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全ての始まり

異世界物ではありません。まあ、かけと言われれば書きますが。

細かいことは突っ込まないでくださいね。あくまで作者の脳内物語です。

現実を持ち出すのは野暮ってもんでさぁ


かなり広い部屋に対して広い感覚で照明があるため薄暗い。そんな部屋にひ弱そうな一人の少年とボサボサの髪に白衣を着た男が立っていた。



目の前に『棺桶』が置いてある。吸血鬼などのホラー映画に出てきそうな六角形に黒色、バラのレリーフが施され中には真っ赤な液体が満たされている。その棺桶の周りにはいろいろなコードが伸びており、機械的な仕組みがあるのだろう。


「これは我々が開発した新型の装置だよ。液体は……まあ、君に詳しく説明してもおそらく理解できないと思うからざっくりと。この液体には人間が生きる上で必要なものがすべて含まれてるんだ。まあ、酸素や栄養ってことだね。」


「は、はぁ…そうなんですか…」


「そう。だからこの中に入っていれば生きていけるのさ。液体だから便はないし尿も汚いものじゃないんだ。第一、中に入れば君の意識は別の世界にあるから気にしなくていいよ。まあ、僕らは君の様子をモニタリングしてるけどね」


「わ、わかりました…」


「まだ液体の説明は終わらないよ。この液体は特殊でね。君の行く世界でもし、君が何かしら行動する。歩いたり、走ったりね。もし食べ物を食べたとしたら、電気信号で味蕾を刺激し味を…ってわからないか。つまり味を感じられる。また、走ったり運動したりすればその都度、液体が変化し負荷を与えるから実際に感じることができるよ。まあ、中で暴れるわけじゃなくて見た感じはピクピク動いてるって感じかな?五感も再現してくれるから風も花の香りも感じることができるよ。」


「わかりました……」


「さて、液体の説明はざっくりだけど終わったよ。君の行ってもらう世界は我々が開発したゲーム『MG(モンスターガーデン)』の世界だ。君の大好きなね……っと、一つ教えておこう。コマンド操作なんて存在しないから、すべては君の意思が鍵だよ。さ、説明は終わった。服を脱いで中に入ってもらうよ」


「はい…」


俺はその場で服を脱ぎ全裸の状態になると、ゆっくりと棺桶に向かう。


これで俺は生まれ変わるんだ……


液体に足を入れる。最初は液体に足を入れた感覚があったがすぐにその感覚がなくなる。まるで麻酔をしているように感覚がない。俺はそのまま仰向けに液体に完全に浸かる。


「最初は液体が肺を満たすまで辛いかもしれないけど頑張ってね」


「はい。」


俺は大きく息を吸い込むと液体の中に全身をつけた。すると、すぐに説明していた男が蓋を閉め視界が真っ暗になる。

息が続かなくなった俺は耐え切れず息を吐く。液体がすぐに口や鼻から入り込んでくる。プールとかでよくある鼻がツーンとした痛みと、肺に液体が入ったむせる感覚がする。く、苦しい…

だんだんと視界がボケ始め俺はゆっくりと目を閉じた。




体が温かく目をそっと開くと、真っ青な空に白い雲がゆっくりと流れていく。

心地よい風が体を通り抜け、地面に生えている草が風で揺れ体にあたりくすぐったい。


「ここは……いや、ここが…『MG』の世界……本当にこれたんだ…」


体を起こしあたりを見渡す。俺は現在小高い丘にいるようであたりを一望できた。

下まで草原が広がっており、その先には木々が生い茂っている。つまり森ということだ。俺はこの景色に見覚えがあった。

俺が10年間ずっとプレイしていたTPSゲーム『MG(モンスターガーデン)』だ。フィールドはシームレスで狩場の他に村も国も存在するゲームでストーリーが進むと新たなフィールドに行けるようになったりする。そして俺は初期からプレイを『英雄』の肩書きを持っている。

閑話休題(それはさて置き)、このフィールドは『カーディナ王国領』で、今俺がいる場所は一番最初にプレイヤーが目覚める『ラックの丘』だ。この丘は基本的にトレインしない限り危険なモンスターが現れない初心者用の場所だ。また、草系統の素材が豊富にとれるため素材集めの場所としても有名で熟練者になってもここを利用する場所だ。

さて、ここで何をするか…まずは今の俺とゲームとの違いを調べることにする。なんせゲームではボタンひとつでアイテムポーチを開けたが今の俺にアイテムポーチなどないのだ。


「とりあえず、口で言ってみるか…アイテムポーチ!…開け!…オープン!」


しかし何一つ変化は見られなかった。言葉じゃないのか?……

なら、もしかして…?

俺は改めて自身の服装を見てみると、布と鉄を組み合わせた初心者用の装備に腰に片手剣と剝ぎ取りようナイフに小さなポーチが付いていた。どんな装備にしてもこのポーチは変わらなかったのでゲームの時は「こだわってるなー」と思っていたがもしかしたら…


「まさかな…でも、ここまでこだわるのか?…」


俺は恐る恐る腰につけられたポーチを開くとそこは真っ暗な闇があった。手を入れてみると底がなく肘まで中に入れることができた。おそらくこれがポーチなのだろう……まあ、それしかないか。

さて、次だがゲームでは採取すると入手したアイテムの名前が出てきたが、この世界ではどうなるのだろうか。まあ、ざっくりだが見た目でも判断できる自信はあるが…念のためだ。

適当にあたりに生えている雑草をむしろうと手を伸ばすと、雑草の上にバーナー現れた。


『雑草』


実にシンプルだが、これは非常に助かるな。どこまですればこのバーナーが現れるか調べると、視界に入れしっかりと見つめるだけのようだ。実に簡単だ。

さて、ゲームでは『体力』と『スタミナ』が表示されていたが、どうやっても表示されることはなかった。ステータスも表示できなかったのでおそらく死ねば『体力が0』走り疲れれば『スタミナが0』ということなのだろう。だから事前に説明で「走ったり運動したりすればその都度、実際に感じることができる」と言っていたのだろう。もう少し詳しく説明をして欲しかったな…まあ、いい。


「さて、早速『薬草』と『可燃草』あたりを入手して街に入るか。まだ日が高いから時間はあるだろう」


このゲームはリアルと同じで日が昇り日が落ち、季節も同じように過ぎる。まあ、現在何の季節で何時かもわからないが、それは経験からの感覚で行くしかない。街に行けばわかるとは思うので、後にしよう。

さて『薬草』と『燃焼草』だが、まず薬草は体力を僅かだが回復するアイテムで、回復アイテムの素材にもなる大切な素材だ。次に燃焼草だが発火点が低く危険な草だが最初に入手すべき素材のひとつだ。

生えている場所だが、薬草はタンポポのように黄色い花を咲かし燃焼草は赤いので見つけやすい。しばらく探していると、すぐに二つとも発見できた。見つかるだけ採取したが、アイテムポーチは満杯になることはなかった。


「さて、そろそろ素材も集まったし街に行ってみるのいいな……あ、そういえば街までの間に何か討伐するのが街に入る条件だったな……ラビットがいればいいんだが…」


俺は剣を腰から抜いて木々の生い茂る森に入る。見慣れた光景でも、リアルに感じると少し違和感を感じるな…

森を散策しながら、森でしか手に入らないアイテムを入手していく。と、言ってもそこまでレア度も必要性もそこまで

ないが、初心者は素材収集から入るものだからとひたすらアイテムポーチの中に入れていく。

しばらくすると、再び開けた草原に出た。先ほどより生えている草が長く膝のあたりまで伸びている。この草原は『ピュルーイの畑』といいピュルーイという小さな野いちごのような物が多く生えておりラビットがよく集まる場所だ。


「っと…早速居たな。美味しそうに食べてるな」


▶︎


そして、そこから80年もの時間を少年がこの世界で過ごしていた。そんな彼にはすでにゲームだったなんて記憶は残ってはいなかった。

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