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第十五話 二人目の仲間?

俺は帰っている途中にあることを思い出した。

それは受付嬢の舞さんのことだ。

なんだか急に親しくなったような気がする。

俺がダンジョンにもぐり始めてそれほど時間はたっていない。

事務的なこと以外はほとんど話したこともなかったはずだ。

最初会ったときはあんなに明るい感じじゃなかったしな・・・。

そういえば、盾のことを話さないといけないのにしばらくは捜索活動でダンジョンには行けない。

今から行って話をするついでに少し探りを入れてみるか。


そう思いサトルは一人いつもの「門」の前まで戻ってきた。


「こんにちは、天童 舞さんはまだいますか」

「は~い、どちら様ですか?」


舞さんが奥から出てくる。


「度々すみません。俺です。」

「あら、どうしたのですか?」

「実は明日から数日ほど被害の大きな地域へ行って捜索活動に協力することになったんです。」

「え、それではしばらく会えないのですか?」

「そうなります。ですので盾の件を今日の内に話しておこうと思いまして。」

「分かりました。それではこちらへどうぞ。」


舞さんはそう言うと椅子をすすめてくれる。


それに座り俺は説明を始めた。

当然話すのは異常種のことだ。

その話を聞いた舞さんは少し難しい顔をしている。


「異常種が出たのですか。それはこのダンジョンでは初めての事です。でも、それは困りました。」

「どうかしましたか。」


「ええ、ここは比較的難易度が低く安全とされていたため危険度は星一つなのですが・・・」


「今回の件で変更されるかもということですか?」

「はい、恐らくは・・・それに調査の依頼も出るかもしれません。」

「そうなるとどうなりますか?」

「調査が済むまで一時的にですが立ち入り禁止になるかもしれません。」

「モンスターは「門」からは出てきませんがランクの高い探索者か政府の派遣員が「門」を警備し閉鎖します。」

「そうですか。その時は仕方ないですね。」


「はい・・・話は変わりますがアイテムボックスの依頼はどうなりましたか?」

「それは無事に達成できました。」

「ん、ということは書類がこの辺にあるかな~~?あ、ありました。確かに依頼主から依頼達成の連絡が来ていますね。」

「それではちょっと待っていてください報酬を持ってきます。」


そういうと彼女は奥へと消えていった。


(やっぱりこの間から明るいしなんだか親しげだな)


「そして彼女は報酬をもって戻ってきた。こちらが報酬です。高価なものなので気を付けてください。」

「ありがとうございます。これが手に入ったのは舞さんのおかげです。」

「そんな事はありません。サトルさんのここ数日の活動の結果です。でも、少しでもお役に立てたならうれしいです。」


彼女はそう言って笑う。


「俺が何をしていたかご存じだったのですか。」

「知ったのはつい二日ほど前ですが。」

「ということは。」

「はい、私もこの災害で愛犬のリーンが怪我をしてしまって。でも何処にも薬がなくて困っていたんです。でも噂で聞いた病院に行くとポーションの在庫があって。そのおかげでリーンはすぐに元気になりました。その時ちょうどサトルさんを見かけて気づいたんです。だからまあ、お相子です。」


(そうか少しは救えているんだな。それにあの依頼はまさに俺向きの依頼だった。)


そして少し雑談した後にサトルは席を立つ。


「明日は早いのでそろそろ帰ります。」

「そうですか・・・。もう少しで定時なので途中まで一緒に帰りませんか。」

「・・・いいですよ。それでは掲示板でも見ながら待ってますね。」

「はい。」


そして二人は一緒に家路についた。


「良かったです。サトルさんの家も同じ方向で。」

「まあ、偶然ですけどね。」


実のところサトルの実家はここから歩いて30分ほどだ。

この町は四方のうち三方を山、一方は海に囲まれており端から端まで歩いても2時間かからない。

そしてこの度の災害では崖崩れなどで道が寸断され、陸の孤島となり、物資の枯渇を招いてしまった。


初めての探索の時は自分には余裕がなく。

近くでポーションを手に入れる可能性が高いダンジョンを選んだ結果、偶然こうなっている。


そして、そんな話をしながらそろそろ家に着こうかという時サトルは気づいた事を聞く。


「お住まいはこちらでよかったのですか?」

「はい、私はもうすぐですよ。サトルさんこそこちらで大丈夫ですか?」

「はい、俺ももうすぐですから。」


そして先に着いたのは舞の住むマンション。

「門」の受付嬢である彼女の仕事は公務員に分類される。

日本の「門」は日本政府が管理しているので当然のことだった。

そして政府は「門」のおかげで大きな利益を上げていた。

そして当然そこで働く職員の寮も立派なものになっていたのだ。


(ご近所さんだったのか)


「立派なマンションですね。」

「はい。一人だと持て余してしまいます。」


彼女は顔を少し赤らめ答える。


「ちなみに俺は実家暮らしですが家はあちらです。」


そして国道を挟んで向かいに立つ家を指さした。


「ご近所さんですね」

「ご近所さんです。」


どことなく彼女は嬉しそうだ。


「それでは、また会いましょう。」

「はい、そうですね。」


二人は軽い挨拶をかわし分かれていく。


分かれた直後に彼女の携帯が鳴る。


(あ、連絡先交換すればよかった。)


そして彼女は携帯を取り出し電話に出る。


「はい、天童です」

「俺だ、支部長の秋月だ。」

「どうしたんですか?」

「実は今政府から連絡があり「門」が調査のため立ち入り禁止になった。」

「はあ、それは仕方がないですね。」

「それでだがこの機にみんなにはたまった有休を消化してもらおうと思う。特に天童は今年になって全くとっていないだろう。最低でも7日は取るように。すでに手続きはこちらで済ませてある。明日から羽を伸ばせ。追加申請も認める。それでは、俺は他の奴にも連絡しないといけないからきるな。」


プッ


(どうしよう。)


そして彼女はおもむろにステータスを表示し確認する。


天童 彩

レベル・・・18

力・・・・・57

敏捷・・・・56

防御・・・・51

器用・・・・59


天職・・・・---


彼女のステータスはサトルと大差ない。

それはもしもの時のためにあの職場では強さも求められるからだ。

ちなみに支部長はさらに強い。


そして舞は決断を下し今別れた相手の家のベルを鳴らす。


ピンポ~ン


(ン、誰か来たのか。)


サトルはおもむろにドアを開ける。

そして先ほど分かれたばかりの舞さんを確認した。


「どうかされましたか?」

「伝えることと・・・お願いがありまして。」

「そうですか。まずは話を聞かせてもらいたいのですがここでは何なので中へどうぞ。」

「はい、お邪魔します。」


彼女は居間に通された。

そして


タタタタタ

タタタタタ


と駆け寄る二匹の犬。

そう、ホロとイクスである。


ホロは即座におなかを見せて手をクイックイッ。

それはまさに命令形。

「腹を撫でろ」と言っているようだ。


そしてイクスは彼女の足元へ行きキラキラした目で見つめる。

さらに居間の犬用おやつをチラチラ。

口からは涎をタラタラ。


意思疎通ががなくても二匹の考えが透けて見える。


舞さんはそれを見てホロのお腹をさすりつつ、俺の渡したおやつをイクスに与える。


(和むな~。しかし愛犬たちよ。なぜ俺にはそうやって甘えてこない。)


そう思っているとホロはこちらを向く。


(おお、分かってくれたか。)


しかし現実は無情だホロは再び舞さんに全力で甘え始める。


(・・・・ま、いいか)


「それで、どのようなお話ですか?」

「はい、先ほど支部長から連絡がありました。どうやらあの「門」は明日からしばらく立ち入り禁止になるようです。」

「そうですか、仕方ないですね。戻ってくるまでに使用可能になることを祈りましょう。」


「伝えることはこれだけです。それとお願いなのですが・・・」


「はい、なんでしょうか?」

「実はしばらく支部長からの指示でこの機会に有休をとって休むことになりました。でも急なことですし、周りはこんな状況です。私も明日の捜索活動に同行してもいいですか?」

「う~ん、私は構いませんが・・・。実は目的地までは走っていくことになりそうなんです。だから普通の人にはキツイと思いますよ。」


「失礼ですがレベルを教えてもらっていいですか。」


「いいですよ。今日までの戦いで19になりました。」

「それでしたら大丈夫です。」

「???というと。」

「私は18です。」

「年齢ですか?」

「どうしてそうなるんですか。」


ゴホン


「若く見られるのは嬉しいですが、私のレベルです。」


(そういえばあの鉄の盾を簡単に持ち上げていたな。ある程度は強いと思っていたがここまでとは。)


「あそこの仕事ってそんなに大変なのですか?」

「危険というより非常時に備えてですね。救助や探索者の対応をするには最低限これくらいはないと。」


「そういうことですか。少し待ってください。彩さんに聞いてみます。なにせ今回のメインは彩さんとスノーですから。レベルを聞かれたら伝えてもいいですか?」

「構いませんよ。」


俺は携帯を取り出し彩さんに連絡を取る。


テゥルルルルルル、テゥルルルルルル、・・・ピ


(やっぱりパーティー組んでるから互いに交換してるよね。)


「はい私です。サトルさん何か緊急の依頼ですか?」

「いや明日の事なんだけど受付の舞さんが明日からの捜索に同行したいらしい。」

「私たちある程度レベルが上がってますが大丈夫ですか?」

「彼女のレベルは18ある。問題なく付いてこれると思う。」

「・・・・・・・そうですか。サトルさんがよければ私は構いません。」


(気のせいか背中に寒気が。)


「あ、ああ。それなら同行してもらおうと思う。人数は多いほうがいいし、いい仕事を回してもらった事だしね。」

「分かりました。それでは明日サトルさんのお家で会いましょう」

「まってるよ。」


プツ、プー、プー、プー


「なんだか怒ってたような。なんでだろう。」

「分からないんですか?」


舞さんは微妙な顔をしている。


「まあ、同意は取れたので明日の朝6時にここに来てください。」

「分かりました」

「そ、それと・・・連絡先の交換をしてもらえませんか?」

「いいですよ」


俺たちは互いに連絡先を交換した。


(やった。)


「それじゃまた明日会いましょう」

「はい、今日はありがとうございました。」

「こちらこそ。」


読んでいただきありがとうございます。

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