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異界で喰われて進化する?  作者: 那園曽 子規
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28話

深夜、とある屋敷の一室

少女が眠っている。

年のころは12.3歳。だがその年代としては少しやせ過ぎの印象もある

おそらく太陽の下で笑っているさまはとても美しいであろうが、今は頬もこけ、全体的に弱っている。

長患いでおよそ二年。彼女は屋敷を出たことがない。病の理由も誰も分からず、上級回復魔法を使ったところで病は治らなかった。


眠る少女の傍らにマントを羽織った人影が佇んでいる。

人影が少女の胸の上に手をかざすと仄かに光る球体が出現し、それはそのまま少女に吸い込まれる。

少し苦しそうにうめく少女。しかしすぐに元のように安らかに眠る表情に戻る。

そこまでを確認した人影は音をたてぬように静かに部屋を後にする。


「まだ足りないか・・・」


つぶやきは誰にも聞かれることはなかった。


************


領主との面会。今回は一人での面会である。

本来はシャナもつれて来てもいいのだが固辞されてしまった。


「騎士でもなくなって冒険者の格好でなんて行けません。」


だそうだ。

確かに騎士身分とはいえ貴族令嬢。ドレスくらいはないと無理だろうね。

女性は中身だよと言ったらなおさら怒られてしまった。


まあ今回は冒険者としての面会なのでそのまま鎧だけで行くことにした。


「その方がレオン・オーロ殿か。勇名は聞き及んでいるよ。」


結構フランクに話してくれる領主。歳は20代後半か。かなり細い印象である。見るからに文官タイプ。

おそらく殴り合いではリリーナ嬢にすら勝てないのではないかというくらいにひょろっとしている。


「この領に居を構えたいということであるが?」


「は、先日、少し大きな仕事をいたしまして。少し休暇をと思ったのです。その間に少し落ち着こうと思いまして」


「聞き及んでいるよ。ベノンヴァイパーの変種らしかったそうだね。」


「はい、手ごわい相手でした。」


しばらくは他愛もない話になってしまう。というかお互いに裏をとるようだな。

切り出してみるか。


「こちらに来てから少し街を見回ったのですが、スラムのほうに人がいないと思ったのですが。」


そういうと神妙な顔でうなずく領主。


「そうだ。スラムの一帯は開発をしようと思ってね。町の反対側にスラム住民の一部は移ってもらっている。」


「一部は、ということは他にもどこかに?」


「実はそのことでも貴公に依頼したいことがあるのだよ。」


一拍おき人払いをする。


「実はこの町の北東の山裾に新しいダンジョンが発見された。」


流石に表情が変わる。初めて聞く情報である。

ダンジョンとは自然発生する魔窟。一説には竜王のコアの魔石が膨大な魔力を吸い込み作るともいわれるが真偽は定かではない。

確かに言えることは何層かに分かれる迷宮構造、最深部にコアと呼ばれる部分がありそこからの強力な魔力により魔物が発生するということ。魔力濃度の高いところにいる魔物ほど魔石、素材共に高価格で取引されるために一攫千金を狙うものにとっては魅力的な場所であるが、その分危険は地上の魔物に比べ段違いと言われる。


「いち早くダンジョンを発見したのはスラム住民らしい。先んずるほどに旨味があるのがダンジョンだからな。腕に覚えのあるものなどがかなりの数入っていったらしい。だがそのほとんどが戻ってこなかった。気づいたときにはかなりの人数がいなくなっていたよ。」


「欲に目をくらませると自らの力量の把握はできませんからね。今そのダンジョンは?」


「入り口は封鎖している。そして探索者(シーカー)【オウルアイズ】に潜らせたのだが、10層のボスが攻略できなかった」


「名だたるパーティでも通れないとなると。規格外の魔物ということですね?」


オウルアイズはダンジョン攻略を専門とするパーティ。自分たちは野外、ダンジョン問わずに活動するが、彼らは未踏破ダンジョンのマップ作りを専門とするパーティである。ダンジョン内最強とも呼び声の高い彼らが通れないくらいのボス。

ダンジョンは平均20層。中ボス位置にいる魔物を突破できないとは思えないのだが。


「10層のボスはケルベロスだったそうだ。戦力半壊で撤退をしてきたよ」


「確かにきついかもしれませんね」


ケルベロスは最弱でもAランク上位と言われる。体格はクマ以上。双頭の狼である。

耐久も高く魔法も使用する。バランスのいい防御と一点突破の火力でもない限り立ち向かうのは難しい。

正直、うちのパーティでも突如遭遇というのは勘弁していただきたい魔物である。


「君たちにオウルアイズと組んでダンジョン究明をお願いしたいのだがいかがだろうか?」


「即答は致しかねますが善処したいと思います。まずはオウルアイズのメンバーと話がしたいのですが」


「それはこちらで都合をつけよう。よろしく頼む」


一応の面会が終わり領主館を後にする。

どうも大罪スキルもち(お仲間)に見えないんだよなぁ。レオンの目から見ても優男で頑張っている兄ちゃんにしか見えない。


このことも含めラストに相談しときますか。

ダンジョンもあやしいしなぁ。

そちらはおそらく大罪スキルっぽいけど調べなきゃ詳しいことはわからんな




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