表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/33

第20話 最終試験(4)

スコラとビチルダ、真反対な性格同士の戦いはどうなるんでしょうか。


 スコラとビチルダの試合が決闘の儀によって開始された。しかし、


「あれ?試合は始まってんのになんで攻撃しないんだ?」


 何故かスコラとビチルダは戦闘が始まっても何故かお互いすぐに攻撃をせずなにやら話をし始めているのだが、俺には声が聞こえなかった。何話してんだ?




━━━━━━━━━━━━━━




「ビチルダ、君に1つ話しておかなければならないことがあります」


「な、なんだよ?スコラ」


 ビチルダがそう言うとスコラは静かに話し始めた。


「それでは言いますね。正直僕はまだ君のことが嫌いですし、今まで君がやってきたことを許すことなんて出来ません」


「え、え?」


 いきなりの嫌いです宣言に驚いて言葉が出ないビチルダ、しかしそれを無視して話を進めるスコラ。


「理由としてはまだ魔法が使えなかったルクスを3人で虐めにかかったことや、魔物のスタンピードの時に自分の力を過信して魔物を倒しに勝手に飛び出したことなどですね。他にもまだまだありますが聞きますか?」


「いやもういいよ……ていうかなんでお前がルクスのことを!?」


 スタンピードの件はともかく、スコラがルクスを虐めていた件を知っているとは思っていなかったのか、ビチルダは冷や汗をかいている。


「そりゃあ知ってますよ、ルクスが夜中に出て行ったのも同じ部屋のみんなが気付いていましたし、スパナとバールにあなたたち3人がルクスと同じくらいの時間に出て行ったことも聞きましたからね」


 その事を聞いて黙り込むビチルダにスコラは更に言葉を投げかける。


「まぁ、ルクスも許していますし君も反省しているでしょうから、そろそろ僕も君を友達として認識しようかと思いま…」

「ほ、本当か!」


 その言葉に思わずニパっと微笑んだビチルダ。そして何故か突然スコラは黙り込み、顔にスッと陰が落ちた。


「『ファイアボール』」


 スコラの突然の攻撃に防御魔法を使うことが出来ず、咄嗟に回避したビチルダ。


「お、おい!不意打ちとか卑怯だぞスコラ!」


「関係ねーよ、もう時間稼ぎはもう終わりだ!『擬似召喚・ゴージャスウルフ』」


「バルゥゥゥゥ!」


 なんとスコラの隣に魔法陣が浮かび上がり、そこから3体のゴージャスウルフが飛び出してきた。


「うわぁぁぁ!!」


 魔物のスタンピードの恐怖がフラッシュバックしたのかビチルダはその場に尻餅をついて動けなくなっている。


「安心しろ。これはアイツが知る限りのゴージャスウルフについての知識を糧に創り出した魔力の集合体だ。だから俺の言う通りに動くんだよ」


 ビチルダがその場で震えているのをいいことにスコラはその場で行ったり来たりしながらペラペラと早口で話し始めた。


「擬似召喚ってのは知識がものを言うんだよ。なんでか分かるか?それは本物の魔物を呼び出さない変わりにその魔物の特徴、習性、生態までを知り尽くさないと創り出せねーんだよ。だからアイツはあの忌々しいスタンピードの日の後からずっと魔力消費が少ない上に自分の記憶に強く残っているとその分本物に近づけることが出来る擬似召喚について調べてたんだよ。なんでかって?あの時アイツはエレメントウルフに殺されそうになったからだ!それはビチルダ、お前にも原因があるはずだ。だから俺はお前を許さない。なのにアイツはそろそろ許してあげようとかほざいてやがる!ふざけんなよ!あぁ!?」


 突然訳の分からないことを言い始めたスコラ。そしてそのいつもとは違うスコラの口調に身体をビクビクさせながらもビチルダは言葉をなんとか発する。


「お、お前スコラだけどスコラじゃないだろ!?だだ、誰なんだよ!?」


 その混乱してしまっている質問にもスコラらしき人物は淀みなく答える。


「俺はスタンピードの1件によって生まれた恐怖によってスコラ自身に無自覚でつくられた本来の人格とは違う別人格だ!」





 「別人格をつくるまで心に傷を負っていたことに気付いてやれなかっただわさ。スコラには申し訳ないさね」


 少し離れて観戦していたバーバラさんはそう悲しそうに呟いている。何やら雰囲気がただ事じゃないぞ?


「では私が試合を止めてきます!スコラの別人格があんなに怒っているならビチルダがどうなるかも分からないですから!」


 「俺も行ってくる!よく聞こえないけどスコラとチビルダが大変なことになってるなら助けないとダメだと思うんだ!」


 バーバラさんの声を聞いた俺とイーサ姉ちゃんは一旦試合を止めようと走り出そうとした。しかしバーバラさんにそれを止められてしまう。


「いや、ここでワタシたちが止めたところで根本的な解決にはならないだわさ、特にビチルダが変わらない限りはね。大丈夫だわさ、アイツがボコボコにされてもワタシがもげた腕や脚の2つや3つくらいなら治してやるさね!」


「は、はーい」


 バーバラさん地味にやばい事言ってるよな。そう思いながらも俺とイーサ姉ちゃんは2人を見守ることにした。

 どうせ今までのつけでも回って来たんだろ?

なら頑張って今までのことにケジメつけてこいよなチビルダ!



次回、ビチルダが頑張ります。(多分)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ