第六話 彼女の実力
まずは彼女の愛犬を俺の言った病院に連れていき初級だがポーションを飲ませた。
日数がたっておりかなり危なかったが何とか小康状態に持っていくことができた。
(恐らく俺も中級を手に入れられなかったら危なかったってことか)
もし彼女と会ったのが夕方ならばこの結果も得られず、彼女はこの愛犬を永遠に失っていただろう。
しかしまだ油断はできない。中級ポーションは手に入っていないのだから。
「「それでは行ってきます」」
彼女は愛犬を軽くなでるだけに止まり、断腸の思いでダンジョンに向かう。
俺も決意を固めて共に出発する。
俺は道中、彼女に中級ポーションの入手手段を伝えた。
「実は俺の中級ポーションはコボルトがドロップしたものなんだ。」
彼女はそれを聞きうなずいた。
どうやらその事はある程度調べがついており、そのためにパーティーを集めていたらしい。
「そこまではなんとかネットで調べることができました。しかし、私一人ではコボルトの相手は出来なくて・・・・」
「そこは気にしなくていい。そのための俺だろ。」
そして俺が通っているダンジョンに到着した。
俺はまず彼女の実力が知りたいので三階層までの敵をなるべく任せることを伝える。
「それではまずは水木さんの実力が知りたいので三階層までのモンスターをなるべくお願いします。数が多いときはフォローしますので」
「わかりました。」
彼女を先頭にダンジョンを進む。
そして、現れたモンスターは瞬時に始末された。
鬼気迫るものがある
おそらくここ数日のダンジョンに行きたいのに行けないもどかしさ。
愛犬への心配や悲しみが彼女を突き動かしているのだろう。
(これならソロでもよくね???)
「それにしても思っていたよりずっと強いですね」
「そうですか?」
彼女は防具こそ同じだが武器は短剣二刀流だ。
素早く近づき相手の急所をつき、少ない手数で相手を倒している。
そのまま2階層に進んだ。
レベル5に上がると1・2階層ではなかなかレベルは上がらない。
そのためどんどん進んでいく武器持ちもいるが未だに助ける場面がない。
俺は体力回復薬である丸薬を拾いながら付いていく。
他は拾わない今回もお金が目的ではないからだ。
そろそろ彼女にも疲れが見えてきた
「休憩にしますか?丸薬にしますか?」
「丸薬をください。」
彼女は迷わず即答した。
薬で体力が回復したので先へと進む。
すぐに3階層にたどり着き彼女のステータスを確認する。彼女はレベルが1上がっていた。
恐らく上がる寸前だったのだろう運がいい。
「ここの階層で少しレベル上げをする予定でしたが予定を変更しましょう。」
「なぜですか?」
「これならここで会った敵を倒しながら4階層まで進みそこで俺のサポートで戦ってもらえたらすぐにレベル7まで上がりそうです。少し危険ですが時間的な猶予がない以上急ぎましょう。」
「そうしてもらえるなら助かります。」
「それでは進みましょう。」
「はい」
やはり今の彼女には3階層の敵もほぼ瞬殺だった。レベルが上がりステータスが強化されたことで問題なく進むことができている。
そしてとうとう4階層にたどり着いた。
今度は俺が前になり道を進む。
そして丁度よく一匹のコボルトを発見した。
そこでちょっと戻って水木さんと打ち合わせ。
「コボルトは初めてでしたね。」
「そうです。パーティーで来たことがあるのは3階層までですので。」
「それならば私が先に攻撃を仕掛け奴の足を削ります。素早さが落ちればコボルトは防御力はあまり高くないので倒せるはずです。」
「わかりました。やってみます。」
「危ないときは加勢しますので落ち着いていきましょう。」
「頑張ります。」
そして俺はコボルトの前に立ちまずは最初のように石を投げつけた。
初めての時のコボルトと違い今度は命中しダメージを与える。
(ステータスの上昇を感じる)
そして接近し俺は相手の攻撃をかわし、その足を深く切りつけた・・・
つもりだったが鉄から鋼に変えての初めての戦闘。
相手の足を切り取ってしまった。
そしてすかさず水木さんの急所突き。コボルトはあっけなく光の粒子になり水木さんのレベルも上がった。
ちょっとジト目の水木さん
「ごめん・・・武器が使い慣れなくて。まあ結果オーライ。ステータスはどうですか?」
水木 彩
レベル・・・7
力・・・・・23
敏捷・・・・27
防御・・・・18
器用・・・・25
天職・・・・---
敏捷と器用が高い。これなら多分大丈夫かな
「これなら大丈夫そうですね。俺は前衛をするので水木さんは相手の隙をついて攻撃してください。
ここで戦っていればすぐにレベル9位までは上がると思うのでそれまでは油断しないようにしましょう」
「分かりました。」
「あと注意点ですが2匹以上の時は後ろの敵が遠吠えをすることがあります。これは仲間が周辺から集まってくるので可能ならば妨害してください」
「そんなことが・・・、厄介ですね。やはり一人で来なくて正解だったかもしれません。」
「それでは行きましょう。」
俺は水木さんを促して先へと進む。
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