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第六十八話 大事な人を取り戻すために

4人は協力して動き出した。

まず海は森の木々にゴブリンがどこに行ったかを聞いた。

それと同時に松もスキルを発動して方角を確認する。

松の小指にはスキル発動と同時に赤い糸が現れ、森の中へと続いている。

そして、2人の指示した方向はほぼ一緒だった。

方向が分かり4人は捜索を開始した。


4人は慎重に森の中を走り抜ける。

実際彼女たちが攫われてそれほどの時間は経っていない。

そのため30分もしないうちにゴブリンたちを見つけることが出来た。

群れを確認し攫われた恋人たちを探す。

しかしここで問題が発生した。

攫われた恋人が3人しかいなかったのだ。

外見が違うため誰がいないかはすぐに判明した。

いないのは哲の恋人のローラである。

哲は先ほどの幻術を思い出し焦る。

そこで海が話しかけた。

「哲落ち着け。」


海は哲の肩に手を置き自分へ振り向かせる。


「これが落ち着いていられるか。」

「今のところ、この群れにいる3人の安全は確認できた。」

「それならば今一番危険なローラの探索を最優先したいと俺は思う。」


海はそう言って他の二人に視線を向けた。


「俺もそれでいい。」

「俺も賛成だ。」

「皆ありがとう。」


そして海は再び周りの草木へ語り掛けた。

どうやら少し前に数匹のゴブリンがローラを連れて群れから離れた様だ。

4人はすぐに引き返しローラを追った。

それほど時間を置かずにローラを発見できた。

どうやら所詮はゴブリンと言う事か。

奴らは少し行ったところにあった窪地へ潜みローラを襲おうとしていた。

それを見た哲はスキル{韋駄天}を発動し一気に距離を詰める。

淳はとっさに影操でゴブリンの口をふさぎ声を封じた。

哲は勢いのままに一気にゴブリンを始末した。

そして哲はいまだ眠るローラを優しく抱きしめた。

するとローラは目を覚まして驚いた顔をする。


「哲どうしたのみんな見てるよ。って、ここはどこ?」

「君はゴブリンにさらわれて今まで眠らされていたんだ。」


それを聞いてゴブリンの死体を見たローラは驚き、体や服を確認して安堵した。


「君たちが攫われてまだそれほど経ってないんだ。でも君は簡単に起きてしまったから他の人が心配だ。すぐに助けに行かないと。」


「他の!?もしかしてリオとクウも攫われたの?」


それを聞いてローラは最悪の状況を考え少し震えている。


「あと松さんの恋人のフレイも攫われた。それで君を一人にしたくないけどあっちに30分も走ればキャンプだから先に帰れるか?」


哲はつらい顔をしてローラに告げた。


「私は足手まとい?」


それを見てローラもつらい顔をしながら哲へと問いかける。


「すまない。今回はゴブリンロードがいる可能性が高い。実際俺たちも3人を救出したら一度撤退を考えている。我慢してくれ。」

「分かったわ。3人の事お願いね。」


そう言ってローラはキャンプの方角へ走っていった。

ある程度行けば匂いが目的地を教えてくれるだろう。


そして4人は再び群れに向かう。

そして再び群れに追いついた時、恐れていたことが起きた。

3人の女性が目を覚ましたのだ。


「何これ、ゴブリン!」

「何で揺れてるの?キャアアーー」

「どうしたんです・・・何、いや、離して!」


そして彼女たちは暴れたことで地面に落とされてしまう。

それを見て周りのゴブリンたちが3人に群がっていった。

こうなるとロードの統制も効かずゴブリンたちは好き勝手を始めた。

ある者は髪を掴み、ある者はその体を好き勝手に触る。とうとう武器を手に近寄るものまで出始めた時、彼らは接近しながらそれぞれスキルを使った。


哲は{韋駄天}でいち早く接近しゴブリンを攻撃した。

それを見たゴブリンたちは3人の女性から離れ戦闘態勢をとる。

しかし、所詮はゴブリン。

哲の速度にはついて行けず混乱は広がっていった。


次に到着したのは海。


「これでもくらえ。」


彼はスキルで霊槍を作り出しゴブリンを薙ぎ払った。

同時に複数のゴブリンを始末していくが二人で倒していってもその後ろから次々とゴブリンが現れ道を塞いだ。


松も剣を手に身体強化を使い攻撃を始める


しかし彼らが手間取っていると群れの後方よりゴブリンロードが現れた。

ロードは傍のメイジに命令しリオとクウを魔法で眠らせ周りに命令を出し混乱を沈めていく。

それを見てとっさに淳は{影渡}を発動し忍び寄った。

しかし気配に気づいたロードは足元の影を攻撃する。


それにより淳はダメージをくらってしまい一度後ろに下がった。


そしてロードはフレイの首を掴み剣を突きつけ松たちに見せつけた。

フレイは人質となり、さらにロードの足元にはリオとクウが運ばれて来る。


そのため救出に来た4人は攻撃を止めた。


「紅夜さん、みんな、私達の事はいいから攻撃して。このままだとあなた達も殺されてしまう。」


フレイは愛する者の死に恐怖し自分を犠牲にする事を選んだ。

そして、ここでゴブリンロードが動く。

まだ人質は2人いる。

そのため勝手に喋っているこの女を見せしめに殺そうと考えたのだ。

ロードはフレイへ剣を突き刺すために一度剣を引く。

フレイはそれを見て松に最後のほほえみを向けた。


「フレーーーイ!」


それを見た松はフレイの名を叫び、とっさにスキル{身代わり}を発動する。

そしてロードの剣がフレイに突き刺さった瞬間そのダメージの全てが松へと流れ込んだ。


「ぐふ。」


フレイは自分が無事な事に驚き、松が血を吐いたことに驚愕した。


「紅夜さん、なんで・・・」

「俺たちは自分の恋人を救うために天職を得て来たんだ。

今のは君へのダメージを全て俺に移すスキル。

フレイ、君は絶対に守って見せる。」


それを聞いてフレイは涙を流す。


「ダメ、そんなことしたら紅夜が死んでしまう。」

「大丈夫、俺は死なない。俺たちはまだこれからもずっと一緒だ。」


松はそう言ってスキル{超速再生}を発動し瞬く間に傷を癒した。


「紅夜・・・分かったわ。一緒に生きましょ。」


そう言うとフレイは自分の腹部にある剣を素手で掴んだ。

そのダメージは松に送られ手から血が流れ出す。

しかしそこで出来た隙を彼らは見逃さなかった。

淳は影を伝い一気にリオとクウのもとへ行き二人を影の中に取り込み下がっていく。

あとは残されたフレイを救うのみ。


そしてその時、一本の矢がロードの腕を破壊した。


「ぎゃぎゃああーー。」


フレイの首からロードの指が離れ自由となる。

どうやらサトル達のパーティーが援軍に来てくれたようだ。


「紅夜。」


そして、フレイは松のもとへ走った

しかし、ロードは逃がすまいと剣を振り上げフレイを殺そうとする。

その時、松の怒りがとうとう限界を超えた。

松は自分の中で何かが組み変わりのを感じステータスを確認しスキルを発動する。

ここに来て彼は天職を進化させ新たなスキルを得た。


天職・・・鬼人

スキル

身体強化・・・魔力を消費して体を強化する。

全耐性・・・全ての攻撃に耐性がある。(最大50%カット)

超速再生・・・魔力を使用して傷を癒す

身代わり・・・愛する人が攻撃を受けた時、任意でダメージを代わりに受ける

赤い糸・・・互いに愛し合う相手の場所がわかる。

鬼化・・・怒りが頂点に達したとき鬼へと変わる(全ステータス3倍)(肉体ダメージあり)


そして松は鬼へと変わる。

その体は鋼の様に頑丈となり、頭からは角が生え、皮膚は赤く染まった。

周りのゴブリンをものともせずフレイのもとへと走る。

松はロードの攻撃を防ぎフレイを背中にかばった。


「紅夜、あなた・・・」

「俺は君を守るためなら何にでもなって見せる。」


そう言ってロードを睨みつけた。


「貴様は絶対に許さん。」


そして、松は剣を振り上げロードに振り下ろした。

今の松のステータスはロードの力を圧倒的に凌駕している。

そのため勝負は一瞬で着いた。

松の攻撃はロードの持つ剣ごと両断し、命を奪う。

そして松の腕は力に耐えきれずに折れてしまった。


「紅夜!大丈夫!?」


フレイは松の腕に触れる。


「ああ、すぐに治るよ。でも今の俺の姿は怖いだろ。あまり寄らない方がいい。」


それを聞いてフレイは松に抱き着いた。


「あなたの見た目は関係ないわ。あなたは私の優しい・・・」

「優しい?」

「旦那様よ。」


それを聞いて松の鬼化が解けてしまう。


「おい、そんなところでスキルを解くな。危ないぞ。」


サトルが叫んでこちらへ近づいてくる。

彼らのおかげでゴブリンのほとんどが狩られて生きてるものは見当たらない。


そしてさらに銀二と獣人たちが現れた。


「ゴブリンは一匹たりとも逃がすな。匂いを追って徹底的に狩りつくせ。逃がすと後が危険だ。」


そう言って獣人たちをこのあたり一帯の探索に当たらせた。


おおまかな戦闘が終わり松たちは門の前まで戻ってきた。

そこは最初に起きたスタンピードよりも多くのモンスターの躯で埋まっていた。


「おお、よく帰ったな。みんな無事でよかった。」


何でもない風に龍斗が声をかける。


「これはどうしたのですか?」

「お前たちが捜索に向かった後に再度スタンピードが起きてな。そのせいで援軍が遅れてしまった。だが無事でよかった。」


龍斗は彼らを見て無事であったことに安堵した


「はい、何とか無事に助けることが出来ました。ありがとうございます。」

「いや、これもお前たちの愛の力だ。ははははは」

「龍斗さん、それとお願いがあります。」


松は今までに無く畏まって龍斗へ話しかける。


「何じゃ?」

「俺とフレイは近い将来結婚します。ナコードをお願いしてもいいですか。」


それを聞いて龍斗は満面の笑みとなり松の肩に手を置いた。


「おお、やっとするのか。おそらく獣人との正式な結婚は第一号だ。盛大に祝ってやるからな。新居計画も期待してろ。」


そう言って龍斗は美雪のもとへと向かっていった。

フレイは松を見つめ語り掛けた。


「紅夜ホントにいいの?後悔しない?」


その顔には不安が見て取れる。

松はそれを拭い去るようにフレイを抱き寄せフレイの目を見て優しく告げる。


「俺は君を誰よりも愛しているんだ。君と結婚しない方が後悔するよ。」


それを聞いてフレイは涙を流す。


「ホントにありがと。」


そう言ってフレイは笑い松にキスをした。

読んでいただきありがとうございます。

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