えた後そう言うユグルスに、フレナも少し考えた動作をすると、
「……じゃあ。森は、迂回、して。なるべく、魔獣と遭遇、しない、ように。行こう」
「はい!」
魔獣を警戒しつつ進むことにした。
【森を進んだ方が近道ではあるんだけれどねぇ。ユグルスの戦闘力を考えると、フレナの案は正解だね!】
【……いつまでも戦力にならんのは困るがな】
楽観的に言うラファとは対称的なシャインの意見を聞き、
(……ボク。選択、ミスったか、な?)
ちょっとだけ後悔するフレナだったが、
「フレナさん? どうかされました?」
「……ううん。なんでも、ない」
気を取り直し、歩き出した。
****
町を出てから四時間後。途中休憩を挟みながら、森を迂回し、広大な草原の中を進む。
「魔獣。以外も、気をつけて」
「わかりました!」
短いやり取りをしながら歩いていると、
【! 殺気だな。フレナ!】
いち早く敏感なシャインが気づく。
「……ユグルス。何か、来る。よ?」
そう言うとフレナが大剣を抜く。大きな轟音をたて木々を押し倒しながら森の奥から現れたのは、三メートルを超えた大きな熊だった。
「こ、これは!?」
大きさに驚くユグルスと、内側にいるラファが反応する。
【マナは普通だね。おそらくただの熊だろう!】
その言葉にシャインが一言、
【魔獣じゃないからと油断するな】
「……ユグルス。魔獣じゃ、ないけど。警戒、して。倒そう」
「この大きさで……わ、わかりました!」
緊張した面持ちで言うユグルスと大剣を構えるフレナ。するとシャインが、
【フレナ。ユグルスに殺らせろ】
その言葉にフレナが困惑しながら反論する。
【でも。これ、結構、デカい、よ?】
だが、シャインは更に続ける。
【これぐらい倒せんようなら足でまといになるだけだ】
そう言われ、フレナは渋々納得する。
【……わかった】
「ユグルス」
「ひゃい!」
緊張で噛んだユグルスに一抹の不安を感じたが、
「シャイン。が、ユグルスだけ、で、倒せって。だから、頑張って」
「オレ一人で……は、はい! が、頑張ります!」
更に緊張するユグルスの両肩に、フレナが手をおき、軽く叩く。
「!?」
「ユグルス。そんな、に。ガチガチだと、倒せる、もの、も。倒せない、よ?」
優しく声をかけ、ユグルスの緊張をほぐす。そうしている間に、巨大熊が迫って来た。
「さあ。頑張って」
フレナのその声で気合いが入ったのか、ユグルスが手にしていたモーニングスターを構える。
深呼吸をして、
「……いきます!!」