カード
「この辺でいい宿ないかな」
「それなら雛鳥の宿がいいです!綺麗だし料理もおいしいし値段もそこそこ安いです」
「いいね、案内してよ」
リアの案内で宿に着いた。中はとてもきれいで、カウンターに宿のおばさんがいた。
「二人で三泊したいのですが」
「あいよ!一人一泊4000リアだよ!だから…」
「24000リアですね。はい、ちょうど銀貨24枚です」
「ほう、お客さん商人かなんかかい?計算ができるなんて珍しい。はい、ちょうどだね、これ鍵だよ。朝ご飯は言ってくれればつくるよ。でも夜は別料金だ」
「ありがとうございます」
俺とリアは二階に上がり、部屋に入った。内装はそこまで広くはないものの綺麗な印象があり、風呂なども付いていた。
「夜ごはんはこの一階で食べようと思うんだけどいい?」
「はい!」
リアと少し休んだ後一階に降りてご飯を注文した。するとチキンステーキとパンとサラダが出てきた。チキンステーキはかなり柔らかく食べやすかった。リアと談笑しながら夜ご飯を食べ終わり、部屋に戻った。風呂を沸かせる準備をし、待っている間リアに気になっていたことを聞くことにした。
「なあリア、このカードを見てほしいんだけど…これってどうやって使うの?」
「ああ、スキルカードにモンスターカー………え!!オーガキングのモンスターカード!?こんなもの一体どこで手に入れたんですか」
「いやあ、倒したら出てきたっていうか…売ろうとも思ったんだけど」
「これを買い取れるのなんて国くらいですよ!いいですか!こんなもの外で出したらすぐに取られちゃいますので隠しといてください」
「分かったけど、モンスターカードっていったい何?」
「モンスターカードというのはモンスターが極まれに落とすカードのことで、使うことで自分の配下として召喚が出来ます。召喚したモンスターは死なない限り再カード化ができます。そしてなにより大事なのがこのカードはドロップ率がとても低いため、Ⅾランクモンスターの物でもかなり高値で取引されています。Cランクモンスターのモンスターカードになると数年に一回見つかるかどうかですし、国家レベルの財力でないと買い取ることはできません。なのでAランクモンスターのオーガキングのモンスターカードとなるともう…造像もできません…」
え、そんなすごいものだったの…?かっこいいからって理由で取っておいたけど、店で売ろうとしなくてよかったー!殺してでも奪おうとする輩が現れたかもしれない。
「そうなんだ…じゃあ自分で使うのがいいね」
今度はスキルカードといったものをリアに渡して見せた。するとリアはまた驚いた顔をした。
「これは…ここまで強力なスキルがカードになっているのを私は見たことがありません…スキルカードもモンスターカード同様にモンスターが超低確率で落とします。使用することでそのスキルを覚えることが出来ます。モンスターカード同様に弱いものでも値段も相当なものと聞きます…」
こっちもかー…。あぶなかったな。でもこれどうやって使うんだ?ん?…おわ!
近くで見ているとそのカードが消えていった。自分のステータスを見てみる。すると
リョウ・ヤマグチ 男 18歳
渡界人LV51
スキル 極運 火魔法Ⅰ 豪腕 頑強
スキルが増えており、合計で四つになっていた。どれ程強いものかはわからないけど、オーガキングとオークキングの持っていたものだからおそらく相当なものだろう。
「これで強くなった…のか?」
「はい、そのスキルはご主人様のものとなりました。それにしてもご主人様、もしかして本当に有名な冒険者なのでは?」
「いや、違うよ。あ、このことはくれぐれも内密にな?さあ、冷めないうちにお風呂に入ろう」
「はい」
俺が服を脱いでいると、脱衣所にリアも入ってきた。
「え!どうしたの!?先入る?」
「いえ、お背中お流しします」
「いや、いいよ大丈夫…」
「いやご主人様?これも立派な務めです。どうぞお任せください!」
リアのごり押しに負け、背中を流してもらうことになった。風呂の中で待っていると、裸のリアが入ってきた。俺は慌てて目を逸らした。
「服…着ないの?」
「ええ、この方がやりやすいですし」