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第12話 知恵と経験

いつの間にか1,000PV突破致しました!これからもまだまだ連載致しますので「無彩色の運命」をどうぞよろしくお願いします。


今回はバーバラさんサイドのお話です。

話が長くなってしまいました、すみません。

少し残酷な描写がありますが、出来るだけお読みいただけるとありがたいです。


 ルクスたちが森の中で戦闘を繰り広げている頃、バーバラはスタンピードの元凶が居る場所へと向かっていた。


「さてさて、やってやるとするだわさ」


 そう面倒くさそうに言いながらもバーバラは風の第4階級の移動魔法であるウインドブーツを永続的に発動させることによって空を飛びながらスタンピードの元凶を魔力感知によって方角を把握し、後は勘を頼りに移動をしていた。


「これだけのスタンピードを引き起こす程の強敵、本当に久しぶりさね。本来ならゆっくり楽しみたいところだけど、ルクスたちも心配だからさっさと倒して帰るとするかね」


 そう呟きながらバーバラは魔法に込める魔力の量を更に多くして、速度を上げた。

 そして村から相当離れた場所にある大きな丘が見える場所に到着する。


「どうやらあの丘が敵の休憩場所のようさね、やっぱり女の勘はどんな時でも間違いがないだわさ」


 女の勘で敵の位置が分かったらそれこそ誰も苦労はしないだろう。

 そんなことは置いておいて、バーバラはギリギリまで敵に知覚されるのを避けるために魔法の使用を止め、警戒を一段階上げて丘の前にある森の中に足を踏み込んでいった。


「こりゃあーどんだけの数殺しているんかねぇ、血生臭いったらありゃしないだわさ」


 それもそのはず、森の中に入ってすぐの場所からおびただしい量の魔物の肉片と血溜まり、そしてスタンピードの元凶である魔物が強引に通った場所が森に広い一本道を作り出していた。

 その惨状も特に気にすることなくバーバラはズンズンと敵がいる丘に向かって進んでいく。


そして遂に見えた敵の姿。


 元凶である魔物はどうやら大きな丘の上で寝ているようだ。しかし寝ている状態であっても誰も寄せ付けないオーラを放っている。

 そしてその魔物の体長は20メートルを優に超える四足歩行の巨体であり、一番の特徴は狼のような顔が3つある点だ。


 ケルベロスとはまた鬱陶しいのが来たさね、

まぁ、まだワタシが若かりし頃のあのパーティだったら瞬殺だろうけどね。


「狸寝入りはそろそろお終いにしてくれないかい?こっちは早く終わらせたいんだ」


 バーバラは目を覚ましているのが容易にバレてしまっているケルベロスに呆れたように言葉を投げかけた。


「なんで俺たちが寝てないことが分かりやがった?」


「何でってこいつが…」


「何でって俺が目を開けていたからでやんす!そんなことよりお腹空いたなぁー」


「お前馬鹿か!まぁ、俺たちは不意討ちなんかしなくても負けるわけがないがな」


 と、順に真ん中、右、左の頭がそれぞれ自分の思っている事を話している。若干話し過ぎなやつもいる気がするが……


「あぁそうかい、わかったわかった、それじゃあその出端を折ってやるさね!『付与エンチャントサンダー』」


 そう挑発の言葉を口にしながら愛用の小刀に武術で雷属性を付与した。


「こっちがまだ生かしてやってるってのに調子に乗りやがって!おいお前ら、行くぞ!」


「あぁ、わかっ…」


「さぁぁぁーー行くでやんす!飯の時間でやんす!」


 挑発に乗せられたケルベロスはバーバラに攻撃を仕掛けようとするが、そう思った矢先、三つの頭全てが彼女を見失ってた。


「アイツ、どこ行きやがった!?」


 ケルベロスがバーバラの姿を見失ってから数秒後、下半身寄りの背中の上に小刀で分厚い皮膚を刺されたことによるチクリとした痛みが走った。


「くそっ、いつの間に背中に乗りやがった!あのババア!」


「それは俺たちが見失ってた時…」


「ちょっとピリピリもするでやんすね、もう怒ったでやんすよ!」


 そう言って左の首がバーバラを食い殺そうと背中に首を回す。


「やっぱりこれくらいじゃあ痛くも痒くもないようさね。」


 ケルベロスの背中に雷属性が付与された小刀を突き刺した後、バーバラは武術によって強化された肉体を駆使して、華麗に敵の噛みつきを避けながらケルベロスとの距離をとった。


「あぁーー俺の飯がー。それにしても美味しそうだなぁーあの人族、でもちょっとうざくなって来ちゃったから消しちゃおう!みんなアレ行くよー」


「わかっ…」


「行くぞ!!!!」


 そして3つの首は四属性の魔力そのものを均等に集め、自分の体以上に大きなエネルギーの球体を創り上げた。

 数秒後にケルベロスから放たれるであろう魔力の塊は強大かつ広範囲に渡り、周囲を破壊し尽くすものであることに間違いはないだろう。


 ちっ、厄介なことしてくれるね、流石にアレを凌ぎ切るのは無理っぽいね、となれば……


 バーバラは武術によって強化された肉体と併用してウインドブーツを使用し、電光石火の勢いでケルベロスの元へ突っ込んでいく。


「はぁ?こいつ馬鹿なのか?そんなに死にたきゃ死ね!『エレメントボム』」


「もう回避できないと思っ……」


「バーカバーカ!最初から俺に食われとけば良かったでやんすよ!まぁ、もうバイバイでやんす!」


 ケルベロスはバーバラが近付いてきたことも特に気にせず、膨大な魔力の塊を前方の地面に叩きつけた。


「ドガァァァァアアァァァンン!!」


 重量感のある音の後、ケルベロスの前方は隕石が落ちた後のように、広範囲に抉られた土地が出来上がっていた。


「けっ他愛ねぇなぁー。また次の相手でも探すとするか」


「そう…」


「あーあ、もうつまんないでやんすよ、他の魔物を狩るのも飽きちゃたでやんすー」


「アンタらは魔力の扱いが雑過ぎて無駄が多いさね。仕方ないからワタシが魔力の扱い方を教えてやるだわさ!」


 突如ケルベロスたちの背後から聞こえるバーバラの声、それに驚いたケルベロスは急いで後ろを振り返り、あたふたしている。


「はぁ?」


「なにが…」


「どうなってるでやんすか?」


 バーバラはそんなことも分からないのかと言わんばかりの顔をしながらも答えた。


「とっても簡単な事さね、アンタらの魔力が放たれるより速くアンタらの下を通って後ろに回っただけだわさ。」


 そのざっくりな説明に絶句するケルベロスの頭達。


「じゃあ早速解説を始めてやるさね。魔力っていうのは自分の体内に溜め込んでいる上限付きの自然エネルギーの事だわさ。まぁ、ワタシみたいに器用だとこういうこともできるさね」


 バーバラが上に指を指すとそこには有り得ない厚さの黒い積乱雲が集まってきている。


「こうやって自分の魔力を自然エネルギーそのものである風とかに上手く混ぜ込むことで扱える量がもっと増えるさね。分かったら返事は!?」


「は、はい!!」


 バーバラの有無を言わさない圧力に思わず返事をしてしまうケルベロス。


「よーし、じゃあそろそろタネ明かしをしていくかね。さっきワタシが言ったことが本当ならもう一つの自然エネルギーである雷も多少は制御ができるようになっているということだわさ」


 ここでケルベロスはバーバラが言っていることの意味をようやく理解し、反撃することもなくその巨体を身震いさせている。


「そうそう、それからアンタらの背中に刺さっている小刀に付与された属性も重要なポイントだわさ。さぁさぁ、ようやくアンタらも理解出来たようだからそろそろこの戦いも終わりにしようとするかね 」


 そう言うとバーバラは手をゆっくりと空に掲げ、その次に一気に下に振り下ろした。


「さぁ焼き焦げな!『雷神トール金槌ハンマー』」


「グワァァァァァァアアア!!」


 バーバラが放った古代魔術の一つである天候操作術の攻撃がケルベロスに炸裂する。

 雷属性を付与された小刀が媒介となり一直線に落ちる雷の群れの数々に対して、いくらケルベロスでもそれに耐えられるほどの頑丈さは持ち合わせていなかったようだ。

 ようやく雷が収まり、黒焦げの状態で絶命しているケルベロスをバーバラは一瞥してその後は何事もなかったように穏やかな雰囲気で独り言を口にする。


「あぁー、スッキリしたさね。遊び過ぎてちょっと時間がかかったからさっさと村に戻るとするだわさ」


 そしてバーバラはまたウインドブーツを発動させ、ルクスたちが待っているであろう孤児院へと向かった。

 少し時間が経った後、バーバラは明らかな異変に気付く。その異変とはこちらにどんどん迫ってきている黒い水の性質を持っている魔力のことである。


「これはルクスの魔力かい?なんてこったい!こんな魔力の感覚は始めてだわさ、とにかくワタシが行って止めないと!」


 バーバラはここから先のルクスが居るところまで行こうとしたが、ルクスの魔力は生き物のように意思を持った攻撃をしてくる為、結局その魔力がルクスの元に戻るまで近付くことは出来なかった。





バーバラさんは自分でもお気に入りのキャラなので良いと言ってくださる方が沢山いて凄く嬉しいです。


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