第24話 後始末と結果
新作の方を集中的に投稿していたので更新が遅れてしまいました。本当にすみません。
チビルダのヤツがスコラと戦っている間、擬似召喚されたゴージャスウルフ3体を俺とイーサ姉ちゃん、サラとアリアさんが相手をすることになったわけなのだが。
「付与・水」
アリアさんがまず最初に自身の武器であるムチに水属性の付与を施した。
真っ赤な髪ともよく似合ってるなぁ。
「ウオォォォオーーン!!」
そのタイミングでゴージャスウルフは連携を取れるように陣形を整えてこっちに向かってきている。
それを合図に俺を含めた3人が戦闘を開始しようとするのを何故がアリアさんが止めた。
「大丈夫…もう、勝ちだから」
アリアさんはそう小声で言っている最中にも水属性を付与したムチで3体のゴージャスウルフの足に引っかけて転ばしていた。
かっ、かっこいいですアリアさん!
「終わり…『アクアプリズン』」
ん?……おいおい。
まずこの魔法は第2階級の水魔法である。そして2階級以上の魔法は桁違いに習得が難しく、記述してある本も少ないのでまず普通の人には習得できないのだ。
このことから2階級魔法を10歳足らずで習得したアリアさんがどれだけおかしいのかが分かるだろう。
俺はまだアリアさんと試合しなかっただけ幸運だったかもしれない。あ、でも土壇場でオリジナルのユニーク魔法ぶっぱなしてくる女の子よりはいいかもな。
しかし驚くのはそれだけではない。というのもその魔法の内容がヤバかった。
それは対象の敵を内から出られないドーム型の水で覆い、窒息死させるというシンプルに何人何匹もの生物を殺せる魔法だったからだ。
魔法の本でちらっと見た時はそんなにすごいとは思わなかったけど、実際見るとかなりやばいな。
そして3体のゴージャスウルフは物の見事に殲滅された、のだが。
「これ、実体はあったけど全部偽物…ただのエレメントウルフ」
「スコラの奴、嘘言ってたのね!腹立つわあのバカ!」
まぁまぁ、サラは落ち着けって。にしてもスコラそんなことも出来たのか、すげぇ。
そんな感じで俺達が話していると、チビルダ3人組の1人であるデフが走ってきた。
「おーーーい!バーバラさんが、スコラとビチルダの戦いが、はぁはぁ。終わったからとりあえず、孤児院にゲホッ、帰ってこいだって」
どんだけ急いで来たんだデフ。めちゃくちゃいきあがってるじゃん。ということで、あの二人のことも心配だしさっさと孤児院に戻るとするか。
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「バーバラさん!2人は本当に大丈夫なんですか?」
イーサ姉ちゃんが寝ているスコラとチビルダを見て思わず質問をしてしまう。
まぁ、無理もないよな。だってスコラは極度の魔力切れによってすっかり血の気が失せて全身真っ白だし、全身の至る所が血だらけのチビルダは今まさにバーバラさんの魔法によって治療されている途中である。
「まぁ大丈夫さ。でもどうやらスコラは、誰かに負の感情を基礎とした別人格を作られていたようさね、と言ってもアンタ達にはまだ分からないか」
確かによく分からないけど、俺も出来るのならいろんなことを知りたい。聞けそうなことだけ聞いてみよう。
「でもその誰かってだれなんですか?」
「そうさねぇ、こんな高度で回りくどいことをするとすれば、どこかの犯罪ギルドとか……まぁ、そんなことを今更考えても遅いだわさ。そんなことより、アンタ達に言わなきゃいけないことがあるさね」
何故かいきなり場の雰囲気が重くなる。こういう時はバーバラさんがなにか重要なことを言う合図だ。怖いんだけど!
「今回の最終試練は全員合格さね。いやぁー、アンタ達も一年でここまでよく実力を付けた!偉いだわさ!」
「…………え?」
さらっと爆弾発言をしていくバーバラさんに対してみんなの顔が引き攣っていくのが分かる。あの決闘の緊張感を返してくださいバーバラさん!
「い、いやぁー、勢いで1位だけ合格とか言ったのはアタシが悪かったよ。でもこれで安心して将来のことも考えれるだわさ!」
そこからみんなの文句が止まらず、1週間のご飯増量とバーバラさんとの腕試し1人一本勝負の権利が与えられた。
これで今回の出来事も終わりだな。流石にこんなことはもうないよな?
その時の俺は、様々な出来事が自分自身を中心として起きていることにも気付かずに、みんなと呑気に時を過ごしていた。
そうして遂に9歳の年は終わり、時はそれぞれが新たな道へと踏み込む10歳の年に進んでいくのだった。
これでようやく一件落着ですね。次回からは孤児たちの昔の話を投稿しようと思っています。




