第四十七話 1日目夕食会
「旦那様、奥様、夕食の準備が整いました。」
そう言ってメイドは頭を下げた。
「リンダはどうしたのかね?」
「昼間新鮮な食材が手に入りまして。その余興と下準備をしております。」
「そうか・・・、それでは行こうか。」
「かしこまりました。」
そして彼らは夕食の席へ向かった
そのころサトルたちも広間に集まっていた。
今日は立食形式での夕食のようだ。
テーブルの上にはたくさんの料理と、それを取り分けるメイドが控えている。
今回はアルコール類も準備してあるようだ。
「それにしても広いですね。なんだかこの人数だと寂しく感じる。」
「そうですね。料理もとても多いですし。」
そう話していると奥の扉から草薙夫婦が現れた。
「それでは皆そろっておるな。これより食事を始めたいと思うがその前に今日のゲストを紹介しよう。」
そう言って左右の扉に控えているメイドさんたちが扉を開ける。
そして、そこから現れたのは俺たちのよく知る人たちだった。
俺の両親にイクス。
一緒に留守番をしているはずのリーン。
それに前に助けた九頭竜 冬花ちゃんに両親。その愛犬のリーフ。
銀二さんを見かけないと思ったが見知らぬ女性を車いすに乗せ現れた。
クロに聞くと銀二さんの奥さんだそうだ。そして頭に耳がある。
そして、お寺の住職と奥さん、サクラさんもいる。サクラさんは今レベルを上げ、一心不乱に仏像を彫っている。彼女は結婚しない宣言をしているため松さんはふられた形になるのかな。
それとホロを見てくれた医師も夫婦で招待されたようだ。
それに支部長も来ていた。彼もそこそこの年だが結婚相手に恵まれず独身だ。
そして皆が出そろったのを確認して龍斗は夕食会の開始を宣言した。
まず俺は両親のもとへ向かった。
「どうしてここにいるんだよ?」
「お前には内緒だと言う事で龍斗さんに誘われてな。こうして参加している。」
「料理もおいしいし来てよかったわ。」
「サトルさんたちだけズリーよ。」
「そういう事か。いいよ俺も家族がいた方が楽しいから。」
そしてサトルは次に冬花のもとへ向かう。
「やあ、冬花ちゃん久しぶり」
周りが知らない人ばかりで不安だったのかサトルたちの姿をみて嬉しそうに笑う。
「はいお久しぶりです。」
「あれからリーフは元気?」
「はい怪我をする前以上に元気になりました。」
「それはよかった周りは大人が多いけど皆いい人たちばかりだから楽しんでね。何かあったら声かけて。」
「はい、ありがとうございます。」
そしてサトルは次に銀二のもとへ向かう。
「こんにちは、見かけないので心配しましたよ。」
「すまんな、妻を迎えに行っていて遅くなった。」
「こちらの方が奥さんですか?」
「ああ、妻の華音だ」
「初めまして、妻の華音です」
「獣人の方とは驚きましたが具合が悪いのですか?」
「まあな、それももう少しで解消される。」
「???そうですか。それでは、お大事に。」
「ああ、ありがとう。」
そう言って銀二は微笑む。
次にサトルが向かったのは医師の所だ。
「こんにちは、ここで会えるとは思いませんでした。」
「ああ、君かね。ホロちゃんは元気かね」
「元気すぎるくらいですよ。ホロ~」
サトルは骨付き肉に食いついているホロを呼んだ。
今は犬の姿をしているがその姿はとても元気だ。
「元気で何よりだ。君には色々助けてもらった。感謝している。」
「いいんですよ。あなたには俺がポーションを手に入れるまでホロを持たせてもらいましたから。」
「しかし、それは医者なら当然だ。」
その時ホロは人の姿となる。
「助けてくれてありがと。」
そう言って離れていく。また肉を食いに行ったようだ。
医師は驚いたが最後は笑顔で見送っていた。
その時大きな扉が開いてそこからリンダさんが現れた。
手には大剣のような解体包丁を持ち5メートル以上ある幕のかかった台車を片手で引いている。
その異様な姿を確認し全員の会話が止まる。
そしてリンダさんが説明を始めた。
「先ほど新鮮な魚が手に入りましたので解体ショーを行います。」
そう言って幕の下からは先ほど仕留めたサメが現れた。
「それでは3枚におろします。」
そう言って包丁を構える。
みんなテレビでよく見る解体ショーのつもりで覗いているようだ。
ある程度時間をかけて解体していく姿を。
しかし、そんな事はなかった。
リンダさんは大きく包丁を振りかぶる。
一瞬でサメの首が飛び横で控えているメイドが大きな金属の台で受け止める。
続いてリンダさんは横に二回包丁をきらめかせる。
見た目は全く変わらない。
しかし尻尾をリンダさんがつかんで引っ張ると中骨ごと骨が抜けた。
サメは一瞬で3枚におろされた。
そしてリンダさんは最後に礼をして退室していく。
少しして美しい料理となった先ほどのサメがテーブルに追加された。
皆、恐る恐る皿に取り食べている。
どうやらあの解体ショーはインパクトがありすぎたようだ。
草薙夫婦はいつもの事なのか苦笑いしている。
そして夕食が終わり皆部屋に戻っていった。
しばらく部屋でのんびりしていると遠くで雷の音が聞こえた。
俺は飛び起きて部屋を出てホロの部屋に向かう。
ホロは昔から雷と花火が大の苦手だった。
「ほろ、大丈夫か?」
呼びかけても反応がないので仕方なく中へ入り確認する。
するとホロは犬の姿になって体を震わせていた。
やはり獣人になっても雷は怖いらしい。
俺はホロを抱っこして雷がやむまで一緒にいた。
雷が鳴りやむとホロは元気を取り戻し少しして眠りについた。
俺は部屋から出ると近くにある部屋から舞さんが犬の姿のリーンを抱っこして出てきた。
「リーンは雷が怖いんです。」
彼女は恥ずかしそうに言った。
「家もホロは雷が苦手なんです。イクスは大丈夫なのですが。」
「そうですか。この調子だとリーンは一緒に寝てあげないとダメですね。」
そう言って舞さんは優しい顔をリーンに向けて自分の部屋に帰っていった。
(俺も寝ようかな。)
そしてサトルも部屋に帰りベットに潜り込んで眠りについた。
そのころホロは・・・
目を覚ましたホロは周りを確認する。
(サトルさん?)
誰もいないことを確認して先ほどの雷の恐怖と合わさり急に心細くなる。
ホロは眠気眼で部屋を出てサトルの部屋へ向かう。
そして犬の姿でサトルのベットの足元で丸くなり安らぎの中眠りについた。
朝になりサトルが目を覚ます。
すると犬の姿のホロが腹を出してベットの半分を独占して眠っていた。
それを見ているとホロも目を覚ます。
その目は「何か文句ある」と語っているように見えた。
恐怖が薄らいだホロは起き上がり何食わぬ顔で自分の部屋に帰っていった。
しかしその心境は・・・
(何やってるの私、超~恥ずかし~・・・・)
であった事は本人だけの秘密である。
読んでいただきありがとうございます。




