11話
飛び立って一直線に山の頂上付近まで飛んでいく。
俯瞰で全体を把握し獲物を探す作戦だ。
3頭連れ立ったハウンドはスタートから左周りの獣道を進み、一頭のハウンドは右回り猫とフクロウはほぼ直線ルートのようだ。山の裏側にクマみたいなのがいるけどちょっと遠いな。ハウンド3頭はどうやら鹿がいる方に向かっている。この距離だと多分こっちのほうが早くやっつけられるけど横取り疑惑も面倒だしなぁ。
無難にクマでも探すかね。
あ、牡鹿発見!たぶん誰も気づいてないだろうしこれを獲物にしよう
急降下中に下からフクロウが飛んできた。見えないけど近づいたとたんに鹿がふらついて倒れてしまった。
なんだろ?フクロウも魔法使えるのかね?
『ヴァース、ほかの人の倒した獲物だから横取りはだめよ。別のを探しましょう』
指示されてしまった。ということはやっぱり何らかのスキルだったんだね。しょうがない次でも探すか
ばっさばっさ
三頭組はイノシシと対峙してる。一匹が囮になって注意を引き付けてるうちに二匹で両脇から攻撃か。
考えてるようだけどそんなに甘くは、あ、一匹踏まれた。痛そー。
手伝いにいっても横取りって言われそうだし。ま、全滅したらってことで。
アレ?猫さんはもがいてる?蔦でも引っかかったのかな?
まあそれ助けるくらい違反にならないだろ。
高度を下げていくと様子がおかしい。もがいているけれど糸に絡まっている
糸?こんな大きさを絡められるなんて・・・
何かが煌めく。反射的にかわすと巨大な杭のような脚が振り下ろされた。
耐性を立てなおし確認すると
そこには巨大な蜘蛛。スタイルはオニグモっぽいのだが大きさが異常。
クマやイノシシが平気で抱えられるくらいのサイズなんだけど。
コワ!めちゃ怖!
催涙水弾をとっさに打ち込みひるませた
でも蜘蛛って毒持ちだから耐性あるのかあんまり効いてるように見えない。
新技フレイムネット!
網を射出と同時に引火させる
扇状に広がる炎になって蜘蛛とこちらに張ってある糸を焼き切る。
ついでに猫に向かって絡まっている糸を焼き切るためにフレイムネットを撃つ
なんかがーがーにゃーにゃーうるさいけど動けるようにするためだから我慢しろ!
蜘蛛なので火は警戒対象のようだからフレイムを少し打ちつつ牽制。
猫も四肢の戒めは解けたようなのでアクアボールで鎮火。あれ?助けてあげたのに
目がマジになってません?怒りは蜘蛛に向けてよね
炎は脅威となる火力ではないと判断したのか蜘蛛が突っ込んできた。見た目よりかなり早い。
足止めさえできれば何とかできるんだけど今の状態じゃ逃げるしかないのか?
「ヴァース、あれは撃てないの?ボアを倒した氷」
ダメだ、その隙が無いんだよ。あれは気合入れなきゃ撃てないんだから。
頭の中でラティの声がする。何か騒いでいるようだがそっちに気を配る余裕がない
このスピードの蜘蛛なんだから食料を求めて村のほうを目指しでもしたら大惨事だろう。なんとしてもここで討たなきゃ。
牽制の為フレイムボールを打ち村の反対方向へ誘う。長く飛べないふりでこちらを獲物と認識してくれれば誘導できるだろう。その分至近距離で爪と牙と糸。めちゃくちゃ怖い!芋虫の経験があってもやっぱり蜘蛛って独特にモンスターなんだよ。
猫も意図を組んでくれたようで誘導の方角に合わせてくれだした。
あとはこのぎりぎりで体力が持つかってところなんだよな。
『ヴァース、上空に飛んで!ラッセルオウルが10秒ほど引き留めてくれるから、その間に氷を撃ち込んで!、できるわよね?』
フクロウが応援に来てくれたのか?ちらりと猫を見るとこちらを見て頷く、作戦はどうやら周知されてるようだ。それじゃあ少し任せた。
力を入れてはばたく。一直線に大空へ。フクロウが飛んでくるのとニアミス。任せたよ!
上空で氷弾を生成する。矢じりのように先端をとがらせ貫通力をイメージして。
見るとフクロウはどうやら風の魔力を使っているらしい。何やら受けて麻痺したように蜘蛛の動きが止まる。一気に急降下する。蜘蛛に向かって特攻のイメージで。どうやら気づいたらしく無理やりこちらにお尻を向けて糸を吹き出してきた。根性あるけどそれは足掻きだよ。
この氷はちょっと特別製だ。たとえ壁でも蜘蛛の巣でも効かないよ。
貫通氷弾
糸を難なく突き破り腹部へ貫通。そのまま体内で威力が拡散し爆発する。
蜘蛛は周囲へ破片をまき散らしそこにはクレーターができていた。
あ、オーバーキルだ
ばっさばっさと降りていくと。猫とフクロウが並んでこっちを見てた。
なんかあきれてる顔に見えるんだけど気のせいかね?
まあ鳥がミサイル撃ちゃ誰でもあきれるか。
頭の中で音が鳴る、某まりおさんがコインを得たような音だ。
何度か鳴ったので結構レベルアップしたかな。
確認の前に・・・
獲物どうしよう?
モンスターデータ
ラッセルオウル(鳥型魔獣)
比較的温厚で使役によく使われる。
風魔法の属性しか持たないが機動性より消音など隠密性に重きを置いたスキルを持つ。
最大の特徴はすり鉢状の円形の顔である。魔力を反射しマナロケーションで広範囲認識をし音波砲を撃ち対象を麻痺させることで大物を狩ることを得意とする




