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オーク

オークの出現場所は俺が最初に舞い降りた森の中らしい。俺はリアと共に森の中を進んでいる。しばらく進むと、視界に棍棒を持った小さな鬼を二匹捉えた。まだこちらには気付いてないらしい。ゆっくり近づき魔眼で鑑定する。



ゴブリン LV11


ゴブリン LV12



レベルもそんなに高くないようだし、何とかなりそうだ。


「ご主人様!ここは私にお任せ下さい。私の実力を見てほしいです」


純銀の剣を抜き、ゴブリンに向かって走り出そうとするとリアが俺を呼び止め、そう言った。


「うん、いいけど…ってもう行ってるし」


リアは疾風のレイピアを抜き、ゴブリンに向かって走っていった。ゴブリンはリアに気付き棍棒を構える。い匹が棍棒を横なぎに振る。リアはそれを鼻先すれすれで避け、一気に前進しレイピアで心臓を貫いた。そしてすぐその絶命したゴブリンを蹴り飛ばし、後ろから迫っていたもう一匹にぶつけた。リアは体制を崩したゴブリンに走り寄り、一瞬で眼と肩を貫いた。俺がリアに追い付いたころにはゴブリンは苦しみながら地面で転がっていた。


「終わりました、ご主人様…ドスッ」


リアさん、そんな笑顔でゴブリンにとどめを刺さないでください。怖い。この時だけはあの可愛いリアが鬼に見えた。ゴブリンは耳をドロップした。これはゴブリンの討伐証明用の素材だろう。不思議ではあったんだよな、ドロップ率の低いこの世界でどうやって討伐を証明するんだろうって。おそらくどの魔物にも確定ドロップの部位が存在するのだろう。まあ、素材としての価値はほぼ皆無だから持って行かなくていいと思う。


「リアはほんとに素早いし強いな」


「ありがとうございます、おそらくスキルのおかげかと」


スキルだけであそこまで早くなるのだろうか。リアの持つ本来の身体能力も高いのだろう。

俺とリアはそのまま森の奥へ進んだ。


「ん…?ご主人様、何かが焦げたような匂いがします」


「誰かが焚火でもしてるのか?…いや、種によっては火を起こす魔物もいるらしい。リア、警戒しながら進もう」


「はい」


俺とリアは剣を抜き、警戒しながら慎重に進む。少し行くと、俺にもわかるくらいに煙の匂いがしてきた。どうやらかなり近くまで来たようだ。


「リア、あれだ」


少し先の開けたところに焚火を囲んだオークが四匹いた。槍を持ったやつが二体、剣が一体に棍棒が一体。ご飯時なのか、なにやら肉を焼いているようだ。



オーク LV26


オーク LV24 


オーク LV25


オーク LV26



できれば三体が良かったな。オークキングは遭遇した時から瀕死だったからまともに戦うのは初めてだし、緊張する。手汗があふれ、体が少し硬直する。息も乱れてきた。すると何かが背中が触れた。


「ご主人様、大丈夫です。私が付いていますよ」


それは震えたリアの手だった。自分も緊張しているのに俺を気に掛けるなんて、本当にリアはすごいな。それに比べて俺はなんて情けないんだ。実践は無いにしてもレベルは高いんだし大丈夫。そう自分に言い聞かせ、集中を高める。次第に体が弛緩していくのが分かった。


「ごめん、俺がしっかりしないとな。俺がヘイトを稼ぐ。よし、行くぞ!」


俺は手前のオークに向かって突っ込み、リアはその後に続いて走り出した。俺が開けた場所に出ると、一番遠くにいたオークの視界に入ったようでそいつが叫びをあげた。


「グアア!!」


その叫びを合図にオークたちは武器を取り、立ち上がった。俺はそのまま突っ込み、手前のオークが武器を手に取る前に袈裟懸けに切り捨てた。だいぶ深く切ったがまだ息の根は止まっていないようだ。生命力が強いな。


「ご主人様、来ます」


槍を持ったオークが突きを繰り出してきた。俺はそれをバックステップで躱す。リアはその隙にそのオークに接近しレイピアで三度貫いた。オークは苦し気な表情を浮かべたが、すぐに立て直し仲間の元まで後退した。


「ずいぶんとしぶといですね」


「ああ。おそらく倒れてるオークは動かないし死んだだろう。もう一度俺が突っ込む、ついてこいリア」


「はい!」


俺が走り出すと、今度は剣を持ったオークが前に出た。オークが剣を振り下ろすのに合わせて俺も剣を振り下ろす。二つの剣が打ち合うと、オークの剣だけが吹っ飛んだ。オークの剣がかなり軽く感じられたのだ。豪腕スキルのおかげだろう。これならいくらでも腕立て伏せができそうだ。


「ご主人様!危ない!」


視線を横に向けると、そこには今にも棍棒を振り下ろそうとしているオークがいた。リアがそのオークの首元を切りさくが、それだけではオークを殺すに至らず棍棒が振り下ろされた。俺は咄嗟に腕でガードする。


ポスッ。ん?今何かした?。いや、確実に棍棒が腕に振り下ろされている。つまりその程度の衝撃しかなかったということだ。頑強のスキルによってかなり防御力が上がっているのだろう。


「リア!今だ!」


リアは棍棒のオークの胸辺りを幾度も刺した。そのオークはリアの攻撃で絶命した。


「あとは槍だけか。魔法を使ってみるか」


俺は火魔法Ⅰを発動させ、攻撃をイメージする。すると掌にバスケットボール大の火の玉が出現した。


「うお!あっつ…くない。自分の魔法では自分に攻撃できないのかな」


その火の玉をオークに向けて放つと、かなりの速さでオークに飛んでいき、オークの体を燃やした。体が燃えたオークは苦しみの声を上げ、地面でのたうち回った。


「グギャアアア!!」


リアはそのオークに近づき、心臓を一突きして絶命させた。


「おわりましたねご主人様!」


だからその笑顔でとどめをさすのやめてください。次は俺かもしれない…。そう思うとブルブルっと体が震えた。

戦闘が終わり、ドロップの確認のため辺りを見回す。さすが極運というべきかそこそこのドロップを拾えた。



オークの剣(ランク2)


オークの槍(ランク2)×2


オークの革×3



そしてオークの討伐証明であるオークの鼻が1、2、3……3個?オークは四体いたはず。あとひとつはどこへ行ったんだ?


「ご主人様!こっちに血痕が。おそらく最初に切り捨てたオークの物だと思われます。」


「逃げたのか…すぐ追おう。途中で死んでるかも知れない」


俺とリアはそのオークの血痕を辿って森の奥へ進んだ。


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