9話
本番まで三日となった
あれから毎日魔法の修行(と狩りの偽装の兎)を続けてかなり魔法はうまくなった
水弾がかなりスムーズに発動できるようになってきたのでいい感じ
しかも、タイニーロックである限りには風魔法適正もあったらしく水、炎弾のコントロールが可能ということも分かった。スキル表示がないのは鳥型魔物の基本スキルだかららしい。なるほど、でないとこんな空力無視の滑走なしで飛んだりできんわな。
今日も朝から気合い入れて飛んでいこうと思ったらラティちゃんに呼ばれた。
頭をわしゃわしゃしてくるので胸にぐりぐり顔をうずめてみた。
「今日から一日中つながる訓練よ」
ん?つながるって何?と首を傾げると顔をガシッともたれ目を合わす。
首に宝石みたいな飾りのあるチョーカーをつける。
彼女も同じものをつけているようだ
目をしっかり見ながら彼女が唱える
「接続」
なんか魔法が発動してるのか?ん?なんか視界に別ウインドウが出てきた。
鳥が映ってるよ。紫の隈取ってオイラじゃん?
どゆことだ?
「あんまり頭を振らないで!目まいがしそう!いきなり魔力が通ったからびっくりした?これから本番まではつけているんだから馴れておいた方がいいわよ?」
目まいって頭動かしてるのはこっちだよ。操獣士って言ってたよな。もしかしてこれ本来はこっちの視界を向こうに送るものなのか?あと遠隔指示ができるなら確かに狩りをするには便利なことこの上ない。
正に操れる感じだからな。
何でか知らないが向こうの視界もこっちにはわかるんだが案外双方向な魔法なのかもしれない。魔物側から伝える手段がないだけで
「今日は一日いつも通りでいいわよ。ヴァースの視界に馴れる訓練でもあるし自由に飛んでらっしゃい」
そっかおそらく地上魔物くらいならそんなに視界も変わらないから同調訓練自体が短いのかもしれない。
じゃあ一刻も早く慣れさせてあげますか
「クェー」 行ってきますのあいさつをして飛び出した。
ばっさばっさ
ばっさばっさ
ばっさばっさ
気合い入れて一気に上空まで。
ん?なんかラティちゃんの様子がおかしい 倒れこんでる?
急いで急降下 ばひゅーん 大丈夫??
腰を抜かしたラティがいた。
「ヴ、ヴァース、お願いもう少しゆっくり飛んで」
あ、気合い入れた飛行で目を回したのか。確かにジェットコースターみたいな視界にしちゃったもんな。
その後ラティは母に迎えに来てもらいおんぶされ家に戻っていった。
どうやら彼女は鳥の視界を全画面表示で見てたらしい
もっと意識して視界の隅で確認できるようにしなさいって怒られてた
経験ない人間が全画面で通常視界と鳥の高速視界のオーバーラップ映像で見たらそりゃ目を回すわ
とりあえず心配して彼女の部屋窓の外で待機。彼女の母に大丈夫だといわれとりあえずお出かけしました。
まあ寝てるだけだし全画面が切れなくても問題ないだろう。
でも心持ゆっくり飛ぶけどね
ばっさばっさ
大型の獣とかたまに狙ってみるか。山をひとつ超えたあたりにそこそこの大きさの湖がある。
水を飲みに来ている動物のうちイノシシらしき姿を発見。
ぼたん鍋だとラティちゃんも元気になるだろう。奴に決めた。
急降下でねらう。まずは網で足止めだ
近づいて網をというところで頭の中で声が響く
『ダメ!ヴァース避けて』
同時に下から迎撃のつぶてが飛んできた
かわして上空に逃げる。何が起きたんだ?イノシシが投げたの?
『ヴァース、ガトリングボアには気をつけなきゃダメよ!土魔法の礫弾は矢で撃たれるくらいの威力があるんだから!』
どうやら声が聞こえるのは【接続】の効果らしい。なるほどね視界を確認し、声で指示ができる。確かに操獣できるわけだ。
『ガトリングボアの礫弾は息を吐くときに同調してるの。いったん打ち切った後に隙があるからそのタイミングで回避するのよ‼』
回避指示か。でもやっつけたいんだよね。どうやら撃っている間は固定砲台になっているようだしそこが狙い目かな。
きりもみで急降下しながら近づいていく。撃ってくるのをぎりぎり回避しながら後ろに回り込む。ただでさえ亥の首なので後ろには向けないはず。息を吐き切って向きを変えながら息を整えるようだ。何度か同じことをして間合いを図る。射角があまり高くなるとやはり息が苦しくなって撃てないみたい。よし反撃だ。
ある程度まで前方上空から突っ込んでいく。さすがに獣なので放物線を描くという意味が解らないようなので実をいうと命中しない。当たりそうになる前に水球を作って射出しながら回避。水弾はコントロール可能なので一直線に制御し命中する。
イノシシはそのまま苦しみ暴れだす。芋虫時代の必殺技「威嚇毒」を水弾に混ぜてみたのだ。
顔に命中すればもはや催涙弾として機能するという必殺技。
何せミスト状で試してみたときに目は開けられないのどは痛いさんざんな目に遭った実験済みの化学兵器なのだよ。
苦しんでいるのである程度近くに降り今度は氷弾を撃ち込む。
かの有名なスタンド鳥の必殺技。きちんと改良し口からじゃなく周囲に形成してから射出します。
その分即応性がないのでこうやって大丈夫な時しか使えないのが今のところデメリットだけどなぁ
威力も少し自信がなかったので目か耳の穴を狙って撃ちましたら・・・・・
どっかーん!
頭が爆ぜました。
マジ?これどんな威力なんだよ?爆弾級じゃないか?
『・・・・・』
あ、ラティちゃんもあきれてる。
とりあえず持って帰るか
足を掴んで
ばっさばっさ
飛べない・・
ばっさばっさ
魔力を込めて
あ。ちょっと浮いた
ばっさばっさ
完全に飛べないな、しょうがない引きずっていくか
『ヴァース!無理持ってこなくてもいいから!そこまで誰かに引取りに行ってもらうから待ってなさい!」
慌てて言われてしまった。まあ食料にするにも皮にするにも引きずるわけにいかないか。
おとなしく見張ってますか
しばらくして村の男衆(一人はラティの父親)がやってきた。
みんな呆然としながら頭の無くなったイノシシを見ていた。
やり過ぎた?もしかして
モンスターデータ
ガトリングボア 猪型魔獣
性格は比較的温厚。ただし子育て時と食事中を邪魔した時には非常に好戦的になる
雑食。土魔法属性を持ち轢弾を鼻から打ち出すことができる。ゆえに射角と連射性に難があるが
地上から近づく者には脅威。頭に魔石を持つゆえに頭部も珍重される。