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異界で喰われて進化する?  作者: 那園曽 子規
18/29

18話

フェネクスストーリー後編です。

ヒトとしては救いがないように見えますが構想上仕方なくです。

とはいえ少し救いがあるように進めて言ったりもしたいですがね

フェネクスは予想通り一番古い火口を巣にしているようだ。


不死鳥の巣(フェネクスネスタ)の名を持つこの火山

普段の巣は煙の出ている山頂の火口である。

しかし今年に入ってから少しふもとに降りた側にある旧火口を巣として使っているようだ。

過去の文献からその時はフェネクスの死期が近いといわれている。

自らの炎で焼け死にその灰より蘇る不死鳥(フェネクス)


つまりその時こそが唯一といってもいいチャンスである。


「装備が間に合ってよかったぜ、でなきゃここにいるだけで死んじまう」


活動が小康状態とは言え活火山、本来なら立っていられる地熱ではない。

しかし彼らは全員耐熱防具で装備を固めてきている。

エスターフの湖をSランクとして一躍有名にしたバーストタートル退治

Sランク炎属性の巨大ガメの素材をほぼ標準装備としているため。火属性にはアドバンテージがある。


皮は優先的に靴と魔法使いの防具に、甲羅は戦士系の防具盾、牙と爪はそれぞれ剣に。

火属性魔物に対してはほぼ最強というパーティである。


「とはいえこれだけではとてもじゃないがフェネクスには届かないんだよな」


Sランク魔物と聖獣と呼ばれる魔物。彼我の力量さは正確に読み取っている。

彼らもまた一流である。あくまで必要な素材のみを狙うためにここにいる。

戦闘は目的ではないと熟知しているのであった。


本来の火口ではおそらく抜けた羽は即時に燃やされてしまうだろう。

しかし炎のないこちらの火口であれば羽くらいは落ちているはず。

それを目指して一行は火口へと歩む。


「みんな、身を隠せ!」


アドルフが指示を出す。それぞれが岩場に身を隠す

突如轟音と共に火口から炎が飛び出す。鳥型をしたその炎は旋回した後轟音と共に飛び立っていく。

姿が見えなくなったのを確認して一行は火口を目指す。

主がいなくなった今こそ絶好のチャンスである。


炎属性しか持たないフェネクスは飛ぶときに轟音を発する。

原因はわからないがそれは有名な話である。今、ここに現代科学知識を持つ者がいれば

その轟音こそジェットエンジン音と気づくだろう。大型飛行魔獣は風属性の魔法を使い揚力を発生させる。

しかし、炎属性のフェネクスは魔力ジェット、魔力ロケットというべき魔法で空をとぶ。

故に轟音爆音を響かせながらではあるがこの世界において最速の称号を持つ。

それ故に一度飛び立つとおよそ隠密行動がとれないというデメリットもあるが彼にとっては些細なことなのだろう。


一行は火口内にたどり着く。素早く探索を終えねばならない。今は飛び立って三十分ほど。平均二時間ほどで返ってくることが多いので。最悪あと探索には一時間ほどしかない計算になる。

鳥ならば寝床周辺に抜け毛が散らばる。火口の底がすり鉢状で平らなのでおそらくそこが本来の寝床と推測しその周辺を探索する一行。

しかし、小石しか散らばっていない。


「そろそろ撤収の時間だ」


探索を始めてから一時間。ディックが言う。これ以上いてはフェネクスに見つかってしまう。

退治ではなく生還が目的である彼らにはぎりぎりのタイムリミット。


あきらめきれない表情のジョンではあったが仲間の命も大事と分かっているのか承諾し火口を登り始める。


「おい、なんかあそこにあるぜ。」


山頂にあと少しというところでアドルフが言う。少し離れた岩場に何か見つけたようだ。


「羽、なのか?ちょっと待ってろ」


「待て!勝手なことをするんじゃない」


動こうとするアドルフをディックが制止する。


「危険だ、一度引いてもう一度採りに来るべきだ」


「何言ってんだ?羽なんだぞ?次はどこに飛ばされるかわかったもんじゃない!今を逃してまたここにある保証があるか?」


確かに、それはないに等しい。これを見つけられたのもただの偶然。いま採収しなければ次はないかもしれない。


「なら俺が行く、みんなは早く安全な場所へ」


ジョンが動き出す。本来ならば皆が動くべきであるがその岩場はおそらくひとりで行けるかどうかの不安定なところ。ディックはあきらめたようにアドルフを見る。


「いや、アドルフ、行ってくれ。ジョンは我々と一緒に下方でアドルフの支援だ」


念のために魔法使いに軽量化の魔法をかけてもらいアドルフが岩場に向かう。そのほかのものはその岩から下側に配置。万が一の落下に備える体制をとった。


するすると岩場を移動するアドルフ。ほどなくして岩場にたどり着く下に振り向き手を上げる


「あったぜ!、こいつだ!」


喜び手を振りかざす。その瞬間大きく爆発し彼は飛ばされる。

何が起こったのか、皆の思考が止まる。突如急激な爆音とともに上空に影が差す。

フェネクスが舞い降りてきたのだ。

ジョンは驚愕する。

どういうことだ?邪魔者(人間)自分の寝床()にいるのに怒るのはわかる。こちらも見つかれば戦闘は避けられないと覚悟してきている。だが音もたてずに近づいて先制排除を仕掛ける?そんな知能(・・・・・)を獣がもっている?

四元聖獣は現象の魔物。自然現象が魔物の形として具現化したものと言われてきた。ゆえに対話は通じないと。しかしあれは明らかに恣意的。知能的な行動。対話が通じる相手なのか?

いや、もう遅い。最初から対話に持って行けばということもあったかもしれない。だが我々はもはや侵入者。そして奴は仲間の敵。


決意し剣を抜く。仲間もそれぞれ戦闘態勢に入る。魔法使いは呪文体勢に入り4人はそれぞれ駆け出していく。一人が槍を投げる。今パーティの装備している二つの水属性武器のうちの一つである

そこで注意を向け魔法使いが氷の礫(フローズンブラスト)の魔法を撃つ。残る3人が接近戦を試みる

彼らがバーストタートルを倒したときの必勝パターンである。

だが聖獣は見越していたかのように熱風を彼らに向かって放つ。ジェット機のような巨体を空へ持ち上げる推力。フェネクスにとっては唯一といっていい環境に被害がない(・・・・・・・・)攻撃である

並の人間ではこの熱風に耐えることなどできはしない。そうたかを括っていたのかもしれない。

熱風の巨大な土埃の中から一人の影が突っ込んでくる。

気づいたときには懐に入りこまれ首筋に剣を差し込まれていた。

火炎亀の甲羅は聖獣の魔力では何の障害にならない。だが今の攻撃はただの熱風。

その攻撃ならば彼の素材の炎耐性で十分な守りと化したのであった。

しかも一撃を加えたのはもう一つの水属性武器「エイスファング」北方の魔物ナワールタイガーの角を使って作られた現在世界で作られる最高の水属性剣である。急所を突かれたフェネクスは最後の魔力を振り絞る。今だ突き刺して離さないジョンを下敷きに抑え込み魔法攻撃を展開する。

炎の波はフェネクスを中心に広がり火口を砕く衝撃波を放つ。巻き込まれたパーティは意識することもなく無へと沈む。

その日フェネクスネスタの旧火口は崩落した。それからひと月後その火口跡がはじけ新たなフェネクスが飛び出したことが目撃されている。

次回より再び本編。鳥さんは終わりまして姿を変えていきます。

でもまだ人間じゃないんですけど。(^^; オカシイナ?

あとなぜかストーリー一つ考えるたびに魔獣設定が二つほど必要になっていってますが

趣味です、すいません

************

モンスターデータ

バーストタートル(火属性亀型魔獣)

牙があって火を吐く大型の亀。性格は獰猛

ただし手足を引っ込めで火を吹きながら飛んだりはしない。

絶対飛ばない。幼体の時は手は死を引っ込めるが生体になるとそのような行動はしない。

防御の必要がなくなるからか甲羅の中が暑くて耐えられないかは定かではない


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