プロローグ
小説初投稿です。よろしくお願いします!
※文面を改稿しました。
「これで我の因子と記憶は輪廻転生されるはずだ。神の子め、この痛みを次はお前達にくれてやるからな────」
この世の全てを恨むかのような最期の笑い声を上げ、この大悪魔は息をしなくなった。
なぜ笑っていたのか。それはこの大悪魔は神の子と呼ばれる「善の象徴」に打ち倒され、絶命する直前にある古い禁術を己の身体に施すことに成功したからだ。
その術を簡単に説明すると、輪廻転生を自分の魔力によって再現するという、この世の理に違反する代物だった。
また、その代償と呼べるほどのリスクが無いというのもこの術の異常さの理由の一つになるだろう。
しかしこの術は神々も使用するだけあって、常人には修練をしても到底辿り着くことも出来ないほどの精神力と素質を必要とするのは必然だった。
しかし、この大悪魔は激戦によって底を尽きかけていたはずの魔力を振り絞り、その奇跡を起こした。
────のように思えたが、実際はほんの少し魔力が足りなかったのである。
「偶然」
この時起こった出来事にこれ以上の言葉があるだろうか。いや、このことはもう既に決まっていた、つまり「必然」だったのかもしれない。
まず、この異世界の時間概念は地球のそれとまったく同じだったのだ。
そして、この大悪魔が絶命した時間、その時刻のコンマ一秒まで同じタイミングで息を引き取った、ある日本人の男がいた。
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男は、些細なことを除けば、自分で実感できるほど幸せで順風満帆な生活を送っていた。
五体満足で産まれ、そこそこ良い会社で若いながらも成果を出し、良い女性にも出会い、結婚も出来た。
まぁ、結論から言うと、人生はこんな良いことばかりなはずがなかった。
それもそのはず、結婚式を終え、次の日の初めての二人の生活で自分の得意料理である中華料理の材料が足りないことに気付いて近所のスーパーマーケットに歩いて行ったところ、帰る途中に後ろから突っ込んでくる居眠り運転の軽自動車にぶつかり、気づいたら体が吹っ飛んでいた。
しかも即死では無く、意識がある状態で虫の息という最悪の状態で。
なんとも言えない鈍い痛みと、身体から染み出る生々しい血液、そして瞬間的に目に浮かぶ一瞬の走馬灯に驚きながら、男はただ呆然と呟いた。
「死ぬのかぁー、嫌だなぁ........」
その言葉を最後に、男の意識はテレビのようにブツリと切れたのだった。
先の2人の死亡時間が細部まで合致するという偶然と、大悪魔の魔力が少し足りないというほんの少しの失敗をしたこと。
その二つの要因によって、輪廻転生の術を狂わせてしまったことがこの物語の始まりであり、原点でもあることは知っておいてほしい。
そして奇しくも、日本という国ではちっとも珍しくない黒髪という部分だけが、2人の死亡時間以外の唯一の共通点だったのだ。
これは、かの有名な神様が仕組んだ悪戯とでも言うべきだろうか。
これからも頑張って書こうと思うので、どうぞ無彩色の運命をよろしくお願いします。