第五十八話 獣人救出
本社の会議室。
そこにはこの度、突撃チームに選ばれたメンバーが集められていた。
そのメンバーとは
サトルのパーティー
サトルの両親
美雪
紅蓮
龍斗である
「皆、もうひと踏ん張りだ。
今回の組織の壊滅で日本のゴミ掃除は終了した。
あとは海外に売られていった獣人の救出だ。
今回手に入れた資料により売られていった国が判明した。
どうやら拉致で有名なあの国らしい。
今日の事はマスコミに依頼してまだ一切の公表をされていない。
しかし、公になるのも時間の問題だ。
時間との勝負になる。
そのため今からその国に向かい奪還作戦を強行する。
しかし、これには今回とは比べ物にならないくらいの危険が伴う。
もし、無理だと思うものは構わない。
今すぐ部屋を出て言ってくれ。」
しばらく待つが誰も退室はしなかった。
「皆の勇気に感謝する。」
そして龍斗は今回の作戦について話し出した。
「今この中に銀二がいないのは皆気づいたことだろう。
銀二は一足先に現地へ船で向かい、鳥による情報収集をしてもらっている。
今のところ発見した獣人収容施設は一つだけだ。
しかし、そこは巨大な炭鉱で24時間動いておる。
おそらくそこが儂らのターゲットになるとみている。
儂らも今から船で向かう、皆付いて来てくれるか?」
「「「「「はい」」」」」
そして一行は港へ向かった。
しかしそこには船はなく海のみが見えた。
「こっちだ。」
そして龍斗は海ではなくそこに面した倉庫へと向かった。
そして中に入るとそこには潜水艦があり倉庫内はドックのようになっていた。
「これは強襲潜水艦だ。移動速度のみ考えられている。これで明日の夕方までに相手国に到着する。その後、銀二の調査が終わり次第、救出を開始する。」
そして全員が潜水艦に乗り込み一時の休息をとる。
皆それなりに魔力と精神力を消費しているため眠りについた。
時間は経過して現地の海域に到着した。
そして銀二との合流に成功し情報の確認を行った。
「今回救出するのは獣人だ。
彼らには耳や尻尾があるので見分けは簡単だな。
それに日本語の知識はあるので話しかければ言葉は通じる。
それと救出後はこの潜水艦には乗れない。
沖に何隻か政府より借り受けた潜水艦を待機させている。
あとの事は銀二、説明を頼む」
「ああわかった。
まずはこちらの守りについての説明をしよう。
これはなるべく秘密で頼む。
俺は海にも獣人を数人生み出し、もしもの時のために活動してもらっている」
それはイルカの獣人で常に俺たちの船や脱出用の船の周りで警護をしてもらっている。
彼らはこの度の事を知り、痛く心を痛めているようで積極的に作戦に参加してくれた。
そして、ここが今回の目標だ。」
銀二がそう言うと前方に映像が映し出された。
「鳥たちの調査によりここに獣人たちが捕らわれている。
しかし俺の確認した獣人は50人だ。
それ以外だと少数の相手国の兵士しか確認できなかった。
おそらく俺たちの保護した獣人が届くまで人員が削減されているのだろう。
さらに人数が減り監視の関係で今は朝から日が落ちるまでしか作業をしていない。
これはチャンスだ。
それにこいつらは自分たちが誘拐しても他国が何かしてくるとは思っていない。
その隙をつく。
それと気がかりなのがこの建物だ。
ここからは鳥たちから強い気配がすると伝えられた。
最低一人は強者がいる。
気を付けてくれ。」
そして龍斗が出発を伝えた
「闇に紛れて潜入する。みんなボートに乗ってくれ。」
そして一行は陸へと向かった。
上陸したのは普通の浜だ。
見張りもいない。
そこで銀二が種明かしをした。
「近くの動物に指示を飛ばして少し囮になってもらった。報酬は持参した肉だな。
あのダンジョンの肉は国境を越えても大人気だ。」
そう言って口元だけで笑った。
俺たちは苦労せずに収容施設に到着した。
収容施設と言っても壁はない。
どうやら獣人たちは逃げる気力もないほど酷使されているようだ。
俺たちはここからは慎重に進んでいった。
しばらくすると見張りが立っている建物についた。
目に見える人数は2人。
打合せ通り、クロと彩さんが二人に気づかれないように近づき気絶させることに成功した。
その後、中に入り状況を確認する。
中に見張りはいない。
一つずつ部屋を調べたが皆、泥のように眠って反応がなかった。
俺たちはまず一人を口を押えて起こした。
「!」
起こした男は恐怖に固まった顔をこちらに向けた。
「静かにしろ。言葉は分かるな」
男は頷いて答えた。
「俺たちはお前たちを助けにきた。助かりたかったら俺たちに従え。」
男は頷き静かに周りのベットに寝ている獣人を起こして回った。
そして説明を終え俺たちの前に並んだ。
「まだ動けるか?」
「俺たち全員長距離は無理だ。
労働が厳しすぎてろくに飯も貰ってない。
肉体がボロボロで、おそらくどの部屋の奴もそうだろうな。
もともと死ぬまで働かせるつもりみたいだからな。
それに、この前まであと二人いたんだ。
そいつらは疲れ果てて死んでしまった。
助けたかったが俺たちにその余裕はない。
みな自分の事で限界なんだ。」
そして、一行は同じように部屋をまわり全員を起こして一か所に集めた。
「今から回復させるがまずみんなこの丸薬を飲んでくれ。苦いが毒じゃない。これを飲むと体力が回復する。」
そして体力回復薬を全員に飲ませる。
最初は怪しんだものがいたが何人かが飲み効力を伝えるとすぐに全員が薬を飲んだ。
「次に体を回復させる。ホロ頼む。」
そう言って今度はホロが全員を指定してエリアヒールをかけた。
「これは魔法か?」
獣人の一人がサトルへ質問する。
「そうだが、これでみんなの傷はある程度治るはずだ。」
それを聞いて質問してきた獣人の男は焦った顔になる。
「それはヤバいぞ。ここの警備の隊長は魔力の気配を感じ取れる。もしかしたらこの魔法で確認に来るかもしれない。」
今度は龍斗達が一瞬慌てたが冷静になり次の行動に移ることにいた。
「ここに強者がいることは最初から分かっていたことだ。いつかは気づかれる。それが早まっただけだ。」
その言葉の後は迅速に脱出が始まった。
建物の周りにはまだ人影は確認できない。
そのため一気に脱出を開始した。
最初に出るのは龍斗・美雪・銀二。
それに続いて助けた獣人たちが半分走り出した。
それが終わるとサトルの両親が走り出し真ん中を護る。
その次に残りの獣人25人が走り出した。
殿は紅蓮とサトルパーティーとなる。
そして10分ほど進んだ頃に後ろの収容所から警報が鳴った。
一行はそれなりの速度で走っていたためあと10分も走れば海岸だった。
獣人はもう戻りたくないという思いから死ぬ気で走っている。
今までの酷使に比べれば大したことはない。
そして獣人を船に乗せ沖へ向かわせた。
「真直ぐ進め、そうすれば救助の仲間がいる。」
そして最後に船に乗ろうとした時、一人の男が走ってきた。
遠目でもわかる。
銀二が言っていた強者だろう。
それに先ほど獣人が言っていたこの収容所の隊長の可能性もあった。
「くそ、ほとんど逃げられたか。」
その男は日本語でそう悪態をついた。
そこで龍斗は尋ねた。
「お前は何者だ。」
「俺はあの施設の隊長をしている。この言葉が通じると言う事は日本人か。」
「どうだろうな。俺はあと8か国語ほど喋れるからな。」
そういって龍斗は笑った。
「俺もそんな感じた。他国に潜入するのにその国の言葉を使えると相手を騙しやすいからな。」
そう言って相手も笑った。
「他の人員はどうしたんだ?」
「まあ、教える義理はないがすぐに分かることだ。教えてやろう。
どうやらかなり弛んでいたようでな。
少し喝を入れてやったのだ。
ほとんどの者が死ぬか動かなくなったがな。」
そう言って男は血の付いた手を見せた。
「救えん男だ。」
そう言って剣を抜こうとした龍斗をサトルの母が止めた。
そして小声で話をする。
そして今度はサトルに話しかけた。
「サトルあなたがあれと戦いなさい。」
「どういうこと?」
「これも修行です。あなたはこれから彼女たちを守るには力がいります。これはその一環です。」
そして今度は小声で話しかけた。
「舞さんはともかく彩さんは下手をするとあいつらのターゲットになるわ。
その時にこの国の隊長格の実力を肌で感じることは今後きっと役に立つ。
それにホロちゃんも獣人として有用よ。
この国が私たちの国の獣人を狙ってきたらホロちゃんもターゲットになる可能性が凄く高いわ。」
「そう言う事か。わかった。」
サトルは理由を聞いたとたんに自分の中にある戦闘のギアをMaxに上げた。
「どうした小僧、俺とやる気か?まあいいそこにいい女共もいることだし男を血祭りに上げた後にゆっくり楽しむとするか。しかもメスの獣人もいるじゃないか。こいつらはなかなか壊れないからな。痛め受けながらヤルと最高なんだ。」
サトルはそれを聞いてギヤが振りきれた。
しかし、サトルは初めての戦闘から今までどんな時にも急いでも焦らない。
今回も心は切れても頭は冷静だった。
サトルはまず剣は通常状態、スキルも身体強化のみ使用した。
その一撃を男は腰の剣を抜いて受け止めた。
「若いのに結構やるな。しかしこの程度か?」
男はサトルの剣を弾きさらに切りつけてきた。それをサトルも剣で受け止める。
しかしそれを受けたサトルは5メートルほど飛ばされた。
「この程度か、剣はいいようだが宝の持ち腐れか?そろそろ本気で行かせてもらう。」
その時サトルはスキル{守護者}を発動する。
それによりサトルはギリギリで男の剣を受け止めた。
「貴様、天職持ちか。ならばこちらも切り札を使わせてもらう。」
そう言って男は剣に魔力を込めた。
その途端男のスピードが跳ね上がった。
どうやら男の剣は魔力を流すとスピードが飛躍的に上がるようだ。
そこでサトルはスキル{決意}を発動した。
これにより攻撃速度は拮抗し攻撃力はサトルが上回った。
「なに!まだスキルを持っていたのか。くそ、こうなれば仕方ない。これは使いたくなかったが。」
そう言って男は新たなスキルを発動した。
そのスキルはバーサーカー。
これはステータスを倍にする代わりに思考が戦闘と生殖行動に大きく支配されてしまう。そのため男は殺しつくし、女は犯しきるまで止まらない副作用があった。
それを男の状態からいち早く感じ取った龍斗がサトルに説明する。
そして一瞬サトルは自分の恋人たちを思う。
そして次の瞬間、男はサトルに切りかかってきた。
サトルはその剣を受け止めることには成功した。
しかし力もスピードも男が上回っていたため何とか斬撃を逸らし攻撃をかわした。
先ほどまでと違い連続で切りつけられ体のいたる所に切り傷が刻まれる。
彩、舞、ホロはそれを見て助けに入ろうとするがサトルの母はそれを止めた。
「今サトルはあなた達のために強くなろうとしてるの邪魔をしてはいけないわ。」
そう言われ3人は我慢して引き下がった。
続いてサトルに話しかけた。
「サトル、今はもしもの時は守って上げれるわ。でも、私たちがない時にもし襲われたらあなたはどうするの。倒れて見ているの?」
サトルはすでに限界が近づいていた。
しかしその声はしっかり聞こえ頭に入る。
そしてその光景が頭によぎった。
自分が倒れ伏し目の前でいように弄ばれる3人の姿。
その時サトルは極限状態の中、自分の中でまたも何かが組み変わるのを感じた。
それはスキルの進化
極限状態だからこそ起こせた一つの奇跡だ。
守護者
仲間を守るときステータス上昇(最大100%)・精神負担軽減
決意
他者を救おうと動くときステータス上昇(最大100%)・精神負担軽減
スキルの変化によりステータスが跳ね上がった。
さらには剣に魔力を流し攻撃力を上げる。
そしてサトルは男を一撃のもとに切り捨てた。
その一撃は魔力を帯びた剣戟により大地に深い傷を刻んだ。
そして、この戦いは決着がつき戦闘が終了した。
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