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南西へ向けて

 翌朝になり、シャインはベッドから起き上がる。


【おはよう! キミにしてはお寝坊さんだね!】


 もう起きていたらしいラファの声にシャインは鬱陶しそうに返事をする。


【うるさい】


【全く。本当に愛想と言うものがないなぁ、キミは。せっかくの美人もなんとやらだ】


【うるさい!】


 そう言って壁を軽く殴る。朝から小言を言われて機嫌が悪いことを察したのか、ラファが静かになる。


「……ちっ」


 そのままの勢いで荷物だけ持って部屋から出ようとしたが、ふと気になり、一応ベッドメイキングしてからシャインは部屋を出た。


【偉い偉い! おっと失礼!】


 挑発しているのか、わざわざ言ってくるラファに軽い殺意を覚えたシャインは、


(……ああ、殴りたい!)


 この呪いの身でなければ、とっくに殴っていただろう。


【……よかったな。呪いを受けてて】


 一言だけ内側へ向けてそう呟くと、部屋を出た。

 ため息が聞こえた気がするが、気づかなかったふりをした。


 ****


 部屋を出てすぐに、どうやら早くに起きていたらしいユグルスと目があう。

 荷物を横に置きながら、水を飲んでいたユグルスは笑みを浮かべながら、


「シャインさん! おはようございます!」


 そう言って挨拶をする。


「……ああ」


 相変わらずなシャインにも、ユグルスは臆することなく、話しかけてくる。

 シャインが来たことで、残った水を飲み干すと、備え付けの流し台に行きコップを洗う。


 すぐに終えると、手を拭きながら、シャインに声をかける。


「今日から遺跡にいくんですよね? 緊張します!」


 そう明るく言う彼女に、シャインは、


「……緊張感は大事だが、緊張しすぎて動けなくなっては困る。程々にしておけ。……食事に行くぞ」


「はい!」


 元気よく言うユグルスに、シャインは表情を変えることなく、荷物を持ってさっさと行ってしまう。


「あ、シャインさん! 置いてかないでくださいよ!」


 ユグルスも慌てて荷物を持つと後を追う。


 ****


 食事を終えた二人は、南西行きの馬車に乗り込むと二人以外にも乗客がいた。


「シャインさん。他の人と一緒に馬車に乗るのわた……オレはじめてです……。緊張します……」


 いつもより小さめな声で話しかけてくるユグルスに、シャインは、


「……気を抜くな」


 それだけ言うといつも通り端に座る。その横にちょこんとユグルスも座ると、静かに馬車は走り出した。

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