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  作者: 鑑
3/3

海くんと陽さん

「おとうさん、これかいたんだ!おさかなだよ!みてみて!」


「…かい、お父さん忙しいんだ。明日にしてくれないか?」


「…うん、ごめんなさい、、」


(俺のせいで、海は1人になってしまっている。。誰か、俺と一緒に海を育ててくれる人は居ないのか…かいを…少しでも自由にさせてあげたいのだが…)



「おとうさん、いまかいたんだ!これがホホジロザメでぇ…」


「かい、ごめんな。お父さん今お仕事してるんだ。明日でいいか?ごめんな、1人にしちゃって…」


「あ、ごめんねおとうさん!だいじょうぶだよ、これ、うみちゃんたちにみせてくるね!」


「あぁ。(そうか…もう、俺1人じゃないんだな。美穂ちゃんもうみちゃんもいる。)」


お父さんおしごとがんばって!といいながら、「かい」と呼ばれた男の子は部屋を出ていきました。


「うみちゃーーーーん!」


「なぁに、かいくん?」


「みてみて!これ、ぼくがかいたんだ!こっちがジンベイザメ!それでこれがエイでね、」


「すごーい!うみもかきたい!かいくん、いっしょにかこー!」


「うん!じゃあ、美穂さんママさんからかみもらってくるね!」


「うみもいくー!」


「みほさんママさーん、おえかきのかみください!」


「あら、かいくんおえかきするの?」


「うみもだよ!」


「そう!じゃあ、これどうぞ!」


美穂さんママさんと呼ばれたのはかいくんと、うみちゃんのお母さん。


とても明るくて面白い、素敵な人です。


お父さんの陽さんも優しくて…すごく素敵な桐谷家なんですが…


他の家族とは少し違うところがありました。


それは、かいくんとうみちゃんは血が繋がっていないということ。


陽さんと美穂さんは、先日再婚したばかりなんです。


なので、陽さんとかいくん、美穂さんとうみちゃんは親子ですが、、、


陽さんとうみちゃん、美穂さんとかいくんは義理の親子ということになります。


かいくんとうみちゃんは同い年で幼稚園の年少さん。


再婚を機に引越し、先日から新しい幼稚園に通っています。


「うみちゃんじょうずだね!これ、なぁに?」


「これはねー、んーと、わかんない!」


「えー、なにかいたかきめてないのー?おもしろーい!」


2人でお絵描きをしながらくすくすと笑っています。


今日は土曜日なのですが、土曜日には守らなくては行けないルールがありました。


それは、


陽さんの邪魔をしないこと。


陽さんは土曜日、自分の部屋で仕事をしています。


これを絶対に邪魔しない。と、言うのが桐谷家のルールなのでした。




「…再婚してよかったな。」


陽さんは仕事をしながら無意識に呟いていました。


「俺と、かい2人の時は俺にも余裕がなくて…かいにめいわくをたくさんかけたし、寂しい思いも沢山させちゃったしな…素敵な家族が出来て良かった…」


かいくんのお母さんは、かいくんを産んで、すぐに亡くなってしまいました。


その為、今まで陽さんは1人でかいくんを育てて来たのです。


ですが、そんなに忙しくても仕事を辞める訳にはいかない。


と、陽さんはかいくんをそだてながら家で仕事をしていました。


平日は夜、土曜日は1日中仕事をしていた陽さんでしたが土曜日の仕事の際、かいくんにはいつも、邪魔をするなと言っていました。


かいくんは土曜日、1人でお絵描きをしたりして過ごし、なるべく陽さんの邪魔にならないように。


と、生活してきました。


陽さんはそんなかいくんを見ながら


どうにかかいを1人にさせない方法はないか


と、考えていました。


「かい、いつも、寂しい思いさせてごめんな。」


「だいじょうぶだよ。ぼくさびしくないもん。おとうさんははやくおしごとしてきて!」


「…あぁ…」


ときには、強く当たってしまうこともありました。


「おとうさん、これ!さいこうけっさく!」


「かい、お父さん眠いんだ。寝かせてくれないかな?仕事で疲れてるんだよ。」


「きょうはにちようびだよ?こうえんいけないの?」


「きょうはだめだ。またらいしゅうな。」


「だって、おとうさん、まえもいけなかったよ?」


「…じゃあ水曜日にいくよ。いいか、かい。今からお父さんは寝るから、静かにしててくれ。キッチンに入っちゃダメだぞ?いいな?よし、おやすみ。」


「…おやすみ、おとうさん…」


ですがかいくんは、なにをいわれてもお父さんの前で泣かないよう、迷惑をかけないよう、頑張っていました。


「…おとうさんいそがしいから、あそべないんだって。クラゲくん、いっしょにあそぼ。…ぼく…おとうさんともあそびたいのに!なんであそんでくれないのかな、」


でも、そんな生活ももう終わり。


うみちゃんや美穂さんがいて、お父さんもいる、素敵な4人での生活が始まるんです。


「…仕事でしっかり稼いで、出かけられらようにしないとな!」


「陽さん、お昼ですよ、食べませんか?」


「美穂ちゃん…貰うよ。いましたに行くから先に食べててくれるかい?」


「待つわよ!ほら、早く」


「あぁ。」


これから何が起こるのでしょうか。


でも、何が起こっても、この家族ならきっと乗り越えられるはず。




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