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第三十四話 フェイトの望み

あの後、サトル達は無事に地上に戻ってきた。

そして結果を支部長へ報告に向かう。


「これで今回の説明を終わります。」


舞さんが今回の事について支部長に説明した。

慣れているのだろう。

まったくよどみがない。


「分かった、書類はこちらで作成しておく。有給中なのにご苦労さん。」

「いえ、あの場合は当然の事です。」

「それであの二人はどこへ行ったのですか?」

「あの二人ならすでに帰っている。人的被害がなかったので許可した。ただあの二人ではこのダンジョンの調査員として不十分であることが判明した。そのため、今後は他の者に担当が変わるだろう。」

「そうですか。その場合轟さんはどうなりますか?」

「それは本人の意思次第だがどうします?」


「私達も今回は引かせてもらいます。自分では力不足です。」

「分かった。その場合報酬は出ないがかまわないか?」

「今回は私たちの命があっただけで満足です。」

「そうか、上にはそう伝えておく。別にペナルティーなどはないので今後も探索者として頑張ってくれると嬉しい。」

「分かりました。」


「ワン」

「ワウウ」


事務所から出ると犬の姿のスノー、クロ、そしてフェイトが輪になって何かを話し合っているようだ。

ダンジョンでは余裕がなかったためあまり見ていなかったがフェイトの犬種はシェパードのようだ。


「彩さん、彼らは何を話し合っているのですか?」

「どうやら今後についてのようです。轟さん、今ちょっと聞いたのですがフェイトに天職が目覚めたそうです。」

「え、天職ですか?」

「まあ、あれだけの事の後なのでおかしくはないですね。」

「たしかに、そうかもしれませんが。彩さんどんな天職を得たのかは分かりますか?」

「天職自体は分からないと思いますがどんな感じのスキルを得たのか聞いてみますね。」


そう言って彩はフェイトに意思疎通で大まかな内容を聞く。


「どうやら怪我が治りやすくなったり、ダメージに応じてステータスが上がったり。あとは即死を防いだり痛みを感じにくくなるみたいですね。」


「まあ、あの状況で得られそうなスキルですね。」


そして、スノーは人型になって彩に小声で話しかける。


「主、スノーは轟さんを守るためにもっと力が欲しいそうです。」

「それはつまり魔石を使って獣人になりたいと言う事?」

「そのようです。主たちが支部長と話している間に話し合いました。」

「でもあれは危険な行為よ。そのことはしっかり伝えたの。」

「伝えましたが意思は固いようです。」


そして彩はフェイトの方を向いて意思を確認する。

帰ってきたのは了承だった。


「私たちだけじゃ決められないわ。轟さんにも聞いてもらいましょう。」

「そうですね、フェイトの主は轟さんですから。」


そして彩は轟に近づき先ほどの事を伝える。


「轟さん、とても重要な話があります。」

「どうしたの?」

「フェイトはこれからもあなたを守るための力を欲しています。」


それを聞いて轟はフェイトを見やる。


「ワウワウ」


それを見たフェイトは返事をするように吠えた


「それで、私に話すと言う事は何かをフェイトにするの?」

「そうです。ちなみにこちらのスノーとクロはその結果です。{進化}のスキルを使いました。しかし、これは危険な行為です。生物を作り変えると言えば分かってもらえますか?」

「それは危険そうね。」


轟は危険性を理解して苦い顔をする。

それは当然だろう。

せっかく助けてもらった命をまた危険にさらすというのだから。


「ちなみに{進化}には魔石を使います。なので異常種などの特に強力な魔石を使わなければそれほど危険はないとは思います。」

「でも、中途半端な進化でこの子は納得するの?」

「最初は進化を優先すればいいと思います。魔石があれば少しずつ強化ができますから。」

「そう。」


轟はフェイトの前に膝をついて首に両手を回して抱きしめた。


「まだ力が足りない?」

「ワウ」(スリスリ)

「私を守りたいの」

「ワウ」(ペロペロ)


「分かったは。あなたの好きにしていいわ。彩さんお願いします。」

「分かりました。」


「フェイトまずは魔石を選ぶわよ。今回は安全が第一よだから使う魔石は限定するわ。」


そう言って彩は魔石を並べる


「まずはコボルトソルジャーの魔石」


進化先

獣人(初級剣士)

天職・・・剣士

スキル

獣化・・・魔力を10消費し進化前の姿になる。

人化・・・魔力を10消費し人の姿になる。


進化後使用した魔石に合わせステータス変化


※さらなる進化が可能、次はレベル20と対応した魔石。


そして彩はこの魔石について説明した。


「こっちはコボルトメイジの魔石」


進化先

獣人(初級魔法使い)

天職・・・魔法使い

スキル

獣化・・・魔力を10消費し進化前の姿になる。魔力消費によりブレスが可能。

人化・・・魔力を10消費し人の姿になる。魔法使用可能。


進化後使用した魔石に合わせステータス変化


※さらなる進化が可能、次はレベル20と対応した魔石。


そして彩はこの魔石についても説明した。


そしてフェイトが選んだのはソルジャーの魔石だった。


それを見て彩は轟とフェイトに最後の確認をする。


「始めたら途中でやめられないわよ。」

「いいわ、お願い。」

「ワウ」


そして彩は魔石を持ちスキルを発動する。

「{進化}発動」


まずは彩の魔力が消費される。

ただ前回と違って使った魔力は30ほどレベルが上がった今では余裕は十分ある。


そして{進化}は発動しフェイトの体に変化が起き始めた。

全身を光の繭に包まれ脈打つように光始める。


「これが進化。」


轟はつぶやいた。


「そうよ、ここからは私たちに出来るのは待つことだけよ。」


そして、スノーの時のように10分ほどで繭は激しく光り消えていく。


その中にはフェイトが人の姿で現れた。


髪は明るめの茶色でセミロングくらい。


スノーの時で分かっていた彩はフェイトを抱き留め、轟に渡す。


「進化したばかりはしばらく意識が戻らないから事務所で少し休ませてもらいましょう。」

「はい。」

「あと、最初から会話は出来るけど体の使い方に慣れてないからゆっくり慣らしてあげてね。数日で普通に話したり動いたりできるはずよ。」


そして轟は事務所にお願いして仮眠室を貸してもらいフェイトを寝かせた。


「無事に終わってよかった。」


彩は進化が成功して胸をなでおろす。


時間は現在夕方だ。しかしフェイトが意識を取り戻すまでは皆帰る気はないようだ。


「サトルさん。ちょっといいですか?」

「どうしたの」

「龍斗さんに連絡してみてはどうですか?」

「そうだね。まだ会ったばかりだけど人柄は大体わかったから龍斗さんに紹介してみようか。」


そういうとサトルは龍斗へ電話をかける。


「サトルかどうしたのだ。」


サトルは龍斗に説明をした。


「そうか、たしかに我が社に相応しい人材かもしれんな。」

「はい、フェイトが目覚めるまでしばらくかかるそうです。どうしますか?」

「こちらは黒田のおかげでかなり楽になっている。今から向かうとしよう。」


そして1時間ほどで龍斗が現れた。


「待たせたな。」

「いえ、大丈夫ですよ。彩さんに紹介してもらった方がいいかな。」

「そうだな。状況を考えるとその方がよさそうじゃ。」


そして彩に連れられ龍斗は轟のもとへ向かった。


「轟さん今いい?紹介したい人がいるの」

「ええ、フェイトは落ち着いてるから大丈夫よ。」

「こちらは、私たちの会社の社長なの。」

「草薙 龍斗と言う者です。会社と言っても今から立ち上げるのじゃがな。そこで社長をやることになっておる。」

「それでその偉い人がどうしてここに。」

「君をスカウトに来た。」

「スカウト?でも私は見てのとおり普通の探索者よ。」

「まあ、今から詳しく説明しよう。」


そして龍斗は轟に説明を始めた。そして最後にこう言った。


「それにもう君は普通の探索者ではなくなる。」

「それはどういう意味かしら。」

「君は世界でも数少ない獣人の主になる。」

「たしかに、それは考えてなかったわ。」

「どこかの組織に所属した方が安全だと思うが。わが社には今彩さんと銀二も所属している。そして、みな動物好きだ。働くにはいい環境だと思うが。」

「フェイトが起きたら相談してみるわ。」

「それでも構わんよ。」


「あ・るじ」


その時フェイトから声が聞こえた。


「フェイト起きたの」

「はい、はな・しはき・いて・いまし・た」

「聞こえてたのね。」

「はい、わたし・はこのは・なし・うけるべ・きだと・おもい・ます」

「フェイトはこの会社に入りたいの?」

「それ・も・あり・ますが。このかい・しゃなら・あなた・ものびの・びはたらけ・る」

「分かったわ。」

「私たちは貴方の会社に入るわ。借りもたくさん出来ちゃったしね。」

「そうか、また一人いい人材が入ってくれてうれしく思う。ところで、社員寮には入るかね。」

「そうねフェイトの事もあるからお願いするわ。」

「いつでも入れるからこの紹介状を持ってこの地図の場所に行くといい。すぐに入寮できる。それでは、そろそろおいとましようかの。」


「いい話をありがとう。」


そしてまた一人仲間が増えた。

読んでいただきありがとうございます

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