ストーカー
「ねえ、君花。一宮君と兄妹だったって、ホント?」
「えっ」
翌日、君花が登校すると、いきなりそう言われた。
「もう朝からその噂で持ちきりよ。A組のオタク達から広まってるみたいだけど。ねえ、それよりも本当なの? 一緒に住んでるの? なんで今まで黙ってたの? 私、一宮君のファンだったのにぃ」
一人がそういうと、他の女子生徒たちも君花の周りに集まってきた。
「いいな、私も一宮君、狙ってたの。でも、君花が相手ならきっと無理」
兄と妹の関係なのに、二人が同棲しているかのような勘違いをしている生徒もいた。
「ごめんね、ずっと黙ってて。でも、私、一宮君の家には住んでいないの。母と住んでいたアパートに一人でいるから、あまり生活、変わんなくて」
君花はそう言い訳したが、そんな理由よりも一宮と兄妹になったことの方が、みんなの関心が向けられていた。
「そうなの? もったいない。私なら絶対に一緒に住む。毎日一緒に学校へ来るし、いいな、宿題なんかも手伝ってくれそう」
「あの優しそうな顔が、コンピューターを前にすると顔が一変するのよね。きりっとして、メガネと白衣も格好いい」
そんなに雅紀が女子に人気があったとは思ってもみなかった。オタクだから、避けられるのかもしれないと思っていた。他の人より、なにかに秀でているということは、けっこう魅力的に感じるものなのだろう。
雅紀と和解したばかりの翌日だというのに、もうすでに笑えるくらいの大勢の生徒が、君花と雅紀が兄妹だと知っていた。どうやら、雅紀の友達が言いふらしたらしい。
でも、それが今でよかったと思う。和解する前だったら、どんな顔をして言い訳をすればいいか、わからなかったから。きっと君花のことだから、ふいに不機嫌になり、あの人とはかかわりがないんだから、と叫んでいることだろう。そして、そのことが雅紀の耳に入る。また、こじれる。そんな負のスパイラルになる。そうして、君花は落ち込んでいたから。
今はみんながこのことを話しているが、二、三日もするともう話題に上ることはないだろう。高校生なんて話題に困らない。すぐに飽きるし、他に関心を向けていく。
君花たちも一緒に住んでいないのだから、もうそれ以上、詮索されることもなかった。こんなことなら、母たちが結婚した時に言っておけば、よかったのだ。ずっと誰にも言えず、後ろめたい思いをしていたから。
その日、君花は合気道部の後輩たちにもその話題で囲まれることになる。もういい加減にして、という意味で、ため息をついた。
「いいな、先輩。血のつながらない兄妹だからこそ、みんながうらやましがるんですよ。もうみんな、自分の好きな人と突然、そういう関係になったら、どうしようって妄想しています。カレ氏より近くて、親しい関係って、いいな」
苦笑交じりで言う。
「さあさ、もう無駄口はそのくらいにして、練習、始めるわよ」
そう言っても皆の関心はまだ、君花にある。
「先輩なら、一宮さんに突然、襲われそうになっても大丈夫ですよね。すぐにかわせるし、抑えつけられるでしょうから」
「そんな関係にならないわよ。兄妹なんだし」
しかし、内心、君花は冷や汗をかく。襲われたわけじゃないが、もうすでに一宮の腕をひねり上げているからだ。
そんなことを知られたら、今度はどんな噂になるかわからないから、そっと胸にしまっておく。
今日は部活は早めに終わって、帰るつもりだった。
夕べ、新作のイヤリングを何品か作り上げていた。今日、それを早速店にだしたかった。今日の店番は母だった。もうそろそろ練習を切り上げようとした頃、里奈が青い顔をして、体育館に走ってきた。
「ねえ、君花。ちょっと」
なんだかわからないまま、君花は引っ張られるようにして、外へ出た。正面の校門が見えるところまで来る。君花はまだ、道着のままだ。
大勢の生徒が下校しているのが見えた。
「なによ」
里奈が指をさした。
「あれ、あそこにいるのって、尾崎じゃない?」
えっと思った。
時々門の陰から顔を出す人がいる。下校する学生をじっと見ていた。
ああ、確かにそうだ。尾崎だった。
「ねえ、なんで尾崎があんなところにいると思う?」
「誰かを待ってるっぽいよね」
君花が思わずそんなことを言ってしまう。里奈が怯えた目をした。
「まさか、だよね。たまたま、あそこにいるだけだよね」
そう言って欲しいらしい。
「ねえ、里奈。裏門から帰ろうか。尾崎があっちにいるんなら、それもチャンスだよ。私、もう練習、終わる。すぐに着替えてくるから、待ってて。一緒に帰ろう。送ってく」
君花がそういうと里奈はうなづく。
「ねえ、君花。今夜、また泊めて。うちへ帰りたくない。怖い。尾崎、きっとまた、私の家に来る。もし、私が裏門から帰ったってわかったら、また。ねっいいでしょ」
あの荒れた話し合いの後だった。あの時、尾崎はまだ、好きなんだの一点張りだった。相手の心が離れているということが理解できないらしかった。里奈は別れる、もう好きだという感情はないと言ってもわかってもらえなかった。里奈は興奮してしまい、大嫌いとか、もう二度とその顔、見せないでなどという暴言まで吐いた。さすがに尾崎もそこまで言われてしまうと後はもう無言でいたのだ。それも不気味だった。
里奈の恐怖はわかる。君花も正直、この尾崎が気味悪く感じたのだ。なぜか、このままでは済まさないと無言で訴えられているような気がしたから。
君花は里奈の用心棒のような存在だ。合気道をしているから、里奈は必然的に君花を頼る。君花も普通の男子になら、突然、襲われたとしてもそれをかわせる自信があった。けど、投げ飛ばしてどうするのだろう。警察に通報するか、学校の先生に言うか? そんなことをしたら、里奈との関係がばれてしまう。もし、君花が手荒なことをしなければならなくなったら、ちょっと脅して、二度と近寄らないように言い含めるしかない。
君花はすぐに帰る支度をして、里奈と合流する。他の生徒と紛れて裏門へ向かった。
今日は仕方がない。アクセサリーはまた後日にする。後で母にはそう連絡しようと思う。
しかし、尾崎はその裏をかいていた。たぶん、表門でうろうろしていたのは、尾崎がそっちにいると見せかけていたらしい。そしてそれを避けて帰るだろうと予測していたのかもしれない。
裏門を出ようとしたとき、いきなり尾崎が飛び出してきたから、里奈はパニック状態になっていた。
「なによっ。つきまとわないで。もう何とも思っていないって言ったじゃない」
いきなりそんなことを叫んでいた。
尾崎は悲しそうな顔つきになる。
「僕はまだ忘れられない」
また、このかみ合わない会話の続きだった。
「冗談じゃないわよ。もう私には愛情なんて全然ないんだから。その顔、二度と見たくないって言ったでしょ」
尾崎はそれを聞いてこの世の終わりのような顔をした。里奈が前回のように興奮していた。
「でも、里奈ちゃんは僕のこと、好きだって言ってくれたじゃないかっ」
「そんなの、最初だけだったわ。もういい加減にしてよっ。何度も同じことを言わせないでっ」
君花はハラハラしていた。そんなことを言って、もし尾崎が怒って飛びかかってきたら、と不安になる。もちろん、すぐに君花が里奈を庇うが、実戦で合気道の技を使うのは初めてだった。どこまで投げ飛ばしてもいいのかわからない。合気道は畳マットの上で投げるし、その相手も受け身を取る。素人相手に思い切り投げたら、怪我をさせてしまうかもしれない。
腕をひねり、その動きを止める、それがいいと思う。そんなイメージングを頭の中でしていた。
「いろいろプレゼントしただろう。全部受け取ってくれたから、やっぱり僕のこと、好きだったって思ってた」
一瞬、里奈が言葉につまった。
「勝手にそっちが送ってきたんでしょ。それをどうしようとこっち勝手」
「僕のところへ何度も泊まりにきた。僕の腕の中で、好きだって言ってくれただろう。あれはぜったいに嘘じゃない。ねえ、思い出してくれよ」
「だ・か・ら、もう私達は終わったのっ。いい加減にしてよ。迷惑なんだから、物分かりの悪い人ってサイテー」
尾崎が拳をギュッと握り締めるのがわかった。怒りを我慢しているのだ。
里奈はそれに気づいていないらしい。言いたいことは言った、だから、もうこれで話はお終いという感じで、里奈は尾崎の横を通って帰ろうとした。それを尾崎が手を伸ばした。里奈の腕を掴もうとしたらしい。
「キャッ」と里奈が叫ぶ。
君花は考えるよりも行動に出ていた。さっと動いて、尾崎が里奈を掴むよりも尾崎のその手を取り、後ろ手で抑えつけていた。それで決まりだった。腕の痛さに尾崎は身動きができずにいる。そして尾崎は後悔と共に、今日のこの行動を謝るのだ。それで解決・・・・・・すると思っていた。
普通なら、腕も痛いはずで、前のめりになっているから、相手の動きはそれで止められるはずだった。しかし、尾崎は普通ではなかった。
尾崎はそのまま屈みこんでいたが、君花の方へ転がって、体当たりをしてきた。まさか、そんな行動に出るとは思っていなかったから、君花はそのまま地面に倒された。油断していたのだろう。受け身をとる間もなかった。反撃されるとわかっていたら、次の手を考えていた。しかし、それでもう尾崎が降参し、帰って行くものだと思い込んでいたのだ。
君花は初めて味わった恐怖だった。
まさか、まさか。
尾崎が倒れた君花を見下ろしていた。それは自分が優勢に立っていると知らしめるための目。今度は君花が声にならない悲鳴を上げていた。
雅紀は、PCゲーム部にきた。みんなが君花と兄妹だということを知っていた。あいつらがしゃべったことはわかっていた。教室へ入ると松本と大場がニヤニヤしていた。
「お前ら、性格悪すぎ」
というと、軽く受け流される。
「まあ、いいじゃないの。けっこう君花御前のこと、狙っている輩、多いんだ。そいつらは知る権利があるって思ったから」
まあ、どうでもよかった。雅紀は一応、君花と和解したから。
「関係ねえだろう」
「いや、ある。同じ屋根の下で男女が一緒に住むということは、いずれはそういう事が待っているのだ」
「オレ達は一緒に住んでいないって言っただろう」
「けど、泊まる可能性もあるだろう。夕飯を済ませて話していたら、ああ、もうこんな時間。君花、泊まっていけよっ、とか何とか言っちゃってさぁ」
また、そんなことで茶化された。
まあ、そうだ。その可能性はある。否定できなかった。今回の兄妹発覚で、意外にも君花は人気があることがわかった。かわいい顔はしているが、愛想はないし、つっけんどんに物は言うし、突っ込めば、喰ってかかるし、たまに手が出るというのにだ。そういうと皆が否定する。
「そんなことはない。朗らかに笑うし、あの微笑みがいい」
いささか面白くない。雅紀は、騙されてはいけない、あの君花は二重人格だとまくしたてた。しかし、誰も信じようとしなかった。
放課後、いつものように部活のため、PCルームへ行く。今、雅紀と松本、大場の三人はゲーム制作のため、特別なチームを組んでいた。
商業科や経理科からも企業の営業、接客態度などのトレーニングとして活用できるシミュレーションゲームを作った。それが終わった今、戦国時代の武将に見立てて、自分がどの人物になり、どのように動くかでどこまで歴史が変わるかというゲームの製作をしていた。これには武将一人一人のデータを入力し、事細かな歴史の移りかわりを入れている。
そのゲームは、本物の歴史を知らなければならなかった。その上で、やるゲームだった。歴史の先生から絶賛されていた。そのうちに、日本だけではなく、ヨーロッパの複雑に絡み合った歴史もやってみようと思っていた。その出来上がったばかりのゲームを試していたところだった。
信長が、織田の家督を継がなかったらというシミュレーションに夢中になっていた。そうなると当然、弟の信行が家督を継ぐことになる。その後の秀吉は? そして、徳川が天下をとれるのか、三百年も続いた江戸時代は来るのか。
そんなことを考えていた。
「おい、おいったら、一宮」
急にそう呼ばれていた。しかし、そんな方を見ていられない。信行が天下を取れるのか、世の中はどうなるのか。歴史が変わる、その時だ。うるさい。
「おい、一宮。あれってさ、お前ンとこのかわいい妹だろう」
舌打ちをしていた。大事な場面だというのに。
「なあ、妹だぞ、見ろよ。ほらほら」
「うるせえ。今、オレは大事な歴史のはざまにいるんだ。邪魔すんな。大体オレに妹なんか、・・・・」
いないと言いそうになった。我に返る。いや、いる。君花のことだ。
「え、君花が?」
君花が一体どうしたっていうんだ。きっと君花なら、合気道部で、雅紀を投げ飛ばすため、その腕を磨いているに違いない。
まだ、皆が騒いでいた。ふとそちらに目を向ける。
皆はゲームそっちのけで、PCルームの窓から外を見ていた。ずっとその先の裏門がよく見えた。
なんだ、何を見ているんだ。
雅紀が立ち上がると、その向こうに人影が見える。
ゲームを一時停止にし、窓際に歩いて行った。目を凝らしてみると、裏門の所に女生徒が二人、そしてうちの生徒じゃない男性がいた。どうやら、三人は言い争いをしているらしい。
よく見ると三人のうちの一人は確かに君花だった。その横には里奈、そして三人目は・・・・。あの男だった。あのシルエットには見覚えがあった。そう、いつか喫茶店で見た、あのイケメンだが、不気味男だ。やっぱり、あいつらに係わっていたんだと思う。
「なんだ、どうしてだ。なにやってんだ、あいつら」
思わず声に出す。
松本が言う。
「あの三人、言い争いをしているらしいぜ。あんなところで、すっげえ、険悪なムード。おかしいよな」
大場も言う。
「三角関係かな」
そんなはずはないだろう。どうみてもあの男が言い寄っているように見える。それを拒否している二人の女子。というか、一方的に里奈がギャンギャン騒いでいる。
「里奈ちゃんが一方的になんか言ってるみたいだ。おい、行ってやらなくていいのか。妹のピンチかもしれない」
「え、まさか。ただ話しているだけだろう」
「いや、やばそうだ」
確かにあの男が逆上したら、いくら君花でも怒り狂った男を取り押さえることはできないかもしれない。
しかし、雅紀は喧嘩などしたことはない。腕っぷしにはまったく自信がなかった。それでも三人の様子は異常だ。落ち着いていられなかった。
「わかった。ちょっと様子を見てくる」
雅紀は掃除用具のロッカーを開けた。ほうきを手にして、そのまま外に出た。裏門はこのPCルームのすぐ前だ。
外に出ると、里奈が罵っている声がよく聞こえた。他の生徒も足を止め、何事かと遠巻きにみていた。そうだ、やはり、里奈につきまとっている男だった。男にはまだ、未練があるらしい。けど、里奈にはそんな気が全くない。そんな恋のもつれからきたものだ。
雅紀は、相手の男に問いかけたかった。
おいおい、里奈はかわいいけどな、ここまで罵られて、それでもまだ、つきまとうってか。もう見切りをつけて、他の女の子を好きになれよと言いたい。
里奈が男の横を通り抜けようとした。その時、男が里奈を掴もうとした。
あ、やばいと思う。雅紀は手にしていたほうきを持ち直し、駆け寄ろうとした。
けど、雅紀より先に君花が動いていた。雅紀も一度やられたみたいに、簡単に腕をねじられ、組み塞がれていた。
それはあっという間だった。見事だとしか言いようがない。そう、それが武道であったなら、それで終わり。決着がついていただろう。けど、生身の人間を相手にしていた。しかも逆上している。君花は、男がそれで諦めると思ったらしい。が、一度は抑えたつもりの男が体当たりをして君花を倒していた。捨て身の行動だ。腕だってさぞかし痛かっただろう。その男は倒れた君花を見下ろしいていた。その顔から、君花を踏みつぶしそうな憎しみを向けていた。
危ない、と思った。雅紀は腹に力を入れ、できるだけ低い声を出す。
「ぐあああ、よせっ。そいつに手を出すなっ」
雅紀はここぞ、出番だと言わんばかりにほうきを上にかざし、怒鳴り声と共に突進していた。そう、武将が合戦で出すような声だ。
あの男も、まさか、誰かが助けに来るとは思っていなかったらしいから、ギョッとしてこっちを見ていた。動きを止めていた。
逃げろ、頼むから逃げてくれ。
雅紀は、ほうきを持って走ったはいいが、このままどうしていいかわからない。立ち向かってきたら、ほうきを振り回すしかないと考えていた。
けど、男は、何が何だかわからない表情で、逃げていった。里奈も力が抜けたらしく、へなへなと座りこんだ。
よかった。逃げてくれて。そうじゃなきゃ、どうしていいかわからなかった。
倒れているままの君花に手を差し伸べる。
「大丈夫か」
君花は雅紀が来てくれるとは思ってもみなかったらしい。けど、すぐに差し出した手を素直にとり、立ち上がった。
「里奈」
君花は座り込んでいた里奈に向かう。
里奈はブルブルと震えていた。怒りの興奮と恐怖が入り混じっているのだろう。
あぶなかった。やはり、あいつはやばい奴だったのだ。雅紀は、男を舐めてかかった浅はか女子二人を嗜めることにした。
「バカ野郎っ。男を甘くみるんじゃねえっ」
二人の目がまん丸くなる。
「いいかっ。里奈、お前は口が過ぎる。言い過ぎだ。あんなふうに追い込まれたら、どんなにおとなしい奴でも逆上するぞ。どこかに逃げ道を作ってやらないとダメなんだ」
そこで一息ついた。さらに続ける。
「それに、君花。お前もお前だ。いくら腕に自信があるといっても油断するな。土壇場になったら、相手がどう出るかなんてわからない。型通りの道場での演武とは違うんだ」
二人の女子たちは黙っていた。何も言えないのかもしれない。
「相手はな、女だと舐めている。そして思っても見ないほど抵抗されると、普段よりもすごい力を出してくる。戦うより、逃げろ。オレみたいに弱くても見かけが男なら、警戒する。だから、あいつは逃げてくれたんだ」
遠巻きには大勢の生徒が見ていた。そこへ顧問の小田がやってきた。
「大丈夫か。なんか変な男が騒いでいたって?」
「あ、はい。でもオレが追い払いました。もう大丈夫です」
ただの通りすがりの男に襲われたのなら、先生に報告すべきだが、里奈に深く関係のある男らしい。今ここで暴露してもいいのかわからないから、そう言った。
「へえ、一宮がねえ」
小田がそんなことを言う。
「まあ、相手の心理をつく作戦はPCゲームでは十八番ですから」
そう言って、なんとかその場をごまかした。