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第23話 最終試験(7)

更新が遅くなってしまい申し訳ないです。また1週間のペースに戻すために努力しますので良ければ応援よろしくお願いします!


 「ちょこまかしやがって、ウザいんだよ!『ファイアボール』」


「あっぶねぇ!ヒヤッとしたわ」


 俺はスコラの周りを全速力で駆け抜けることで魔法をなんとか回避しながらスコラを元に戻す方法を考えていた。

 そういえばバーバラさんが元に戻すには今とは違う感情で満たせとか言ってたよな?うーん、物は試しでやってみるか。しっかしこれで本当にいけるのか?まぁやるしかねぇんだけど……

 そこで俺は走って逃げようしているのをやめ、スコラに向かってこう言い放った。


「おい!そんなウスノロな魔法が当たるとでも思ってんのか?この偽物スコラが!馬鹿、阿呆、間抜けの三拍子が揃ってんだな、いつものスコラとは大違いだな。大体スコラもスコラだ、百歩譲って襲われたのは俺のせいだとしてもせめて自分の身くらい自分で守れよ!はぁはぁ、と、とにかく。えーっと、このバカ!」


 そう、これは口喧嘩だと思えばいい。それなら俺は負けないんだからな!


「…………。お前この期に及んでまだそんなこと言いやがるのか!ふざけないでください!」


 今スコラの口調が変わったよな?

まぁ?俺が考えついた作戦というのはスコラを自分の得意な煽りによって曖昧な恐怖といった感情を今度はビチルダに対する明確なイラつきとかそういう感情で埋め尽くすという内容だったからな……。

 すごいだろ?すみません偶然です。でも偶然でも当たりは当たりだろ!こうなったら続けるしかねぇ。


「チッヒッヒ、なんとでも言いやがれ!大体いつもお利口にしてる割にはそういう怖っわい表情もちゃーんとできるんだなぁー、ビックリしたぜー!」


 この俺の言葉でどちらの人格も怒りの沸点に達したらしい。


「誰のせいだと思ってるんだぁぁ!!!もうどうにでもなれ!『アクアストーム』」


 スコラに言葉が届くように止まって話していた俺にはもちろん避けることなどできない。

 まさかのここで第4階級魔法かよ!でも擬似召喚もしてるし、これを耐えたらアイツの魔力は多分もう無くなるはず!


「来いよ!受け切ってやる!『サンダーシールド』」


 俺はそう考えて水属性と相性の良い雷属性の防御魔法を持てる限りの魔力を絞り出して展開した。


 バチバチとぶつかり合う水の竜巻と雷の盾。しかし俺の防御魔法は所詮5階級魔法であり、いつまでも耐えられるはずもなかった。

 くそっ、ここまでせっかく来たってのに!


「惜しかったなぁ?でももう終わりだ!」


 シールドにパキパキとヒビが入る。

どうやらスコラは無けなしの魔力で更に威力を上げたようだ。

 やっぱり俺なんかには無理だったのか。魔力切れによって遠くなっていく意識。その刹那、何故か今自分が展開しているちっぽけで今にも破壊されそうな防御魔法が強く、そして大きくなったのだ。


「え?なんで……」


「はぁーー、間に合って良かった!カヒヒ!」

 「あれホントにスコラか?雰囲気変わりすぎて全然分かんないぞ!デハハ!」


 おい、嘘だろ?なんでお前らがいるんだよ?俺の倒れそうな身体を支えながら防御魔法を維持しているのはなんとデフとカーリだった。


「孤児院でカーリの治療が終わったから試合観戦しに行こうと思ったらこんな風になっちまってたんだよ、まぁビチルダの危ないところを助けられて良かったけどな!ガハハ!」


 「それとバーバラさんから来た伝書鳩でスコラのことは大体知ってるよ、だから今からシールドの威力をもっと高めてスコラの魔法を弾くからあいつと決着つけてこいよな!カヒヒ!」

「「おりぁぁぁ!!」」


 俺の返事なんて聞かずに、気合いの入った大声と共にデフとカーリはシールドの強度を高め、遂にスコラの魔法を押しのけた。

 俺はその時改めて思ったよ。やっぱり友達ってのは大切なものなんだってことを。


「お前ら、余計なことしやがって!……でも、ありがとな」


 2人の後押しによって俺はよろめきながらも何とかスコラの方へ向かっている。どうやら相手の方も魔力はすっからかんのようだが、ゆっくりとこっちに近づいてきていた。


「お、おレはおマエがニクイ!!」


 明らかにスコラの様子がおかしい。声もどこか危なげな感じだ。これが別人格スコラの本性か!俺がそう感じた瞬間にスコラは尋常ではないスピードで距離を詰め、俺を押し倒すと同時に強い力で首を絞めてきた。


「コロス、ころス、コロシてやる!!」


 どうやらデフとカーリも突然の事過ぎて反応に遅れているみたいだ。やばいぞこれは!

脳に酸素が回っていないのか思考ができない。だけど最後の悪足掻きくらいは……!


「あ、あれ、は!スコラが欲しがってた、本だ!」


 俺は必死で声を出し、スコラの後ろをいかにも深刻な感じで指さした。そうするとスコラはおもむろに背後に意識を向け、手の力が少し緩んだ。

 まさかこんなことで騙されるとは、どんだけ本好きなんだよスコラ。


「この本好きのアホ!ぶっ倒れてろ!」


 俺は緩んだ手を叩いてどかし、反応が遅れたスコラを頭突きで意識を沈めた。


「終わったな、この後みんなに謝り直さないと、な……」


 人を助けるのってのも何か悪くない気分だな。まっ、今回の原因は俺にあるんだけど。

 そうぼんやりと考えていると、急いでこちらへ向かってくるデフとカーリが俺に抱きついてきた。

 倒れそうだから止めろって……




 そこで俺の夢が傭兵から騎士になり、それを目指す為の努力をするのはまだ少し先の話だ。




これでビチルダ視点は終了です。そしてそろそろ1章も終わりそうです。

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