第十八話 被災地到着
俺たちは目に映る風景を見て驚愕を隠せないでいた。
そこは山間の村
家がいくつもありそれなりに人口がありそうだ。
山には高速道路と思われる道が走り、山裾には鉄道も走っているようだ。
ある事が無ければアクセス性のいい緑豊かな場所だっただろう。
しかし山を見ればむき出しの山肌をいたる所で見ることができる。
どうやらあの大雨で複数の場所で土砂崩れが起きたようだ。
そのうちの一か所は山を大きく削り村まで到達し家々を飲み込んでいる。
また、その土砂くずれは高速道路を押し流し線路を広範囲で埋め尽くしていた。
ここまでくる道のりを考えればここは本当に陸の孤島と化しており逃げ出すこともできないようだ。
そして俺たちがその光景に足を止めているとどこからか自衛隊のと思われる貨物輸送機が村へ何やら落としていった。
「サトルさんあれは恐らく自衛隊を使った救援物資の搬送です。陸がこのような状態なので空から降下させて届けているのでしょう。まずは私たちも預かった物資を届けに行きましょう。」
「そうですね。あそこの広場に自衛隊の人が集まっているようなので、そこで聞きましょう。」
一行は移動を開始した。
広場に着くとそこもかなりひどい状態だった。大きな怪我をした人は見当たらない。
おそらく、自衛隊がポーションなどの薬を運び込みすでに治療は終了しているのだろう。
しかし、きびきび動く自衛隊とは対象的に村民と思われる人々は表情がなく疲れ果ている。
俺は自衛隊の人に話しかけた。
「すみません。」
「ん、君たちは?」
「こちらで被害者の捜索を手伝うために来た探索者の物です。」
「おお、君たちが、よく来てくれた。ここまで来るのは大変だっただろう。」
「はい、思っていたよりも被害が大きく到着に時間がかかってしまいました。」
「いや、それでも助かる。並の者ではここまで到着すらできないだろう。」
「そう言っていただけるとこちらも助かります。それと市役所から追加の支援物資を運んできましたがどこへ置けばいいですか?」
「ああ、そちらの連絡も今朝受けている。すまないが案内するのでそちらで出してくれないか。」
「分かりました。」
「舞さん、すみませんがこちらの受け渡しをお任せしてもいいですか?」
「はい、やっておきますね。」
「お願いします。」
「それでは来て早々ですが捜索の話をしてもらってもいいですか?自分たちはまだ来たばかりで現状が把握できていません。出来れば説明をお願いします。」
「わかった。こちらに来てくれ、歩きながら話そう。」
「分かりました。」
「それでまずは確認をさせてくれ。」
「何でしょうか。」
「そちらの犬が捜索のかなめでいいのかな。」
「そうなりますね。」
「その大きさでステータスも得ている。安全面は大丈夫かね。」
「大丈夫です。彩さん説明をお願いします。」
「分かりました。できれば秘密にしてほしいのですが私は天職で得たスキルの力でこのスノーと意思疎通ができます。また言う事を聞かせる事ができます。」
「そんなスキルあるのか。分かった、そこは信じるしかないな。だが覚えておいてほしい何かあればこの緊急時だ、即処分もあり得る。細心の注意を払ってほしい。」
「分かりました。」
「それでは捜索の話に入る。見てわかると思うがあの大きく崩れている所が捜索場所だ。我々も何匹か連れてはきたのだが規模が広く土砂が深いため、まだ多くの町民があの下に埋まっている。その捜索をお願いしたい。」
「状況は理解しました。それではまず他の犬と合わせてもらってもいいですか?」
「どうするのかね?」
「その子たちともたぶん意思疎通ができるので一緒に捜索をします。」
「わかった、すぐに連れてくる。しかし今いる犬は少し癖が強い、気をつけてくれ。」
そして彩さんの前に5匹の捜索犬が連れてこられた。
どの犬も彩さんを観察している。
「いちおう今回連れてきているのはこの5匹だ。真ん中にいるのがリーダーのような立場になっている」
(う~ん、規律良くしてるようでもこちらを舐めている気がするわね。ちょっと話してみようかな。)
「あなた私に協力する気はある?」
「わう」(どうしてお前の言う事を聞かなければならない。)
「今から協力して一緒に仕事をするからよ。」
「わう、わう」(協力してほしいならうまい肉を大量に持ってこい、そうすれば少しは手伝ってやる)
「そうなの・・・・じゃあしょうがないわね。」
「自衛隊員さんちょっとこの子たちとオ・ハ・ナ・シをするので借りていきますね。」
「ああ、それは構わないが気をつけてな。それと言うのを忘れていたが俺の名前は霧島だ。この隊を任されている。」
「それじゃあ改めて霧島さん。ちょっと行ってきます。」
そして彩さんは俺たちどころかスノーも置いてテントの裏へと消えていく。
そして数秒後
ガウガウガウガウ、(ザザザザザ)ガアーーー(ザザザザザ)
「!?なんだ」
「まあまあ待ちましょう。」
ガウガウガウガウ・・・・・(ザザザ)
「心配はしないのか?」
「ええ、彼女は強いですから。」
キャウ
そして彼女は笑顔で5匹を連れて戻ってきた。
犬たちの姿はある意味痛々しい。
先ほどまでの自信に満ちた姿は消え背は丸まり尻尾は股の間だ。
目線は彩さんに向いているが目力の影もなく怯え切っている。
「おかえりなさいもういいんですか?」
「ええ、もう大丈夫です」
「スノーもそう思うでしょ」
「わう」(コクコク)
スノーも当然という顔をしている。
「・・・ところで何をしたんだ?」
「オ・ハ・ナ・シです。」
「本当にそれだけなのか?」
「はい、彼らも自分の立場を理解してくれたようです。」
そう言って彩さんは5匹に振り向く。
そのとたんいっせいに服従のポーズをとる。
「・・・そうか。」
(こいつらホントに大丈夫か?)
「それでは念のために山裾から捜索を開始します。」
「そうしてくれ。もし匂いを感じたらこの旗をその場所に刺して俺たちを呼べ。それを目印に我々が被害者を掘り起こす。
「分かりました。今わかっているだけで行方不明者は何人ですか?」
「ほとんどの者は逃げていて助かっているが救助に向かった警察官1人が巻き込まれている。それと村民がまだ15人ほど見つかっていない。」
「分かりました。それでは捜索を開始します。」
「ああ、皆・・・特に村民は連日の捜索で疲れ切っている。早く見つけてやりたい。」
「それで皆あのような顔を。」
「そうだ。皆自分の家族や友達、そして隣人のために頑張ってくれている。しかし成果がなかなかでない。だから頼んだぞ。」
「私たちに任せてください。」
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