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異界で喰われて進化する?  作者: 那園曽 子規
10/29

10話

あれから五日がすぎた

いよいよ本戦日

ラティもヴァースの視界に馴れ何とか組んで狩りができるようにはなっていた。

しかし一抹の不安はぬぐえない。何か違和感があるのだ。

雛から可愛がってきた(ヴァース)なのだがこの数日は本当に鳥かと思う時もある。


本来の操獣は意識を繋ぎ思い通りに動かすというもの。

もちろんある程度の行動を意識で指示し細かな動きは動物側に任せるというものではあるのだが、自分たちの場合はそうとは言えない気がする。逆なのだ、おおざっぱな指示しか出していないのにうまく細かいところに気を配って狩りを行なったりする。勿論普通のヴァイオレットではありえないような魔法威力を持っているので以上に知性が高いのだろうとは思うのだがそれも急に開花したこともありまるで別人のような気がする時もある。


そこまで考えて首を振る

いや、それはおそらくただ悔しいだけだ。ずっと育ててきてそんな才能が眠っていたのに気づかなかった自分が悔しいだけなのだと無理やり気持ちを押し込める。今はそんなことを考えてもしょうがない。


「ヴァース、きょうは一番とるよ!」


傍に控えてこちらを見ている愛鳥を抱きしめ気合いを入れる。

目を細めこちらにすり寄ってきてくれる。

頑張ろう。この子となら大丈夫。


************


「見て見て!アリス!ほんとにヴァイオレットなんて使っている子がいる!気合入ってるわねぇ」


「はしゃがないでください!もっとお淑やかに!」


せっかくの楽しい気分に秘書が水を差す。いいじゃないの、珍しいんだから


「セフィ~?」


「あ、ほらほら!ヴァイオレットって育てるのも難しいし使うのはもっと難しいじゃない?よくやるわよねぇ」


ジト目で睨んでくる彼女に視線をそらしながら話を逸らす。


「確か成獣になる確率が五割と言われてましたね。それ以外にも理由が?」


大きくため息をついて、いつものこととあきらめてくれたのか彼女は言った


「そうね、それ以上に操獣としては致命的な欠点があるのよ。ヴァイオレット種は魔力が高すぎて接続(コネクト)を完全に受け付けないことが多いのよ。こちらの魔力が高いと無理やりにでもつながるんだけどね」


「セフィは魔力だけは高いですからね」


睨み返す。しれっとした涼しい顔をしている。


「まあ不完全でも視界接続くらいは何とかできるかもしれないけど、それ以上は相性次第かな。それで完全に接続されたほかの組と争うのは無謀よね」


言いながら期待の眼差しを向けている。とても楽しそうだ。長年仕えているが最近は特に子供っぽい言動が目立つ。最も公務外の時しかそんなことはないのでこちらも息抜きにと認めてしまっている。

今日はかつての自分のようにタイニーロックヴァイオレットを使う参加者がいると聞いてわざわざこんな地方の予選までお忍びで見学に来るなど言いだしたときには気が遠くなりそうだった。

スケジュールを詰めるのも護衛の手配も頭の痛い話ではあったが今のこの楽しそうな顔が見られただけ良しとしよう。


************




さていよいよ本戦がやってきた


ラティちゃんが気負っていそうなので少し心配だったが杞憂だったようだ

気合い入れていたので例によってぐりぐりおっぱいにすり寄ってあげた。

この様子だと大丈夫だな。

他に6組出場らしい。細面の兄ちゃんと白のフクロウの組。ドワーフみたいなマッチョマンとその子分のような3人組はハウンドをそれぞれ使うようだ。あとハウンドはもう一組いるがそれはショートカットのおねーさん。その横にポニーテールのおねーさんがいるが彼女の相棒は大猫、あれがタイニーピューマっていうのか。あのチームの狩りは誰も見たことがないそうだから実力は未知数。猫なのにダークホースだな。


勝負はいたってシンプル10時に開始14時に終了。場所は西の山一帯。一番大きい獲物をしとめた者が勝ち。ここら辺は普段の狩場とは方角が違い魔属領側なので大きな獲物が比較的多い。この間のイノシシ以上を狙ってみよう。




モンスターデータ

タイニーピューマ

体高1メートル俊敏な動きと森の中の機動性で獲物を狩る

牙は二本大きく伸びており一噛みでクマを倒した報告もある。

ただし長所のスピードを封じられるとその脅威は著しく下がる

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