第十九話 犠牲者捜索
彩は山裾に向かい捜索を開始した。
この辺りは一番土砂が多いことから最も捜索が困難なところだ。
しかし周りには民家の屋根が点在している。
もしかしたら家ごと巻き込まれているかもしれない。
その可能性からここからの開始となった。
他の5匹はまずはサポートだ。
スノーはさっそく歩き始め匂いを探す。
そして一軒の屋根が突き出している場所に向かい吠える
「あそこの下にいるようです。旗を刺してください。」
自衛隊員は旗を刺し何人かが集まって掘り始める。
(さすが自衛官、皆レベルを上げているのかな、かなりの速度で掘っているな。)
ほどなく家の中から一人見つかる。
そしてその近くに警察官も見つかった。どうやら最後まで残り避難をさせていて巻き込まれたのだろう。
そしてスノーは次々に犠牲者を見つけていく。
ある程度土砂か少なくなってからは他の5匹も捜索に加わった。
今まで怠けていたようで今回は彩さんの指示をしっかり聞き犠牲者を見つけている。
そうして捜索は日が沈むまで続いたが16人のうち7人までしか見つけることはできなかった。
広場では見つけられた人々の前で泣いている人を多く見かけたが皆口々にお礼を言ってくれた。
高齢者などは時々スノーを拝んでいる。
(何か信仰でもあるのかな?)
そして俺たちは霧島さんに報告に向かう。
「すみません。あと9人が見つかりませんでした。」
「いや、この被害面積だ。それもしょうがないだろう。」
「ところで後見つかっていないのは誰ですか?」
そう聞いた時テントに男が入ってきた。
「どうして俺の息子は見つけてくれない。」
そして女性が入ってくる。
「私の息子とお父さんがまだ見つかってないのお願い早く探してあげて。」
「君たち外に出なさい。彼らは今日一日頑張ってくれていた。だからあれだけの人をこんなに早く見つけることが出来たんだ。」
「でも俺の息子は見つけてくれてないじゃないか。」
「あの犬をもっと働かせろよ。」
そこで外から隊員が入ってきて彼らを外へ連れていく。
「気にしないでくれ、こんな状態だ精神的にまいっているのだろう。」
「あの感じだと行方不明になっている人は分かっているんですよね。詳しく教えてください。」
「非常時だから話すがまずあの女性と男性は息子とともにここに遊びに来ていたらしい。そして彼女の猟師をしている父親の家に宿泊していて災害に巻き込まれたらしいのだ?」
「なぜ彼女のお父さんと息子さんだけ?」
「どうやらちょっと離れたコンビニに二人で買い物に出ていたらしい。息子はその家で飼っている猟犬と仲が良く一緒に遊んでいて買い物には出かけなかったそうだ。」
「そうですか。彩さん明日もう一度捜索をお願いします。それと彼らを呼んでください。」
「どうするのかね。」
「家族なら子供の持ち物くらい何か持っているでしょうそれを使ってスノーにピンポイントで匂いを探してもらいます。」
「そう言う事か。わかった。すぐに呼び戻そう。そこの君、話は聞いていたね。彼らに息子さん達の匂いのする物を持ってここに来てもらってくれ。」
それから数分後、先ほどの男性が現れた。
「先ほどはすまなかった。これが息子が直前まで使っていたシャツだ。ただ・・・お義父さんの物は無くて持ってこれなかった。」
「分かりました。明日朝一で捜索に入ります。」
「ああ、頼む息子とお義父さんを見つけてやってくれ。」
「それとそのお義父さんは強かったですか?」
「???待ってくれいま妻に聞いてくる。」
そしてすぐに奥さんを連れて戻ってきた。
「父は猟師をしていたので体は鍛えていました。それに近くにダンジョンがあったため昔からレベルも上げていたようです。」
「分かりましたありがとうございます。」
彼らは謝罪し部屋から出ていった。
「これでこの辺りにいればどこにいてもスノーの鼻が見つけてくれます。」
「もしや生存も考えているのか?」
「はい、スノーの鼻で見つけられないのならその可能性もあります。」
「そこでお願いがあります。」
「分かった。」
「まだ何も言ってませんが。」
「予想はつく。「門」を掘り起こしてほしいのだろ。」
「その通りです。」
「任せろ正確な場所が分かればそれほど手間にはならん」
「ありがとうございます。」
「いや、きにするな。」
そしてサトルと彩は部屋から出ていった。
(生存か・・・)
外のすぐ横には舞さんが待っていた。
「大変でしたね。」
「まあ、仕方ないですね。」
「舞さんは今までどちらに。」
「この辺の「門」について係りの者に聞いていました。」
「それでどうでしたか。」
「聞いたところによると「門」はあの土砂の下に埋もれているそうです。そしてここの「門」から行けるダンジョンはフィールドタイプという事でした。「門」はあれぐらいでは壊れないので掘り起こせばまた使えるでしょう。」
「そうですか。希望が持てました。」
「もしや生存している可能性を考えているのですか?」
「そうですね。まだかなり小さいですか。」
「確かにフィールドタイプならば可能性はありますね。」
「正確な場所を調べてもらっていいですか?」
「分かりました。」
「話はつけてあるのであの霧島さんに伝えてください。」
「ええ、それでは行ってきます。」
「お願いします。」
そして俺たちは与えられた宿舎へ向かう。その途中。
「あの、サトルさんちょっとお話が。」
「何かな?」
「これからダンジョンに入るかもしれないのでスノーの事で少しお話ししておきたいことが・・・。」
「そうですか。なら部屋で話しましょか。」
「はい。」
「スノー、あれについてサトルさんにお話しするからこちらまで来てくれる。・・・スノーも呼びましたので行きましょう。」
(スノー人間の姿で来てね。)
(ちょっと早いですが作戦実行ですね。)
(そうよ、驚かせててあげましょう。ふふふ)
そして部屋に集まる二人と一匹?
二人が部屋に入り数分後
カリカリ
「あ、来たようですね。サトルさん開けてあげてください。」
「わかりました。今開けるよ。」
そして扉を開けたサトルは目の前に立つ銀髪の犬耳・犬尻のコスプレ美女を見て頭に?マークを浮かべる。
「どちら様ですか?きっと部屋を間違えてますよ。」
「分からないのですか。あんなに激しく私のお腹を撫でまわしたのに。」
「!?!?!?何のことですか?そんなことした覚えはないのですが。」
サトルはかなり混乱している。
後ろでは彩がこの会話を聞いており寒気を感じる。
逃げ出したい気持ちがわいてくるが入り口は銀髪美女が塞いでいる。
まさに前門のトラ、後門のオオカミである。(片方は犬だが)
そしてサトルの混乱が頂点に来る瞬間、後ろの彩と目の前の美女は大笑いをした。
「やりました、主。作戦大成功です。」
「そうねスノー。でもここまで成功すると逆に悪い気がしてくるわ」
二人は笑いながら話している。
「そういえば二人はなんだか似てるような妹さん?でもスノーって言ってたし?」
「それでは説明しますね。スノーも入ってきてくれる。」
「はい、主」
「実は出発前日の夜に異常種の魔石を使ってスノーを進化させていたんです。」
「そうだったんですか。」
「はい、種族は獣人で天職はパラディンです。」
「すごい、天職まで手に入れていたんですね。」
「はい、この仕事が終わったらサトルさんを驚かせようと思って秘密にしてました。」
「それに俺はまんまとハマってしまったわけですね。」
「そうなります。ごめんなちゃい」
彩さんはかわいらしく謝っててくる。
(まったく、これでは怒れないじゃないか・・・)
「それで、スノーに異常はありませんか?」
「今のところは大丈夫です。ただ使ってみてわかりましたがかなり危険なスキルでした。」
「そうですかおいそれとは使えないってことですね。」
「そうなります。ただこの度は異常種の破格な魔石でしたから今残ってる二つなら比較的安全に進化させられると思います。」
「それは喜べばいいのかちょっと微妙ですね。まあ、今のところは進化させる相手がいないので保留にしましょう。」
「はい、それで明日はどうしますか?」
「まずは息子さんの匂いを限定してスノーに探してもらう。スノーの鼻なら埋もれてなければそれほど時間ろかけづ近隣の森までは探すことが出来るだろう。それで見つからなければダンジョン内にいる可能性がかなり上がる。」
「でも、生きているならなぜ「門」の近くにいたのでしょうか?」
「わからない。しかし生きていれば聞くことは可能だ。明日は少しでも希望を持っていこう。」
「わかりました。明日は早い起床になりそうですね。」
「そうだね。今日は早く休もう。スノーも負担が大きいと思うが頑張ってくれ」
そう言い、いつもの調子で頭を撫です。
ビク
「あ、ごめんいつもの調子でつい」
「嫌だったか?」
フルフル(頭と尻尾を同時に横へ振る。)
「ならよかった。」
(スノー、後でお話があります。)
(はぃ・・・)
そして二人と一匹は眠りにつく。
そして、それほど時間を置かずに舞もまた自らの仕事を終え眠りにつくのだった。
読んでいただきありがとうございます。




