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第22話 最終試験(6)

個人の都合で更新が大幅に遅れてしまい、大変申し訳ありません。これからも頑張って書きますのでよろしくお願い致します。

前回戦うと言いましたが、本格的に戦うのは次の回でした。すみません。


 「おいビチルダ!起きな!」


 俺はどうやらバーバラさんに体を揺さぶられて目を覚ましたらしい。

 うぅ、もうすっかり暗くなってるなぁ、あの空間みたいな所にいた時間は気を失って寝てる扱いだったのか。ビチルダとスコラが戦いを始めたのは夕日が出てすぐだったので結構な時間が経過している。


 あれ?そういえば指が痛くねぇな。ビチルダはそう思い、指が失くなった方の手を見てみると血が止まっていて噛みちぎられた面がしっかりとした皮膚で覆われていた。そしてビチルダの目が覚めたことに気付いたバーバラはこう言った。


「あぁ、ようやく起きたさね?指なら今は止血と少しの再生はしておいたが、ことが片付いたらしっかり治してやるからしばらくは我慢するだわさ」


 そこでビチルダはあることに気付く。


「そ、そんなことよりバーバラさん、スコラはどうなったんですか?」


「それなら今はルクスとイーサが少し離れたところで相手をしてるさね。さて、そのスコラについてなんだが、お前はどうしたいんだい?ワタシなら苦もなくスコラを元に戻す自信があるけど、正直言って今のお前にはそれは厳しいと思うだわさ。でもワタシは敢えてビチルダ、お前の意見を聞こうと思う。さぁどうするさね?」


 バーバラさんが時折見せる、まるで自分のことが全部見透かされているように感じてしまうように優しさと鋭さが混じった目を俺に向けてきた。 少し怖い。


そこで俺は目を閉じ、考える。


 またルクスとイーサに借りをつくっちまったのか、この2人にはどう返せばいいか分からんくらいの借りがあるよな。

 でも、俺はこれまでやってきたことを自分でかたをつけるんだって決めたんだ!だったら……


「俺にスコラを元に戻させてください!こんなのは自分勝手な自己満足なのは分かってる。でも、でも今ここで引いたらもう俺の性根は一生変わらないと思うんです!」


 俺の必死な訴えを聞いたバーバラさんは少し驚いたような顔をした後、ニコッと笑ってそのことを了承してくれたのだった。


「ビチルダ、アンタも変わったねぇ……よし分かっただわさ、じゃあ行ってきな!今はルクス達がスコラを誘導して村方面の開けたところで戦ってるさね」


「ありがとうございます!じゃあ、行ってき…」


 俺がその方面に走っていこうとすると、バーバラさんにガシッと止められた。


「ビチルダ、いいかい?スコラを元に戻すヒントは、アイツの心を今とは違う感情で満たすことさね。これを絶対に忘れるんじゃないだわさ!」


「え?……は、はい!」


 ビチルダはバーバラさんの言ったヒントがなんのことかさっぱり分からず、首を傾げながらもルクスたちの所へ向かったのだった。

 待ってろスコラ、俺が絶対に元に戻してやるからな!



━━━━━━━━━━━━━━



「邪魔するなよ!『アクアランス』」


 別人格スコラの魔法をイーサは無詠唱で創り出した風の盾で咄嗟に防いだ。


「お願いスコラ、目を覚ましてよ!」


 どうやらスコラとイーサ、そして召喚した3匹のゴージャスウルフとルクスがそれぞれ戦っているようだが、ルクスたちはさっきの試合でまだ魔力と体力が回復し切っていないのが目に見えてわかる。

 そしてようやくビチルダはルクスたちがいる場所に辿り着いた。


「う、ぐぅぅ……ぼ、僕は……あぁぁあ!出てくるんじゃねぇ!どうせあんな最低野郎は来るわけがねぇんだよ!お前がどんだけ信じたってな!」


 俺は気が付くと笑っていた。だって面白いだろ?いっつも頭いい奴の信じて止まない予測が外れるなんてな。そんじゃあここでガツンとひとついっときますか!


「チヒ、チッヒヒヒヒ!!残念だったなぁ!お前の予想は大ハズレだ。チビのビチルダ様、ここに参上!!へっ、決まったぜ……」


 ルクスとイーサは勿論、別人格のスコラまでもがその場で凍りついた。


な、なんだよぉ、こっち見んな!


 俺はなんだか気恥ずかしくなって無理矢理話を続けていく。


「そ、その……と、とにかくスコラのことは俺に任せろ!何とかしてやる!」


 俺の言葉に2人ともびっくりしていたが、ルクスが不意に吹き出してこう言ってきた。


「プッ……つ、遂に自分でチビって言ってるし!お、お前って案外面白いんだな。じゃあスコラの方は任せるぞ!ウルフたちなら今の俺たちでも何とかできる、いやするからな!」


 そのタイミングを見計らったように別人格スコラは俺にあからさまな嘲笑を浮かべ、ウルフたちをけしかけてきた。


「はっ!笑わせんなよ?お前みたいな腰抜けが戻ってきたところで俺をどうにか出来ると思ってんのか?やれ、お前ら!」


 そこでどこから現れたのか、サラとアリアがウルフたちの前に立ち塞がった。


「まったく、ちょっと遠くで休憩してたらアンタたちが居なくなってて、本当に探したんだから!とりあえず帰ったらルクスはぶん殴るから覚悟しときなさいよ!ってことでビチルダ!アンタもこっちは気にしずに頑張って戦ってこい!」


「う、うそだろ、死ぬ……」


「わぁー!2人とも来てくれたんだね!ありがと!」


「うん、遅くなってごめんね…あとサラ…暴力はダメだよ…ルクスが可哀想」


 突然のことでびっくりしているルクスたちだが、恐らくあの面子で負けることはないだろう。

 安心した俺はようやくスコラに意識を向ける。

 

「今から目覚ましてやるからなスコラ!」


 そう呟いて俺は一直線に走り始めた。




 自分の運命は自分で決める。

俺はもう決めたんだ、逃げないって。









こういうハラハラした展開は自分好みです。あともう少しでこの最終試験にまつわる話も終わります。

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