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南西に着いて

「ふぁぁっ! うーん!」


 四日後。南西の町、ギチャに到着した二人は馬車から降り、ユグルスが伸びをする。


「油断するな。ユグルス」


 横からシャインがぶっきらぼうに言う。


「す、すみません! 身体がバキバキでつい……」


【まぁまぁ、何時間も馬車に乗っていたんだ。それくらい許してあげたらどうだい?】


 ラファの苦言にシャインは少し苛立ちを感じながら、


「……行くぞ」


「はい!」


 シャインのいつもの様子に慣れたらしい。ユグルスは笑顔でシャインの後に続いた。


 ****


「あれ? 今日はギルドに直行じゃないんですね!」


 すぐに気づいたユグルスに、ラファが内側から関心したように言う。


【ほう! なかなか鋭いじゃないか!】


【……ラファ、は。ユグルスを、なんだと思って、るの?】


 珍しくツッコミを入れるフレナに、ラファは、


【ふふふ。まぁいいじゃないか?】


 笑って誤魔化し、話を無理やり切り終える。そんな二人のやりとりに、シャインは煩わしそうな顔をする。それに気づいたユグルスが、遠慮気味に声をかける。


「シャインさん? 何かあったんですか?」


「……気にするな。それより、道具屋に行く」


 内側のことを話すのが嫌だったため、今行く目的地の話題に変える。


「道具屋? で、何するんです?」


 小首を傾げるユグルスにシャインは、


「薬草等をな。……アタシとフレナは、ラファの回復魔術を受けられんからな」


「な、なるほど!」


 納得したらしいユグルスを確認すると、


「……時間が惜しい。早く行くぞ」


「は、はい! 急ぎますね!」


 トコトコ歩いていた足を早めるユグルスを見て、シャインは速度を上げる。

 二人は足早に道具屋を目指す。


 ****


 道具屋の前に着いたシャイン達を待っていたのは、睨み合う二人の男だった。


【おやおや。真昼間からケンカとはね!】


【……こないだの、ケンカ、思い出して、嫌、だな】


 各々の反応をする二人を後目に、シャインは、


「……ちっ。邪魔だな」


 そう吐き捨てると、取っ組み合いをはじめた男達とギャラリー達の間をシャインは進んで行く。


「しゃ、シャインさん!?」


 焦るユグルスに後ろ手を振ると、男達二人の間に入る。二丁の拳銃を男達の顔面に向けて。


「な、なんだ!?」


「お、おい! オラ達の問題だべ!?」


 困惑する男達に、シャインは殺気を放つ。


「……なら、店から離れろ。邪魔だ」


 シャインのあまりの圧に、二人の男はたじろぎながらも店から離れていく。


「ふん」


 シャインは冷たい視線を送りながら、ユグルスを呼び、店に入って行った。

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