閑話 鮮血の記憶
今回の話は短めで、別視点のお話です。
※加筆修正をしました。
時は冬の終わり。血のように赤い太陽が沈んでいく時刻に、一人の少女は家路に着いていた。
「おかえり!じゃなかった、ただいまぁ!」
「……」
誰もお返事してくれないや、どうしちゃったのかな?
少女はこの静けさを疑問に持たなかったようでそのまま進んでいく。ぎるどの入口に「まっかな人」達を見つけ、早速話しかけに行こうとしている。
玄関の近くにパパのなかまの人達が寝てるや。でもこの人もまっか、あの人もまっかなの、ねぇってば!なんで私とおはなししてくれないの?もうママに言っちゃおー。
パタパタと少女の足音が響く。どうやら母親がいつもいるぎるどの受付の方に向かっているようだ。
ねぇママ、今日はパパと一緒にお出かけするんだよね?なのに寝ちゃうなんてひどいよ!
ベチャベチャと少女の足音が響く。今度はパパがいつもいる2階の「パパの部屋」に行くらしい。
あ!パパだ!ママが寝てるの言いつけちゃおー!ねぇねぇパパ?あれ?パパからもまっかがいっぱい出てきてる?何なのこれ?
「……サラ、お前は、絶対幸せにならないとダメなんだぞ?あと男を選ぶ時は慎重にな?」
「うん!」
えへへ、なんだか分からないけどパパが頭を撫でてくれた。嬉しいな。でもね、なんでいつもみたいにその後抱っこしてくれないの?
その時、まだ3歳になりたての少女には、そこら中に飛び散る、赤黒く光る鮮血の意味など理解できるはずもなく、出来ることといえば寂しさのあまり、その場で泣くことしかなかった。
━━━━━━━━━━━━━━
私の名前はサラ。貴族でもなんでもなかったらしいから家名なんかはないわ。
それでなんで「らしい」なんて言葉を使ったかっていうと、私がまだ3歳の時に冒険者ギルドのギルドマスターだったパパと、そのギルドの受付嬢だったママが殺されちゃってたから、ちゃんとした記憶は曖昧なの。
でもね、9歳になった私には、ちゃんと家族がいるわ!それは私を孤児院に引き入れてくれたバーバラさんと、私と同じようにバーバラさんにお世話になっている9人の孤児たちよ。
バーバラさんは魔法の訓練の時は厳しいけど、いつも美味しいご飯を作ってくれるし、孤児院の子達はいつも騒がしいけど一緒にいてとても楽しいの!
でもルクスってヤツは別よ?いつも私を厄介そうな目で見てくるの、アイツがそんなふうに見てくるもんだから、私ももう話しかけてやんないんだから!って喧嘩になっちゃうのよね。
でもでも、私は見ちゃったの、そのルクスがみんなを魔物から守って、その上近くの沢山の魔物ごとキレイさっぱり消し飛ばしちゃったところをね。
でもそんな、みんなの命が危ない!って時に私は動けなかった。魔力はあんまり回復していなかったけれど、なにか出来ることはあったんだと思うの。なんだかルクスに負けた気がして悔しい!あとほんのちょっとだけど見直したわ。
だから私はルクスをいい奴とは言わないけど、頼りになるやつだと思ってるの。そして冒険者になったら、いつかルクスとかイーサより強くなって、パパとママやギルドのみんなを殺した魔物をぶっ倒してやるんだから!
そして今日も彼女は鮮血のように赤い魔力のオーラを放ち、武術と魔法の特訓に励んでいる。
全ては、今では顔も忘れてしまった両親への弔いとなる戦いに備えて。
主人公以外の視点で書くって難しいです。




