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彼らの旅路

 轟音が大地に響く。

 かたや魔獣達の群れ。かたや、魔術を操る魔術師達と科学で造られた大砲などの銃器。

 物理が効く魔獣には科学を。

 魔術が効く魔獣には魔術を。

 それぞれが役割を担い、協力しながら今日も魔獣達と戦う。

 だが、魔術と科学が混合することはない。なぜなら、かなりの高度な技術であり、それを扱える者は、『奇跡使い』と呼ばれるからだ。

 今日も彼らは協力しながらも、決してまじり合うことはなく、共存しながら日々を生き抜いて行く。


 ここは、魔術と科学が共存する世界、ユスティティア。

 

****


 辺境の地。荒野の果てを一台の馬車が走る。荷台に乗るのは一人の若い女。


 二十代前半の、赤いストレートロングな髪と瞳。黒い七分丈の革ジャンに、白の半袖にホットパンツにロングブーツというラフな格好をし、腰には二丁拳銃を身に付けた彼女は、静かに目を閉じ座っていた。


 そんな彼女に、御者台に座る老人が声をかける。


「お姉さん、冒険者かい?」


 老人の問いに、ゆっくりと目を開け、


「……ああ」


 愛想のない答えにも、老人は気にせず話を続ける。


「女一人でこんな辺境の地まで何用ですかい?」


「……ただの遺跡調査だ」


「遺跡? 仲間も連れずにですかい?」


 女は首を振ると、


「いや……仲間ならいる」


 それだけ答えると、彼女はもう話はいいだろうと言った感じで目を再び閉じた。

 老人もこれ以上は会話してもらえないと感じたのだろう。静かに二匹の馬を動かす。


 しばらくして、突如馬が止まり暴れだした。


「どうどう! どうしたってんだ⁉︎」


 慌てる老人に荷台から女は出ると、


「下がっていろ。……魔獣だ」


 そう言うと彼女は二丁拳銃を構える。それと同時に、茂みからどう隠れていたのか二メートル程の黒い体毛で覆われた犬のような獣が現れた。


「ひぃぃ‼︎」


 馬達は暴れ、馬車は怯える老人ごと彼方へと走り出してしまった。

 置いて行かれた女は、静かに拳銃を獣に向けると、


「こい」


 それを合図に、獣は立ち上がり右腕を振り上げた。女はそれを左に避けると、弾丸を獣に向けて放つ。だが、当たったはずの頭部には傷一つない。


「……物理が効かないタイプか。なら、()()()()()()()()


 そう言うや否や、彼女の身体から光が発せられ、包み込まれる。

 そして現れたのは、背中に翼を生やしたセミロングのウェーブかかった金髪に青い瞳の、緑色のみっちりとした服に白い腰布と手袋とブーツを履いた二十代後半の男だった。


 男は宙に浮くと、


「全く! シャインめ、直ぐに私に変わるのは良くないと思うんだが‼︎」


 すると、男にしか聴こえない、内側から声がした。


【そういうなラファ。アタシでは勝てないのだから仕方ないだろう?】


【全く! 諦めが早いのはいい事なのかどうなのやら!】


 内なる声にて反論すると男・ラファは、バタついている獣に向けて、手にしていた杖を向ける。


「消え失せるがいい! フォア・フランメ!」


 ラファがそう言うと、杖から巨大な火球が発生し獣目掛けて飛んで行く。その大きさ故に獣はかわせず、消し炭となった。


「ふう。こんなものかな?」


 ラファは地上に降り立つと、


「ここからは徒歩か。夜になりそうだし……フレナの出番だな!」


 ラファの身体が光り、今度は褐色肌に尖った耳の、黒い短髪に黒眼の、白いフード付きのマントで顔を隠し、下に銀色の甲冑を着て、身の丈程の大剣を背負った十代後半の青年が現れた。


「……ボクの足でも。遺跡までは、二日程かかるんだけどな……」


 そう文句を言いながらも、青年フレナは遺跡に向け歩きだした。


 二丁拳銃の使い手、シャイン・グレンベック・レッド。

 魔術に長けた有翼人、ラファ・シファー・ステンディダンバルネル。

 大剣を操るダークエルフ、フレナ・アルストレイ・ブラッディングス。


 彼らは五年前、とある事故に巻き込まれ、三人分の魂に一つの身体、つまりは三身一体の呪いを受けてしまったのだ。


 彼らの目的はただ一つ。この呪いの解除。そのために今日も旅をする。冒険者として。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い発想と理解しやすい表現には好感をいだきました。 [気になる点] 人物描写に関しては、もっと絞った方が良いです。完全な説明文と化して物語の流れを悪くしているように感じました。 一ヶ所で…
[気になる点] みっちりとした服……?
[良い点] 読みやすかった。d(˙꒳˙* )
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