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ギルド


街の大通りに出ると、かなり賑わっていた。それも人間だけでなく、猫耳の生えた少女や狐の耳を持った者など様々な人種が当たり前のように暮らしていた。流石異世界だ。あのケモミミをもふもふしたい…い、いかん、とりあえず身分証の発行と言えば冒険者ギルドだろう。そこに向かうとしよう。


少し行くとおいしそうな果実が売られているのを見つけた。リンゴのような見た目の赤い果実だ。何も食べていなかったから腹が減ったな…買っていくか。


「すいません、この果実を一つください」


「あいよ!20リンだよ!」


え?今なんて言った?リン?この世界の通貨だろうか。俺がもらった金貨って一体何リンになるのだろう。とりあえず金貨一枚を出してみた。


「お!アイテムボックス持ちか!それに金貨か…おつり足りるかな?ちょっと待ってて、裏を確認してくるよ」


そういって出店の店主が店の奥に消え、巨大な袋を持ってきた。


「あいよ!硬貨多くなっちゃうけど勘弁してくれや」


正直お釣りがあってるのかわからないが、まあ店だし大丈夫だろう。そう思いお釣りと果実を受け取った。


「すいません、冒険者ギルドのような物ってこの辺にありますか?」


「ギルドかい?そこを曲がったら大きな看板を掲げてる建物がある。一番大きいから一目でわかると思うよ」


「ありがとうございます!」


俺は果実を頬張りながら指定された角を曲がる。この果実おいしいな。桃のような梨のような、飽きの来ない味だ。少し行くと明らかに大きな建物があった。言わずもがなあれがギルドだろう。俺はギルドの扉を開けた。中は冒険者と思われる武装した人達で溢れかえっていた。屈強な男に魔術師のようなローブを着た者、恰好は様々であった。


うわー。喧嘩とかしたら絶対勝てないんだろうなー。向こうのカウンターへ行こう。カウンターでは何人もの受付嬢が忙しそうにしていた。


「すいません、登録をしたいんですが…」


「はい、ではジョブを教えてください」


どうしよう。渡界人って書くのはおかしいし、怪しまれたりするかもな。ひとまずあるのかわからないけど剣士ってことにしよう。


「剣士です」


「はい!ではこちらの水晶に手をかざしてください。するとあなたの能力を測り、それに応じてこの水晶の中に色のついた煙が発生します。それによってあなたに等級が決まります。それではどうぞ」


手を推奨にかざすと、そこには青色の煙が発生した。青か、そんなに強そうな色じゃないな。そう思って受付嬢の顔を見ると、相当驚いているようだった。


「!!B級です…初めての計測でB級だなんて、相当すごいことですよ!」


「あ、ありがとうございます」


なんだか意外とすごいようだ。あの二匹を倒したおかげだろう。あの強さの奴らが瀕死の状態でいたのも極運の影響だったのだろう。この能力…意外と使えるかもしれない…。


受付嬢から渡されたものは銀色のプレートだった。手に持つと、それが手の中に吸い込まれていった。なんだこれ!アイテムボックスを使ってないのに消えた。受付嬢は焦っている俺を見て


「あれ?知らないんですか?冒険者プレートはパーソナルカードに読み込まれるんですよ」


「パーソナルカード?なんですかそれ」


「あら、それも知らないんですか?珍しいですね。皆さん自分の名前などの情報が書かれたカードが体内に入ってるんですよ。でもそれだけではなんの証明にもならないのでこの冒険者プレートなどの証明書を読み込ませることでやっと身分証として使えるんです」


まずいな。この世界では常識であろうことを聞いてしまったから怪しまれたかもしれない。

まあ、いいか。なんてったって運がいいんだ。なんとかなる。



「クエストを受けるのでしたら、あそこのクエストボードという依頼が掲載される掲示板を見るとよいです。まあリョウさんはB級冒険者なのでそこそこ難易度の高いところでもやっていけると思います」


「ありがとうございます。素材などを売るところはどこですか?」


「どんな物の買取もここで受け付けてますよ。ただ武器に関してはその専門の店の方が高く売れるかもしれません。加えて王都で行われるオークションへの出品も可能です」



オークションについてはよくわからなかったが、すぐに金にしたかった俺はとりあえずさっき手に入れた角と革を出すことにした。カウンターに出すと、今度は受付嬢だけでなく周りの冒険者も目を見開いて驚いてるのが分かった。え、俺何か悪いことした?



「ええええ!これってもしかしてキングオーガの堅角とキングオークの上革じゃないですか!!王都に行っても滅多に見れませんよ!」


「え?これってそんなにすごいの?」


周りの視線が全て俺に注がれていた。


「おいうそだろ、あんなもの初めて見たぜ」

「相当レアなものだろ?今日登録した奴がぽんと出せる代物じゃない」

「あれがありゃ数年は遊んで暮らせるぞ…」


「そうです!普通種ならまだしも、上位種の素材なんて余程運が良くないとドロップしませんよ!それに状態もほぼ完ぺき…オークションは利用しないってことでよろしいですか?はい。かしこまりました。鑑定した後に換金してきますので少々お待ちください」


俺がオークションを断ると受付嬢さんは素材を持って奥へ消えた。それを待つ間、周りの冒険者の視線が恥ずかしかった。少しすると大量の硬貨をお盆のような物に乗せて帰ってきた。一体何枚あるんだこれ。


「はい、こちらが売却額の金貨76枚、銀貨36枚、銅貨25枚になります」


手で持つことはできなそうなので、俺はその全てをアイテムボックスにしまった。するとさらに驚きの声が上がった。


「なに!?アイテムボックスも持ってるのか!」

「おい、あいつなんでも持ってるな…」

「あーあ、なんで俺生きてるんだろ」


また目立ってしまった…。俺は居心地が悪くなり、颯爽とギルドを出た。



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