第二話 経過と検査
今回は新しい概念が出てきます。
※年齢の設定に違和感があり過ぎるため、変更致しました。改稿をしました。
「よ、ようやく返信が来たさね……遅いだわさ。何やってんだいあいつは!」
そう孤児院の院長が愚痴をこぼすのも仕方がない。
何故なら生まれながらに黒魔法の魔力を宿す赤子、ルクスが産まれてからあと少しで九年が経つところだった。
「はぁ。手紙の内容は、と」
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バーバラさんへ
まず、手紙は読ませてもらいました。
第一感想としては、普通の人族から産まれて黒魔法の魔力を持つことはまず有り得ないレベルでおかしいですね。
まぁ、そんなことは引退してから自分で立ち上げた孤児院の代表兼院長を担ってもう長いとはいえ、伝説の元冒険者「烈風のバーバラ」ならお見通しだと思いますが……
そしてここからが本題です。
実は俺は最近になって現役を引退して、自分の知りたいことを調査すると同時に、ちょっと訳ありな理由があって孫の親代わりをすることになりました。
柄じゃないのは分かってるつもりですが、結構緊急事態なので許してください。その関係で今回の返事も遅ました、すみません。
それにあたって、もしそのルクスって子が強くなりたいと望むのなら、引き取って孫と一緒に修行させてもいいと思ったわけです。
ここから約1年後、バーバラさんとルクスのいる孤児院に寄りますから、その時までに返事を決めておくよう言っておいてください。ぜひよろしくお願いします。
追伸
でも魔法は教えるのは、俺は苦手なのでバーバラさんが教えてくれると助かります。
なんせそちらはバーバラさんの専売特許ですからね!
ジークより
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「まさかあのヒヨッコ坊主が師匠とはねぇ、アタシはもう時代の流れについて行けないだわさ……」
バーバラは口ではそういいながらも、昔の記憶を思い出し、自分でも気付かずに笑みを浮かべていたのだった。
「よし。じゃあちょうどいい機会だから、みんなまとめて一端の魔法使いにしてやるだわさ!」
そこでバーバラのやる気スイッチが久々に入り、ここから長い長い孤児たちの魔法訓練が始まったのである。
そして記念すべき最初の訓練内容は、模擬階級検査というものだった。
模擬と言っても、ベテラン魔法使いのバーバラが検査官をするので、実際の調査とほぼ変わらないのだが。
階級を調べる方法としては、魔力が底を尽きると自動で少し回復する薬を服用した後、検査対象者の全ての魔力を、希少な魔力解析用マジックアイテム、「魔力の壺」につぎ込む。
そして適性魔法がいくつあるのか、そしてその質と量を検査し、その総合検査内容から検査官が階級を決めていくという内容になる。
「アンタたちにはこれからワタシから魔法とかを習うわけだが、その前に各属性の魔力量と質なんかを調べるだわさ。今回の検査で現時点でどれくらいの魔法を使えるかは大体分かるさね、心の準備はしておくように!」
「は、はい!」
ルクスを含む孤児院の子供たちは緊張や期待が混ざり合って体がガチガチになってしまっていた。
「まぁそんなに緊張しなくてもいいさね。今回の結果があまり良くなくても、よっぽどじゃない限りは訓練をしっかりやればどうにかなるだわさ」
バーバラの言葉で何人かの子供たちが緊張でプルプルと震え始めている。
どうやら逆効果だったようだ。
「よ、よーし。それじゃあ今から模擬階級検査を開始するだわさ!」
「はい!」
子供たちの大きな声が孤児院に響き渡った。
次回は実際に検査を始めていきます。
また、今は孤児院の代表をしているバーバラさんが絶頂期で、ジークが「ヒヨッコ坊主」だったころの物語も時間に余裕があったら書きたいと思っています。
階級がどれくらいで凄いかということを分かってもらえると物語をスムーズに読むことができると思います。(あとから細かく説明されるので今は覚えなくて大丈夫です)
階級の種類と内容(個別階級、総合階級)
6級 その属性の魔力は0、または微量。
5級 生活の中で使う分には問題はない。
戦闘中でも使用はできるが殺傷力はない。
4級 戦闘中でも、ある程度使用できる。
魔法使いとして生計を立てるのには心もとな
い。
殺傷力がこの階級から増え続ける。
3級 一流魔法使いの階級。
一流ギルドに入り、生計を立てること
が可能。
2級 一流ギルドの主力として扱われる。
高い社会的地位が獲得できる。
1級 ギルドマスターとしてギルドを創設
することが出来る。
緊急時に王国会議に招集される。
特級 単体で国そのものを守護・転覆させる
力があるので、その存在は公にする必
要がある。
戦争の際、先陣を切る役目を課される
代わりに、富と名声が与えられる。
規格外級 測定不能
伝説やおとぎ話の中でしかまず
現れることがない。
現れた場合、その者の立ち位置によって
は世界を救済・滅亡させる力を有する。
※この説明はあくまでこの階級ならそのくらいのことができる、その階級になることで与えられるものを簡単にまとめたものです。
また、この評価は修練で大きく変化する可能性が充分にあります。