26話
港街 ロカフロレス
天然の入り江となっており各国中継地点としての利便さにより貿易拠点として栄える街である。
その町の規模はこの国の中でも五指に入る規模であるが港街ゆえのがらの悪さも存在し、よく言えば庶民的な町であった。
街を一望できる丘にようやくつき一息つく
「やっと着いたな」
「馬車では三日なんですけれどね」
感慨深げに言ったとたんになにか憎々しげに言われてしまった。
女性にしては少し大柄ではあるがそれでも自分の方くらいの身長。歳は二十代半ばの美人。筋肉は締まり肉食獣を思わせる雰囲気を持つ。リリーナの護衛の女性騎士を一人道案内兼監視要員として借りてきている。本来ならば自分のパーティで動くべきところではあるが相手は大罪スキル持ち。下手な戦闘はできないこともあり今回は一人での行動である。そして隠れ蓑として結婚隠遁生活をするのでこの領を紹介されたという名目で女性同伴である。
名はシャナ・フィークス。自分の学生時代の友人の奥方である。
彼は騎士になり。いわゆる職場恋愛で女性騎士である彼女と結婚をした。しかし新婚早々の任務で盗賊征伐の任務により命を落とす。彼女はそれ以降家に戻り女性騎士としての務めを果たしている。
いかな騎士とはいえ、未亡人である以上純潔でないことは明白であり再婚は望むべくもない。
彼女もそれは承知しており一生騎士として過ごすつもりであった。
そしてどうやら自分は彼女のことを好いているらしかった。友人として好ましく思い。いつの間にか女性として見ている。ありきたりではあるが本人は自覚がなかったようだ。不器用男だったんだね。イケメンなのに。で、せっかくなのでかなえてあげようと思いラストに腕が立ってお料理上手床上手の美人を要求したというわけである。思惑通り彼女が抜擢されてついてきた。
もっともリリーナに床上手って言葉を教えたということで旅立っていきなりえらい剣幕で怒られたのだがまあそれはどうでもいい。
それから昼間は移動時々鍛錬がてら模擬戦、夕方村に入り情報収集という工程でゆっくり移動という毎日を過ごし旅をしていた
夜は初日こそ拒否されたが結婚の条件は本当だと納得してくれてからはスムーズに受け入れてくれた。あと床上手だったので怒られた意味はなかったのはまあ置いておこう。
「すぐに来たところで意味はないよ。まずは地道な情報集めからだ」
「まあ確かに、有意義ではありましたけれど」
徒歩で来ればほぼ一週間。村々を回ることによってとりあえず情報を得ていく。
わかったことはやはり街の中での行方不明が多いということ。
あと、商人の見習いの数人もいなくなって困っていることなど情報が入った。
「まあ、明日には街を回ってから領主に面会でもするしかないだろうな、きょうはゆっくりとするか」
「本当にゆっくりとした夜を過ごせるならお願いしたいんですけれど」
「いいぞ、それくらい。でもそれなら今からゆっくりできないけどいいのか?」
腰を抱き寄せて言い返してやる。あきれた顔でそっぽ向いて手を振り払われた
「夜でいいですわ、ご主人様」
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街に入ってからは特段することもなくギルドに行って練習場で少し鍛錬の剣合わせ。
そのあとは酒場での食事と普段通りである。
もっともなぜかシャナの酒が進み早々に酒場を後にしなければならなかった。
こいつ酒乱なんだ。
大した情報収集ができなかったので、その分普段より気合を入れて寝かしつける。
夜、抱き着いてくる身体を感じながら、そういえばこの姿になってから一度も確認をしていなかったと思いだし自分のステータスを見る。
族名:獣人(♂)
個体名:レオン・オーロ
LV:98
HP:1790/1790
MP:1541/1541
特殊スキル:獣化LV4 剣技LV5 魔闘技LV3 毒魔法LV5(NEW)、炎魔法LV5(NEW)、水魔法LV5(NEW)、風魔法LV5(NEW)、空激(NEW)、千里眼(NEW)、糸吐き(NEW)、大食(NEW)、威圧(NEW)、熱感知(NEW)、隠密(NEW)、音波探査(NEW)
秘匿スキル:傲慢(LV2☆)
いや、おかしくないか? 確か記憶が正しければレオンってLV40だったらしいんだけど?
この世界1000もHPあれば超英雄クラスのはずなのに明らかにオーバーしてる。
おまけにMPも並の魔導士を振り切ってるし。土魔法はないがほかの魔法はカンストしている。
もしかして、移っていくたびにレベルとかステータス数値もキャリーオーバーしているのでは?
そう考えんとどうも納得できない。あと傲慢にレベル表示ついてるのが気になるんだけど
アレ?レオンの記憶によると獣化もレベルなしスキルだよな?まあこれは今試せないからいつか試すしかないか。
話数タイトル訂正




